クリーン化4原則-2 クリーン化について(その27)

 

 連載その16で『クリーン化4原則+監視』を述べてきましたが、前回からクリーン化4原則について個別に解説しています。今回は、クリーン化4原則“持ち込まない”の続きとなります。

 

図1. クリーン化4原則

1. ゴミを持ち込まない

 最初の入室ルールのところで、説明を省いたことがありますので、ここで解説します。基本的なことですが、発塵しやすいものは持ち込まないことです。
 例えば、下記のようにクリーンルーム外で一般的に使われるものです。

 こんな事例がありました。清浄度の低いクリーンルームを持つ、ある会社から指導を依頼され、現場に入った時のことです。現場の上司が作業者に給料明細を手渡していました。このことを指摘したところ「全員が集まる場所で手渡すのは昔からの慣例だったので、疑問に思わなかった」と言っていました。このようなことも意識し、周囲を見直してみましょう。

【材料・機械はクリーニングしてから持ち込む】

 ・材料や機械などは、エアシャワーを浴びず、別の扉から搬入してしまうことがあります。

 段ボールや発泡スチロールなどの梱包材、設備のカバーや材料の容器などに沢山(たくさん)のゴミ、汚れが付着していますので、持ち込み前にきちんとクリーニングしましょう。半導体前工程では、設備搬入のために前室を設けているのが一般的です。ここで徹底的にクリーニングしてからクリーンルームに持ち込みます。

 

 ・部品、材料などやオイル類の持ち込みもきちんとクリーニングする。そしてエアシャワーや専用のパスボックスから持ち込むことが必要です。

 非常ドアなど、他の入り口から入れてしまうことがないようにする。これらのことは、持ち込みに関する項目・内容をまとめ、標準化することです。

 

 ・修理などの場面では、メーカーが持ち込む工具や工具入れが汚れている場合があります。

 メーカーは遠くから出張してくることが多いのではないでしょうか。その時持ってくる工具入れや鞄などは、飛行機や電車内の床、駅のホーム、バスやタクシー乗り場の一時置きなどで、床や地面に置くことが多いです。あちこちで様々なゴミ、埃(ほこり)が付着します。それをクリーンルームに持ち込んでしまうと、付着物によっては、なんだか分からない汚染が起きるかも知れません。

 

 過去に、こんなびっくりする例もありました。

 修理しようと、クリーンルーム内で工具入れや鞄を開いたところ、移動の間に読んだ新聞や雑誌、折りたたみ傘などが出て来た例があります。しかも清浄度の高い垂直層流方式のクリーンルーム内で起きた事例です。このメーカーの方に注意したところ、クリーン化の意識は持っていなかったとのことです。
 こんなにすごい設備を作っているメーカーだから、細かなことにも注意を払っているのだろうと油断してしまうとこうなるのです。

 私がクリーン化のセミナーを担当して思うことは、設備メーカーの方の受講者が少ないことです。受け入れる側(ものづくりの現場)だけでなく、設備メーカーのクリーン化意識を高めることも必要だと感じます。相互に意見交換をしながら、設備の品質、ものづくり品質両面を高めていきたいですね。現場だけに作り込み品...

質を高めることを要求するよりも効果があるでしょう。 
 清浄度の高いクリーンルームではルールや標準を決め、メーカーの方にも守ってもらうことや、入室前に相互で確認しているところも多いでしょう。工具にはどこを触ったのか分からない汚れや、グリスがついていたりする場合もあります。それでは設備を汚してしまうので、きちんとクリーニングを行ってから作業に入るよう、きちんと依頼し立ち会うことが重要です。全てお任せでは大変なことになります。

 ・クリーンマット(除塵マット)などクリーン資材であっても、クリーンルーム外に保管してあるものを持ち込む時は、ゴミが付着していることを前提に、しっかりクリーニングを行って持ち込むことです。

 

 次回に続きます。

◆関連解説『環境マネジメント』

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