技術士~「現場のリアル」を武器にする最強の学び方~

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技術士~「現場のリアル」を武器にする最強の学び方~

【目次】

    機械設計の仕事に携わっていると、ふと胸に浮かぶ瞬間があります。

    • 「設計力をもう一段高めたい」
    • 「図面を引くだけでなく、全体を見渡せる設計者になりたい」

    そしてもう一つ、静かに湧き上がる思い『資格という形で、自分の技術力を証明したい』その象徴が 技術士(機械部門) です。しかし、多くの設計者が共通して抱える次の悩みがあります。

    • 「試験勉強が実務と結びつきにくい」
    • 「内容が抽象的で、学問的すぎて難しい」

    そこで本稿では、私自身の技術士としての歩みと、多くの技術者教育を行ってきた経験から確信した「設計現場のリアルは、技術士試験で最大の武器になる」という視点で、学び方のヒントをお伝えします。

     

    本記事を執筆した専門家「森内 眞」が講師のセミナー 一覧はこちら!

    1. 技術士試験の本質は『 実務の翻訳力 』にある

    【学問試験】

    本質はプロとしての説明能力です。筆記試験には次のようなテーマが並びます。

    • 熱・流体の基礎式
    • 機械材料の特性
    • 機械要素の設計
    • 信頼性、安全、品質工学
    • 設計プロセスとマネジメント

    これだけ見ると「理論偏重の学問試験」のようにも感じますが、しかし、実際に問われているのは 『それを現場でどう使うか』 を語る力です。技術士は「応用理学士」ではなく、れっきとした プロフェッショナルエンジニアです。したがって、現場でどう動いたか、どう問題を解決したかを論理的に説明できることが重要です。そしてその材料は、あなた自身が日々積み上げてきた失敗・改善・ひらめき・顧客対応・加工との調整といったリアルな経...


    技術士~「現場のリアル」を武器にする最強の学び方~

    【目次】

      機械設計の仕事に携わっていると、ふと胸に浮かぶ瞬間があります。

      • 「設計力をもう一段高めたい」
      • 「図面を引くだけでなく、全体を見渡せる設計者になりたい」

      そしてもう一つ、静かに湧き上がる思い『資格という形で、自分の技術力を証明したい』その象徴が 技術士(機械部門) です。しかし、多くの設計者が共通して抱える次の悩みがあります。

      • 「試験勉強が実務と結びつきにくい」
      • 「内容が抽象的で、学問的すぎて難しい」

      そこで本稿では、私自身の技術士としての歩みと、多くの技術者教育を行ってきた経験から確信した「設計現場のリアルは、技術士試験で最大の武器になる」という視点で、学び方のヒントをお伝えします。

       

      本記事を執筆した専門家「森内 眞」が講師のセミナー 一覧はこちら!

      1. 技術士試験の本質は『 実務の翻訳力 』にある

      【学問試験】

      本質はプロとしての説明能力です。筆記試験には次のようなテーマが並びます。

      • 熱・流体の基礎式
      • 機械材料の特性
      • 機械要素の設計
      • 信頼性、安全、品質工学
      • 設計プロセスとマネジメント

      これだけ見ると「理論偏重の学問試験」のようにも感じますが、しかし、実際に問われているのは 『それを現場でどう使うか』 を語る力です。技術士は「応用理学士」ではなく、れっきとした プロフェッショナルエンジニアです。したがって、現場でどう動いたか、どう問題を解決したかを論理的に説明できることが重要です。そしてその材料は、あなた自身が日々積み上げてきた失敗・改善・ひらめき・顧客対応・加工との調整といったリアルな経験そのものです。

       

      2. 設計現場の『 リアル 』こそ最強の教材になる

      【「 現場の事例を論文言語に翻訳する 」だけで合格に近づく】

      研修でもよくお伝えします。現場経験は、そのまま技術士論文の「事例」になるのです。たとえば、あなたの経験にこうしたことはありませんか?

      • 公差設定が曖昧で加工不良が続いた
      • 材料選定の思い込みでコストが上がった
      • 安全カバーのレビューでリスク見落としを指摘された
      • 不具合の根本原因を因果関係を整理しながら突き止めた

      これらはまさに技術士試験のテーマそのものです。

       

      • 公差問題 → 品質工学・加工法・統計管理
      • 材料選定 → 経済性・信頼性・加工性の説明
      • 安全カバー → リスクアセスメント・安全工学
      • 不具合対応 → 問題解決プロセスそのもの


      つまり、あなたの現場経験はすでに「解答」になっているのです。

       

      3. 学びの順番は「 知識 → 現場 」ではなく「 現場 → 体系知識 」

      【 参考書を積む前に、まず『 自分の現場 』を見る】

      多くの受験者は「理論を覚えなければ」と思い込み、勉強を優先します。しかし最も効率が良い順番は、次の3ステップです。

      • ① 現場経験を棚卸しする。・・・過去案件、成功と失敗、改善の背景を思い出す。
      • ② 『なぜ失敗したか』『どう改善したか』を言語化する。・・・自分の設計判断をストーリーとして整理する。
      • ③ その裏付けとなる知識を後から補強する。・・・必要な理論だけをピンポイントで学ぶ。


      この流れは、試験合格のためだけでなく、設計者としての思考を鍛えてくれます。

       

      4. 現場経験を『 論文で使える武器 』に変える3つの方法

      (1) 失敗と改善のストーリー化

      技術士が重視するのは、問題 → 原因 → 対策 → 効果 → 再発防止という流れ。過去の案件をこのフレームで書くだけで、論文の骨格が完成します。

       

      (2) 図面・加工・材料・安全・管理を横断的に見る

      技術士試験では普段の担当領域を超えた広い視点が求められます。しかし、日常業務の一つひとつがすべて“学習素材”になります。

       

      (3) 「なぜ?」を深掘りする癖をつける

      例えば「公差を ±0.1 にした理由」。熱膨張・加工能率・機能要求の観点で説明できるかどうかが、技術士レベルです。

       

      5. 技術士への挑戦で得られる『 設計者としての変化 』

      資格取得だけで終わらず、日々の仕事に大きな変化が生まれます。

      • 設計意図を論理的に説明できる
      • 図面の精度が上がり、手戻りが減る
      • 製造部門・加工業者との会話がスムーズになる
      • 不具合分析が構造化され、スピードが上がる
      • 安全や信頼性に対する感度が高まる
      • 若手を育てる力が向上する


      つまり 技術士への学びは、設計者としての実力を底上げする投資なのです。

       

      6. まとめ、設計者こそ技術士に最も近い場所にいる !

      多くの設計者を支援してきて、確信していることがあります。日々悩み、努力している設計者ほど、技術士に最も近い。技術士試験は“現場の臨場感”が強みになる試験です。あなたが積み重ねてきた経験は、誰にもまねできない最強の武器です。もし挑戦を迷っているなら、まずは、あなたの設計現場のエピソードを一つ、紙に書き出してみてください。そこから、技術士への道が確実に動き始めます。

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      この記事の著者

      森内 眞

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