回路設計におけるノイズ除去技術~フェライトビーズ等の特性を活かした最適対策の指針~

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回路設計におけるノイズ除去技術~フェライトビーズ等の特性を活かした最適対策の指針~

【目次】

    現代の電子機器設計において、ノイズ対策は避けて通れない極めて重要な課題です。ノイズは伝播経路によって対策が異なり、各部品の物理的特性を正しく理解して選定する必要があります。今回は、反射・吸収・バイパスといったノイズ除去の三原則に基づき、コンデンサ、インダクタ、フェライトビーズが持つ周波数応答特性を解説します。各部品がインピーダンスの変化を通じてどのようにノイズを制御するか、その基礎を学びます。

     

    1. ノイズの伝わり方と対策

    ノイズが伝わる経路は、ケーブルや信号やプリントパターンの伝導ノイズと、空中へ伝わる放射ノイズがある。それぞれの伝わり方によって、対策方法が異なっている。電子機器内のノイズの伝わり方は、図1に示す通りで、その除去方法は以下の3つになる。

    •  (1)ノイズ源側にノイズ成分を戻す
    •  (2)安定電位のグランドにバイパスして逃がす
    •  (3)対策部品でノイズ成分を熱に変換/吸収

     

    ノイズ対策には、ノイズの発生源、アンテナ形成部、ノイズ発生源とアンテナ形成部の配線を見つけて対策をとる。

    具体的には以下の4つの対策になる。

    • シールド:金属で覆って電位の安定している所(フレーム/グランドなど)に逃がす。
    •  反射    :ノイズ発生源から伝播するノイズを発生源に戻す。インダクタ/LCフィルタなどの対策部品でノイズ成分の伝導を防止する。
    •  吸収    :伝播するノイズを吸収し熱に返還する。抵抗やフェライトビーズなどの対策部品でノイズを吸収して熱に変換する。
    • バイパス:伝播するノイズを安定電位に逃がす。コンデンサやバリスタなどの対策部品でノイズをグランドに逃がす。

     

    回路設計におけるノイズ除去技術~フェライトビーズ等の特性を活かした最適対策の指針~

    図1.ノイズの伝わり方【出典:トランジスタ技術 SPECIAL No.82 第2章 ノイズの伝わり方と対策の基本 CQ出版】

     

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    回路設計におけるノイズ除去技術~フェライトビーズ等の特性を活かした最適対策の指針~

    【目次】

      現代の電子機器設計において、ノイズ対策は避けて通れない極めて重要な課題です。ノイズは伝播経路によって対策が異なり、各部品の物理的特性を正しく理解して選定する必要があります。今回は、反射・吸収・バイパスといったノイズ除去の三原則に基づき、コンデンサ、インダクタ、フェライトビーズが持つ周波数応答特性を解説します。各部品がインピーダンスの変化を通じてどのようにノイズを制御するか、その基礎を学びます。

       

      1. ノイズの伝わり方と対策

      ノイズが伝わる経路は、ケーブルや信号やプリントパターンの伝導ノイズと、空中へ伝わる放射ノイズがある。それぞれの伝わり方によって、対策方法が異なっている。電子機器内のノイズの伝わり方は、図1に示す通りで、その除去方法は以下の3つになる。

      •  (1)ノイズ源側にノイズ成分を戻す
      •  (2)安定電位のグランドにバイパスして逃がす
      •  (3)対策部品でノイズ成分を熱に変換/吸収

       

      ノイズ対策には、ノイズの発生源、アンテナ形成部、ノイズ発生源とアンテナ形成部の配線を見つけて対策をとる。

      具体的には以下の4つの対策になる。

      • シールド:金属で覆って電位の安定している所(フレーム/グランドなど)に逃がす。
      •  反射    :ノイズ発生源から伝播するノイズを発生源に戻す。インダクタ/LCフィルタなどの対策部品でノイズ成分の伝導を防止する。
      •  吸収    :伝播するノイズを吸収し熱に返還する。抵抗やフェライトビーズなどの対策部品でノイズを吸収して熱に変換する。
      • バイパス:伝播するノイズを安定電位に逃がす。コンデンサやバリスタなどの対策部品でノイズをグランドに逃がす。

       

      回路設計におけるノイズ除去技術~フェライトビーズ等の特性を活かした最適対策の指針~

      図1.ノイズの伝わり方【出典:トランジスタ技術 SPECIAL No.82 第2章 ノイズの伝わり方と対策の基本 CQ出版】

       

      2. バイパスコンデンサ

      ノイズの電流をグランドにバイパスすることで、ノイズを除去する。このとき、バイパスコンデンサ(パスコン)のインピーダンスが小さい方が、電流が流れやすいので、より多くのノイズを除去できる。図2に示すように、コンデンサのインピーダンスは、理想的には静電容量が大きいほど小さく、周波数が高いほど小さいが、概ねV字型の曲線を示している。従って、高周波ノイズ対策には容量の小さいコンデンサを使用する。

       

      回路設計におけるノイズ除去技術~フェライトビーズ等の特性を活かした最適対策の指針~

      図2.コンデンサの周波数特性【出典:ノイズ対策 基礎講座【第1部】 第6章 EMI除去フィルタ 株式会社村田製作所】

       

      3. インダクタ

      コンデンサだけで十分にノイズを除去できない場合は、インダクタやフェライトビーズを利用する。インダクタには次のような特徴がある。

      • ・直流はほぼそのまま流れる
      • ・ノイズなど高周波の交流成分に対してはインピーダンスを持つ
      • ・周波数が高くなるほどインピーダンスが高くなり、通しにくくなり、信号ラインとGND間に並列接続すると、信号の高周波ノイズがGNDへバイパスされる。

       

      インダクタは低周波領域(共振周波数以下)では誘導特性があるが、それを超えた周波数帯域ではインダクタとしての機能は示さなくなる。図3に示すように、インダクタが大きいものほど、低い周波数からインピーダンスが上がるので、広帯域にわたる効果が期待できる反面、直流抵抗分が大きくなり、電圧ロスが発生する可能性があり、パスコンを追加して電源のインピーダンスを下げて、電流を供給する必要がある。

       

      回路設計におけるノイズ除去技術~フェライトビーズ等の特性を活かした最適対策の指針~

      図3.インダクタの周波数特性【出典:トランジスタ技術 SPECIAL No.82 第3章 ディジタルICの電源にインダクタンスを挿入する CQ出版】

       

      4. フェライトビーズ

      「フェライト」とは、主原料である酸化鉄に他の金属酸化物や微量添加物を加えた粉末原料を、混合・成型・焼成してつくられる磁性セラミックスで、これをビーズ状にしたものが「フェライトビーズ」である。フェライトは、金属磁性材料の1つで、電気的に抵抗率が極めて高いという特徴がある。フェライトビーズの構造はシンプルでフェライトでできたコアの中にリード線を通した形状になっている。リード線に電流が流れるとフェライトビーズの中に磁束が発生し、インダクタとしての熱に変換する働きにより信号波形の乱れ(ノイズ)を除去して、きれいな波形に戻す。フェライトビーズは、インダクタ(コイル)と抵抗(レジスタンス)を直列に接続した構成である。すなわち、図4に示すインピーダンス特性により、リアクタンス(コイル)成分と抵抗(レジスタンス)成分を併せ持つ。低周波領域では主にインダクタンス成分が機能してノイズを反射し、クロスポイントを超える高周波領域では、主に抵抗成分が機能してノイズを吸収して熱に変換する。

       

      回路設計におけるノイズ除去技術~フェライトビーズ等の特性を活かした最適対策の指針~

      図4.周波数インピーダンス特性【出典:ノイズ対策 基礎講座【第2部】 デジタル回路におけるノイズ対策部品の使い分け 株式会社村田製作所】

       

      5. まとめ

      ノイズ対策に使用される部品は図5に示すように、主にインダクタ(コイル)、フェライトビーズ、抵抗、コンデンサがある。インダクタのインピーダンスは周波数が高くなるにつれ大きくなる性質があるので、この性質により、ノイズ周波数が高くなるほどノイズの電流は通りにくくなり、負荷に表れる電圧はく小さくなる。従ってインダクタはコンデンサとは反対に、周りの回路のインピーダンスが小さい回路の方が、効果を発揮しやすいといえる。

       

      フェライトビーズは、リアクタンス成分と抵抗成分を併せ持つため、低周波領域では基本的にローパスフィルタとしてクロスポイントまでインダクタ(コイル)成分がノイズ電流を反射して阻止し、高周波領域で高い抵抗成分を持ち、ノイズを熱変換して遮断し、ハイパスフィルタとして機能する。抵抗はノイズエネルギーを熱に変換して吸収する。コンデンサは、周波数が高くなると、そのインピーダンスが低くなるため、信号ラインとGND間に並列接続(シャント接続)すると、信号の高周波成分(ノイズ)がGNDへバイパスされる。

       

      回路設計におけるノイズ除去技術~フェライトビーズ等の特性を活かした最適対策の指針~

      図5.信号ラインにおけるフィルタ選択

       

       

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      この記事の著者

      芥 正二郎

      民需向け情報通信機器の開発設計業務に約30年従事 その後、電子部品から電子機器のEMC/製品安全試験の評価と対策、信頼性評価/故障解析の業務に約13年従事

      民需向け情報通信機器の開発設計業務に約30年従事 その後、電子部品から電子機器のEMC/製品安全試験の評価と対策、信頼性評価/故障解析の業務に約13年従事


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