プロセスのばらつきと測定のばらつき

 
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データ分析を行う上でばらつきの評価は避けて通れません。同じ手順で実施しているつもりでも実際は微妙に異なりばらつきが発生します。そのばらつきを出来るだけ小さくする事がサービス提供における課題の一つです。特に製造業では個々の製品間の違いを出来るだけ小さくする事に労力を注いでいます。
 
 ばらつきには原因のあるばらつき原因の無いばらつきの2種類があります。原因の無いばらつきとは自然ばらつきであり平均値を中心に分布するものを指します。自然ばらつきと思っている事でも原因がわからないから自然ばらつきとしているだけで、 実は何かの要因が影響し引き起こしている場合が多いと思います。
 
◆体温を測定する例
 
 体温を繰り返し5回測ったら全く同じ結果が返ってくるでしょうか。
 
 同じように測定していても、0.1-0.3℃程度は数値が変化すると思います。この数値の変化(ばらつき)には体温を測定された人の体温のばらつきと体温計のばらつ きの2つが含まれています。
 
測定値を決めている2つの要因
 
     1.被測定者の体温の変化から生じるばらつき
 
     2.体温計を用いて測定するプロセスから生じるばらつき
 
 体温計が異なれば測定結果は違うかもしれませんし、同じ体温計でも違う看護師さんの 測定でも異なるかもしれません。測定者の違いによるばらつきや同一測定者による繰り返しにより生じるばらつきを測定系のばらつきと言います。
 
 体温を測る時きちんと脇の下に挟まないと測定値にも影響が出ます。測定部位がずれていると都度異なる数値が出ても不思議ではありません。これは測定する為の手順が生み出す誤差になります。つまり同じ測定者が行った場合の誤差と異なる人が測定した場合の誤差、両者の交互的誤差が測定により生じる誤差と言えます。
 
 この測定系の誤差の統計評価をMSA(Measurement System Analysis)とかGRR(Gauge R&R)と呼称します。GRRの方がポピュラーな呼称です。
 
 普通は体温の変化の主要因は被測定者の体調と言えます。平熱は36度前後なのが38.5あれば体温計の誤差よりも被測定者の問題を疑うはずです。体温のばらつきがせいぜい0.2-0.3℃程度であれば総合的に自然ばらつきの範囲内と 言って差し支えないと思いますが、もし1度以上高ければ被測定者自身に何らかの原因 で熱が出ていると考えると思います。つまりこの場合のばらつきは”原因のあるばらつき”になります。
 
 原因あるばらつきは対処を講じることにより低減できます。原因が被測定者の体調にあれば解熱剤を飲むなり医師にかかるなり対応が取れます。因みに”測定系の信頼性“についてはISOでも要求されています。定期的に精度チェックや校正が必要であり実施日の記録も残さなければなりません。
 
 私達は測定器を盲目的に信頼する傾向がありますが測定器も正しい手順で用いないと 本来の性能を発揮できません。測定値と言えば測定器の精度だけで決まると思いがちですが、測定器にかける前の試料の 作成や調温、器具の洗浄など測定値に影響を及ぼす作業も関係してきます。
 
 測定系評価とは誰が行っても同じような測定値が得られるのか、誤差が統計的に問題の 無い範囲に収まっているかを判定する事だと言えます。
 
 ppbやppqレベルの不純物量を気にする半導体の製造工場では、測定限界以下の数値が 普通に観られます。寧ろDL(Detection Limit)以下でないと不安なくらいです。その世界の中では測定誤差も出荷判断を左右する大きな誤差となりえます。
 
 DLと言えばそれだけ純度が高いのだと安心してしまいますが、管理の上では寧ろ数値が出てこないと異常値が出た時の判断が難しいのです。もしかすると、他にも今現在原因の分からない自然ばらつきと呼んでいるものも将来的に 計測技術の進歩で原因のあるばらつきに分類されるものが出てくるかもしれません。 

この記事の著者

眞名子 和義

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