スピードこそがサプライチェーンのコア・コンピタンス

 アウトソーシング先である社外をも含む人的・物的経営資源の同期的連動の巧拙が、生産財メーカーにとってのスピードを決めると言って良いでしょう。このとき生産財の場合のメイクマネーにつながるものは、、顧客のメークマネー(金儲け)にどれだけ貢献するかという顧客満足になります。サプライチェーンマネジメントと顧客満足(CS)とは密接に関係しているのです。

 

1 CSとサプライチェーンマネジメント

 価格の点のみでしか顧客の利益に貢献できないのであれば、対立の関係、すなわち相手が儲け自社が損をするだけか、自社が儲け顧客が損をするだけです。サプライチェーンマネジメントの切り口から見ると、自社も顧客も利益を上げる関係(WIN-WIN)、すなわち、スピードが顧客の利益になることを戦略的に認識することになります。どの業務もサプライチェーンのスループット、すなわちキャッシュフローを決定するボトルネックになる可能性を持ち、生産財も顧客にとって連鎖する業務(サプライチェーン)の一部であるために、その可能性があります。生産・販売などの経営活動の操業時間喪失に影響する可能性、すなわち納期の遅れが顧客の供給連鎖オペレーションの機会損失となる可能性を、どんな生産財であってももっているわけです。従来、製造業の経営課題が時間よりもコストダウンに焦点が当てられてきたことに関係し、契約納期に記載されていてもこの時間損失を金額に換算することはまともに取り上げられてきませんでした。

 例えば投資金額総計50億円により構成されるサプライチェーンに、金型の300万円の供給遅れがあるとしましょう。1日平均5,000万円<年間稼動日200日=年商100億円>のスループットのサプライチェーンとすれば、この金型がボトルネックになっている場合の収益構造のメカニズムからすると、1日の納期遅れによる機会損失は5,000万円、2日遅れであれば1億円、5日間の遅れは25,000万円になります。ところが議論は300万円の価格交渉の上下10%<±30万円>に明け暮れてしまうことが多く、ボトルネックの認識が不明確になってしまいます。我々の計算は、すべてコストで行うという癖がついているのです。

 

2 熟練と在庫

 企業にとって運転資金の回転スピードを上げる要因は、サプライチェーンの経営資源の調達スピードとそれによる資材・部品・製品の流れのスピードです。生産財の経営のコア・コンピテンシーは、コンセプト設計から量産・販売・納入までのリードタイム(タイム・ツー・マーケット)であることに疑いありません。生産財の顧客に、柔軟でダイナミックな市場への対応を可能にさせることこそ、このスピードなのです。そして競合の動きへの素早い対応による素早いマーケテイング・ポジショニングの変更と、顧客ニーズの...

迅速な把握を可能とします。実は金型メーカーを始めとする日本の生産財メーカーが、それらを可能にする能力を世界の多くの製造業に提供しています。金型の世界市場の約40%を日本のメーカーが占めていますが、日本市場での規模は5,000億円程度です。数千兆円を下ることのない物量規模で、生産財はサプライチェーンの経営資源となり多くの業種で経済活動に貢献しているでしょう。今後も勝ち残り続けるためのコア・コンピタンスは、顧客にとって生産財の時間価値、スピードに計り知れない価値があるという事実に基づいて検討されなければなりません。
◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』

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