整頓の標準化:ジャスト・イン・タイム生産(その28)

 

【実践編 目次】

第1章 改革の土台をつくる

(1)意識改革で改革の前提をつくる
   すべての改革は意識改革から始まる/3つの改革
(2)「整理」で要るモノ・要らないモノを明確にする
   「5S・3定」で基礎をつくる/「整理」とは捨てるモノを明確にすること
   不要なモノが引き起こすムダと問題/「赤札作戦」で不要なモノをオモテ化する
(3)「整頓」でモノの置き場・置き方を標準化する←今回の記事
   使いやすく、分かりやすく/整頓①田の字レイアウト
   整頓②ストライクゾーン/整頓③先入れ先出し
   整頓④置き場線で区画する/整頓⑤分かりやすく表示する「看板作戦」
   戻しやすさの追求
(4)「清掃」を日常的な点検・保全につなげる
   清掃点検・保全を一連の作業とする
(5)「清潔」は事後処理から予防へと踏み込む取り組み←今回の記事
  「予防3S」のしくみをつくる/予防整理:要らないモノを発生させない
   予防整頓:戻さなければ乱れない/予防清掃:ゴミを発生させないしくみ
(6)「躾け」で職場に緊張感をつくる
   

第1章 改革の土台をつくる

 改革を行なう際には、しっかりとした土台づくりが大事です。そのために必要なのが「意識改革」と「5S・3定」。整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)を中心とする現場改革の基本です。

(5)「清潔」は事後処理から予防へと踏み込む取り組み

 「予防3S」とは、整理・整頓・清掃をしなくてもすむ方法のしくみ化です。

◆ 予防整頓:戻さなければ乱れない

 整頓に対する意識が低い職場や現場では、置き場線による区画がなかったり、「3定」の表示がなかったりと、モノの置き方の基本ルールが設定されていない場合が多いのです。このような職場や現場では、当然のごとく、モノは乱れています。

 材料などは、製品がつくられると消費されますが、治具や工具、金型などは、使われると、元の位置に戻ってきます。その戻ってくるときに乱れが発生するのです。

 そのたびに「乱れたら、戻す」をやっても、 きりがありません。まずは、整頓のルールを決め、徹底する。さらに一歩進めて、「整頓の予防」を考えましょう。なぜ、モノは乱れるのでしょうか? 戻すからです。ならば、戻さなくてもよいしくみを考えます。それが、整頓の予防になります。

 

◆ 予防清掃:ゴミを発生させないしくみ

 ゴミやホコリ、切粉やチップなどは、飛散する性質を持っています。

 だから、職場や現場が汚れるのです。発生源は小さいのですが、作業者の靴の裏やフォークリフトのタイヤに付着して運ばれ、シャッターやドアの開閉によって吹き飛ばされ、予想以上に遠くまで飛散するものです。何度清掃をしても、いつの間にかまた飛散し、清掃をする、というエンドレスになります。

 汚れているから掃除するという「事後清掃」をやめるには、ゴミを発生させないし...

くみを考えなければなりません。切粉はどこから飛んでくるのか? それを追跡し、原因や発生源が突きとめられたら、まず、発生源にカバーを付けるなどして、飛散を防ぎます。

 さらに、穴をあけたり、加工をするために、切粉やチップが発生するのなら、ほかの加工方法にできないか?と、切粉やチップそのものを発生させない方法を考えていきます。このように、掃除そのものをなくす「予防清掃」というレベルを目指すのです。

 

 次回に続きます。

 

 【出典】古谷誠 著 『会社を強くする ジャスト・イン・タイム生産の実行手順』中経出版発行(筆者のご承諾により連載)

 

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