ブラッグの式とミラー指数、X線回折:金属材料基礎講座(その131)

 

【目次】

    1. ブラッグの式とミラー指数

    X線回折(XRD:X-ray Diffraction)はX線が結晶体で起こる回折現象を利用して結晶構造の解析などを行うことです。光学顕微鏡やSEMは微小領域の観察に優れていますが、XRDでは試料の全体的、平均的な評価ができます。XRDの試料は板だけでなく粉末も分析可能です。むしろよい回折パターンを得るためには粉末が好まれます。

     

    ブラッグの式には結晶面の間隔に関する項目dがあります。そのままだと都合が悪いので、この結晶面の間隔を金属の結晶構造のミラー指数(100)、(110)などの面間隔として表した方が都合がよいです。立方晶における面間隔とミラー指数の関係は式(1)で表されます。そして、これをブラッグの式に当てはめると式(2)のようになります。

     

    2. XRD

    XRD装置の概略図を下図に示します。

    試料状態はできる限り板より粉末がよいです。それは試料面に(100)、(111)などの様々な面が並ぶことで回折強度のかたよりが少なくなるからです。試料は中心にセットされ、X線の発生器と回折したX線を検出する検出器が円軌道上にセットされています。入射X線が低角度側から高角度へ移動するとともに、入射角θと同じ角度で検出器も同時に移動します。入射X線と検出器の位置関係は試料を中心に2θとなります。XRDの測定結果が横軸2θとして表示されるのはこのためです。もちろん2θを半分で割ればθが得られます。

     

    図.XRDの概略図

     

    例としてAl粉末をXRD測定したグラフを下図に示します。なおX線はCuKαを使用しました。横軸が2θ、縦軸がcps(Count Per Second)というX線強度です。ピークが表れているところが回折強度が強め合っている角度です。

     

    図. AIのXRDの測定データ

     

    次回に続きます。

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