3D-CADの効果とは

1.3D-CADの概要

 3D-CADは1970年代後半に出現しました。当時は機能、価格とも一般に運用できるレベルではありまあせんでしたが、全てのIT技術がそうだった様に、高機能、低価格化へと進化してきました。特に1990年代後半から“ミッドレンジ3D-CAD”と言う言葉に代表される様に、Windowsに完全準拠した3D-CADが市場に投入されると、1千万円クラスの3D-CADも100万円前後となり、一気に製造業の設計部門に浸透していったのです。

 今や3D-CADありきの開発~設計~製造と、もの作りの骨幹をなすTOOL(道具)となっています。
さらに、解析機能との連携で開発、設計品質を引き上げており、その進化の過程は、この後“3Dテクノロジーの進化”で詳しく記述します。

 

2.3D-CADの効果

 3D-CADの導入(運用)効果の第一は“見える化”でしょう。2D図面では、一角法、三角法と言った作図ルール(図学)を理解する所から始まり、形状や構造、機能(動作)を伝える為に、断面図や拡大図、詳細図を多用して、設計者の意図を伝えていました。設計意図(開発意図)を伝える手段としては、難解で作図ルールを理解している人たちだけが、その情報を読み取れると言う状況だったのです。それが3D化=見える化によって、作図ルールを知らない人でも、一目瞭然と言う状況を作り出しました。 開発、設計に携わらない人でも、形状、構造、機能を短時間で理解できると言う効果が有ります。

 3D 化には“空間認識”という効果もあり、新規設計(開発)された製品が使われる空間(エリア)、部品同士の位置、結合関係、他製品との連携と言った空間設計、干渉回避が可能で、2D図面では、見落としがちな干渉が3D化によって回避できます。配線、配管なども正確で無駄のない経路計算が出来る事で、部材の無駄を大幅に削減できます。質量、体積、面積、重心などは瞬時に計算できるのも3D-CADの効果で、より軽く、より丈夫な素材選定や素材コスト計算が瞬時にできます。

 現在市場に出ている3D-CADは、解析機能(シミュレーション)を有する物も多数あり、設計者が簡単に使える解析から専門性の高い解析機能との連携と言った事が当たり前になってきています。

 また人にやさしい(簡単な)立体形状作成で、3Dプリンターの運用も3D-CAD有っての恩恵と言えます。3D-CADの効果を列挙したら、きりがありません。

 

3、3Dテクノロジーの進化

 1970年代後半に出現した、3D-CADを“第一世代”と呼びます。この頃の3D-CADは表示能力も貧弱で、万人が見て立体に見えると言う物ではありませんでした。単純な四角柱を想像して頂けばよいのですが、稜線に線を引いたワイヤーフレームと言う表示手法です。その後、線から面(サーフェース)へと進化していきましたが、機能もオペレーションも誰でも使えるものではありませんでした。

 1980年代に出てきたのが“第二世代”ソリッド、フィーチャーパラメトリック(履歴モデリング)と言うテクノロジーで、3D-CADが世に広まり始めた時代で、この頃から開発、設計、製造現場に3D-CADが普及してきました。

 そして1990年代半ば“第三世代”が出現しました。Windows準拠でエクセルやワードと言った他のWindowsソフトとの連携もさることながら、何より高機能化、低価格化により、一般の製造業へ爆発的に普及して行ったのです。「誰でも3次元」、「何処でも3次元」時代の到来です。

 ダイレクトモデリング、履歴モデリングと言う言葉をご存知の方も多いかと思います。“第一世代=ダイレクトモデリング” “第二世代=履歴モデリング”であり、第三世代においても履歴モデリングが市場を席巻していますが、今でも履歴に依存しないダイレクトモデリングも一部の設計者に指示されています。
 “履歴モデリング”と“ダイレクトモデリング”は、両者ともそれぞれ、長所、短所を持っています。パラメトリックに形状変更する事に関しては、履歴モデリングの強みですが、基本仕様として定義した関係を変更しようとすると、モデル形状が成り立たないといった事が起こり、モデリング作業を一からやり直す事も時には発生します。
 これに対し、ダイレクトモデリングでは形状の参照関係が無い為、何処でもある程度自由に変更が可能です。(ジオメトリが変わる変更はNG)しかし、関連形状を自動的に変更する事が出来ない為、設計者(オペレーター)が自ら関連形状を認識して、変更すると言った地道な作業が必要となります。
“履歴モデリング”と“ダイレクトモデリング”の長所、短所はそれぞれ相反する関係にあり、具体的な事例に関しては、別の機会に述べさせて頂く事としましょう。

 ここまで来ると、両者の良い所を実現できないかと誰もが思いますね。そこで“第四世代”履歴モデリング+ダイレクトモデリングが2008年に発表されています。SIEMENS PLM社製の“シンクロナス・テクノロジー”です。これは、“ダイレクトモデ...

1.3D-CADの概要

 3D-CADは1970年代後半に出現しました。当時は機能、価格とも一般に運用できるレベルではありまあせんでしたが、全てのIT技術がそうだった様に、高機能、低価格化へと進化してきました。特に1990年代後半から“ミッドレンジ3D-CAD”と言う言葉に代表される様に、Windowsに完全準拠した3D-CADが市場に投入されると、1千万円クラスの3D-CADも100万円前後となり、一気に製造業の設計部門に浸透していったのです。

 今や3D-CADありきの開発~設計~製造と、もの作りの骨幹をなすTOOL(道具)となっています。
さらに、解析機能との連携で開発、設計品質を引き上げており、その進化の過程は、この後“3Dテクノロジーの進化”で詳しく記述します。

 

2.3D-CADの効果

 3D-CADの導入(運用)効果の第一は“見える化”でしょう。2D図面では、一角法、三角法と言った作図ルール(図学)を理解する所から始まり、形状や構造、機能(動作)を伝える為に、断面図や拡大図、詳細図を多用して、設計者の意図を伝えていました。設計意図(開発意図)を伝える手段としては、難解で作図ルールを理解している人たちだけが、その情報を読み取れると言う状況だったのです。それが3D化=見える化によって、作図ルールを知らない人でも、一目瞭然と言う状況を作り出しました。 開発、設計に携わらない人でも、形状、構造、機能を短時間で理解できると言う効果が有ります。

 3D 化には“空間認識”という効果もあり、新規設計(開発)された製品が使われる空間(エリア)、部品同士の位置、結合関係、他製品との連携と言った空間設計、干渉回避が可能で、2D図面では、見落としがちな干渉が3D化によって回避できます。配線、配管なども正確で無駄のない経路計算が出来る事で、部材の無駄を大幅に削減できます。質量、体積、面積、重心などは瞬時に計算できるのも3D-CADの効果で、より軽く、より丈夫な素材選定や素材コスト計算が瞬時にできます。

 現在市場に出ている3D-CADは、解析機能(シミュレーション)を有する物も多数あり、設計者が簡単に使える解析から専門性の高い解析機能との連携と言った事が当たり前になってきています。

 また人にやさしい(簡単な)立体形状作成で、3Dプリンターの運用も3D-CAD有っての恩恵と言えます。3D-CADの効果を列挙したら、きりがありません。

 

3、3Dテクノロジーの進化

 1970年代後半に出現した、3D-CADを“第一世代”と呼びます。この頃の3D-CADは表示能力も貧弱で、万人が見て立体に見えると言う物ではありませんでした。単純な四角柱を想像して頂けばよいのですが、稜線に線を引いたワイヤーフレームと言う表示手法です。その後、線から面(サーフェース)へと進化していきましたが、機能もオペレーションも誰でも使えるものではありませんでした。

 1980年代に出てきたのが“第二世代”ソリッド、フィーチャーパラメトリック(履歴モデリング)と言うテクノロジーで、3D-CADが世に広まり始めた時代で、この頃から開発、設計、製造現場に3D-CADが普及してきました。

 そして1990年代半ば“第三世代”が出現しました。Windows準拠でエクセルやワードと言った他のWindowsソフトとの連携もさることながら、何より高機能化、低価格化により、一般の製造業へ爆発的に普及して行ったのです。「誰でも3次元」、「何処でも3次元」時代の到来です。

 ダイレクトモデリング、履歴モデリングと言う言葉をご存知の方も多いかと思います。“第一世代=ダイレクトモデリング” “第二世代=履歴モデリング”であり、第三世代においても履歴モデリングが市場を席巻していますが、今でも履歴に依存しないダイレクトモデリングも一部の設計者に指示されています。
 “履歴モデリング”と“ダイレクトモデリング”は、両者ともそれぞれ、長所、短所を持っています。パラメトリックに形状変更する事に関しては、履歴モデリングの強みですが、基本仕様として定義した関係を変更しようとすると、モデル形状が成り立たないといった事が起こり、モデリング作業を一からやり直す事も時には発生します。
 これに対し、ダイレクトモデリングでは形状の参照関係が無い為、何処でもある程度自由に変更が可能です。(ジオメトリが変わる変更はNG)しかし、関連形状を自動的に変更する事が出来ない為、設計者(オペレーター)が自ら関連形状を認識して、変更すると言った地道な作業が必要となります。
“履歴モデリング”と“ダイレクトモデリング”の長所、短所はそれぞれ相反する関係にあり、具体的な事例に関しては、別の機会に述べさせて頂く事としましょう。

 ここまで来ると、両者の良い所を実現できないかと誰もが思いますね。そこで“第四世代”履歴モデリング+ダイレクトモデリングが2008年に発表されています。SIEMENS PLM社製の“シンクロナス・テクノロジー”です。これは、“ダイレクトモデリング”と“履歴モデリング”の共存だけでなく、履歴(フィーチャー)を持たない形状、例えば、IGES、PARASOLID等々の中間形式の3Dモデルに対して、後付けでパラメトリック変更できると言う優れものです。

 

4、まとめ

 3D-CADは、開発、設計の道具(TOOL)です。最新の道具を使いこなす事は、開発、設計工数短縮につながる事は言うまでもありません。
 自社の業務に適合した道具を選ぶことは重要な事ですから、人気や価格だけで選んでは進化する時代に遅れることになります。約10年毎に進化してきた3D-CADの現在の最新テクノロジーは、“履歴モデリング+ダイレクトモデリング”です。

 今一度、冷静に3D-CADを考える機会となる事を願います。

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この記事の著者

林 俊次

3D-CADの開発・設計・製造における活用はおまかせください!

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