実践編 ジャスト・イン・タイム生産(その20)

 

 

 【実践編 目次】

 第1章 改革の土台をつくる

(1)意識改革で改革の前提をつくる
   すべての改革は意識改革から始まる/3つの改革
(2)「整理」で要るモノ・要らないモノを明確にする←今回の記事
   「5S・3定」で基礎をつくる/「整理」とは捨てるモノを明確にすること
   不要なモノが引き起こすムダと問題/「赤札作戦」で不要なモノをオモテ化する
(3)「整頓」でモノの置き場・置き方を標準化する
   使いやすく、わかりやすく/整頓①田の字レイアウト
   整頓②ストライクゾーン/整頓③先入れ先出し
   整頓④置き場線で区画する/整頓⑤わかりやすく表示する「看板作戦」
   戻しやすさの追求
(4)「清掃」を日常的な点検・保全につなげる
   清掃点検・保全を一連の作業とする
(5)「清潔」は事後処理から予防へと踏み込む取り組み
  「予防3S」のしくみをつくる/予防整理:要らないモノを発生させない
   予防整頓:戻さなければ乱れない/予防清掃:ゴミを発生させないしくみ
(6)「躾け」で職場に緊張感をつくる
   

 

第1章 改革の土台をつくる

 改革を行なう際には、しっかりとした土台づくりが大事です。そのために必要なのが「意識改革」と「5S・3定」。整理・整頓・清掃・清潔・躾(しつけ)を中心とする現場改革の基本です。

(2)「整理」で要るモノ・要らないモノを明確にする

◆ 「赤札作戦」で不要なモノをオモテ化する

 「整理」のためには、不要なモノをオモテ化する必要があります。そのために有効なのが 「赤札作戦」という手法です。

 「赤札作戦」とは、職場・現場にはびこっている「要らないモノ」に赤い紙「赤札」を貼り、誰が見ても要らないモノだとはっきり分かるようにする方法です。

 この作戦は短期間に、一斉に行なうのがコツです。全社を挙げ行なうことで「職場・現場にはこんなに要らないモノがあったのか」と認識させることができます。赤札作戦は、ジャスト・イン・タイム(JIT)改革を始めるきっかけづくりとしても非常に有効です。改革が始まることを印象づけます。

図. 赤札作戦の手順

 

 赤札作戦は、上図の手順で行ないます。効果はバツグンで、職場や現場が広くなり 、積み替えや載せ替えといった作業者の負担がなくなり、作業効率が目に見えてアップします。そのうえ、 JIT改革に対する抵抗感を打ち破る力もあるのです。しかし、一度「赤札作戦」を行なっても、 しばらくすると、また、不要なモノは出てくるものです。そこで「赤札作戦」によって、不要なモノが誰の目にも分かるようになったら、次の「...

整頓」のステップへ移ります。

 なぜ、不要なモノが発生してしまうのか、その原因追究を行ない、二度と発生させないように「心」の整理を行なうのです。たかが赤札を貼るだけと思うかもしれませんが、この活動を繰り返すことで、改革・改善の基礎をつくり、 JIT改革のステップアップへとつなげるのです。

 

 次回は「(3)「整頓」でモノの置き場・置き方を標準化する」について解説いたします。

 【出典】古谷誠 著 『会社を強くする ジャスト・イン・タイム生産の実行手順』中経出版発行(筆者のご承諾により連載)

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