基本的な考え方 ジャスト・イン・タイム生産(その10)

 

 

【目次】

第2章 基本的な考え方を押さえておく

(1) 「改革」である
  「改善」と「改革」の違いとは
  「自己啓発」ではなく「自己革新」を行なう
  「改革」と「改善」を使い分ける
(2) 「ムダ取り」である
   生産性の向上は改革の結果
  「ムダ」とは何か
(3) 「流れ」である
   製造業には7つの流れがある
   流れ化の5つのポイント
   流れ生産の基本は「1個流し」
   1個にこだわる

(4) 「少人化」で生産性を上げる
   見せかけの「効率的」にごまかされるな ← 今回の記事
   効率化とはできるだけ少ない人員で対応すること ← 今回の記事

(5) 大切なのはタクトタイムを守ること
   個々の効率・全体の効率
   「タクトタイムを守る」とは
   企業全体の同期を図る
(6) もうひとつの「5S」でスモールメリットに対応する
   スケールメリットからスモールメリットヘ
(7) 7つの経営課題をゼロベースで考える
   「ゼロベース発想法」で課題を根本から解決する

 

第2章 基本的な考え方を押さえておく

 ジャスト・イン・タイム(JIT)生産を実現するためには、JITの考え方を理解しておく必要があります。JIT改革で重要なキーワードを取り上げて説明します。

(4) 「少人化」で生産性を上げる

 正しい「効率」の考え方を理解し「少人化」で効率的な人員配置を実現する。

◆ 見せ掛けの「効率的」にごまかされない!

 JIT改革の体系のなかに「少人化」という要素があります。聞き貫れない言葉だと思いますが「顧客の要求に合わせて、最も効率的に人員を投入する」ということです。この「効率的」とはどういうことかを考えてみましょう。製造業では「生産性」の向上が大きな課題です。生産性とは、顧客からの要求(需要)に対して、どれだけ産出(供給) したかということをいい、下記の公式で計算されます。

 

 生産性を上げるには、以下の3つの施策が考えられます。

  1. 分母(投入工数)は同じで、分子(生産量)を上げる
  2. 分母(投入工数)を下げて、分子(生産量)は同じ
  3. 分母(投入工数)を下げて、分子(生産量)を上げる


 下図に示した「生産性向上のための3つの施策」を見てください。例えば、10人で100個の製品を作っている企業が、顧客から100個の注文を受けました。生産性を上げるために、以下の3つの施策が提案されたとします。

 施策①では、同じ10人で200個生産します
 施策②では、半分の5人で100個生産します
 施策③では、半分の5人で200個生産します

 

図.生産性向上のための3つの施策


 どの施策も、生産性は向上しているようにみえます。施策①、②では生産性が2倍に、施策③では4倍になったようにみえます。しかし、職客の注文は100個なのですから、それ以上作っても意味はありませんので、取るべき施策は②ということになります。生産量を増やせば生産性が向上すると考えるのは間違いで、それは、見せ掛けの生産性に過ぎないのです。①、③では逆に、100個も余分な在庫を作ってしまうことになり、在庫のムダや運搬のムダ、管理のムダなど、さまざまなムダを生み出します。残念ながらそれは、顧客のニーズを忘れた、生産側の勝手な勘違いなのです。

 

◆ 効率化とはできるだけ少ない人員で対応すること

 JIT改革では「要求高=生産量」が大前提になります。

 施策②は、100個を5人で作る方法です。同じ100個を作るにしても、最少人員の5人で行なう。こ...

の方法が、最も生産性が高いのです。これが「少人化」の考えです。「少人化」とは、単に「人員を減らす」という意味ではありません。「顧客ニーズに対して、最も効率のよい人員を投入(配置)する」ことです。これが、正しい効率化の考え方です。

 変化の激しい顧客ニーズに応えるためには、多品種化や短納期化に対応しなければなりませんので、生産ラインを柔軟にしておかなければなりません。そのためにはどうすればいいのか、第2章でその方法を紹介します。①や③を選んだ人は、これまでの考え方を変える必要が出てくるでしょう。

 次回は、(5)大切なのはタクトタイムを守ることから解説を続けます。


 【出典】古谷誠 著 『会社を強くする ジャスト・イン・タイム生産の実行手順』中経出版発行(筆者のご承諾により連載)

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