17の目標と取り組み方 SDGsの考察(その1)

 

【SDGsの考察 連載目次】

1. 17の目標と取り組み方

2. トヨタ:豊田綱領の理念はSDGsと同期する

3. サントリー:2030年までにマテリアルリサイクル率100%

 

 今回から、SDGs[1]の考察として連載で解説します。

1、SDGs・17の目標

 今なぜ、SDGsに着目しているかですが、いわば私のSDGsに対する、動機・モチベーションです。

 環境対応技術の側面で次世代自動車を見てみると、どんな動力機構、エネルギー源であれ共通項として車体の軽量化の必要性があげられます。ハイブリッドであろうがモータであろうが、また電池や水素、ガソリンの継続使用であっても、とにかく車体を軽くすることは重要なポイントです。

 一方、私が長きに渡ってかかわってきた樹脂や成形加工は、アゲインストの風の真っただ中にいるような状況になっています。

 次世代車軽量化のため欠くことのできない、そしてメインともなるソリュ―ジョンは今や悪者の代表にもなりつつある「樹脂」の活用です。

 このことを上図のSDGsの17の目標に当てはめると、13のために14がトレードオフになるわけです。なお軽量化ではありませんが、別のソリュ―ジョンである化石燃料からの置き換えは、7にも通じるところがあります。水素エネルギー社会がそれに相当するでしょう。

 何やら複雑に絡み合います。実は、SDGsの総括説明ではそれぞれの目標は相互に影響し合うものであろうことが明言されています。それは時には背反的に作用することも認めています。

 SDGsは、アバウトな指針でもあるので、そのような際の対策方法までは記されていません。また、SDGsは例えばEUの自動車に対する二酸化炭素排出規制のような罰則はありません。これらを私なりに解釈すると「知恵出して頑張ってやってほしいな」という、アバウトな目標に見えてきます。

 強制されず、知恵を求められる分、面白みがあるように思えるのです。

 

2、SDGsは慈善ではなく、戦略

 2020年の日経SDGsフェスティバル、初日冒頭のハーバード大学 ジョン・ジェラルド・ラギー氏の講演を視聴したコメントです。何度か強調していましたが「SDGsは慈善ではなく、戦略である」との発言が、SDGsに対する取り組み方の考えをクリアにしてくれるものでした。

 企業として、戦略的な方向性として事業に取り組む、あるいは社会ニーズにどう答えていけるのか?の戦略である という要旨でした。

 ESG投資は、2012年頃から急激に拡大してきましたが、金融機関の企業取り込みとして理解が進み、実務に取り込まれたからだそうです。ESGへの積極投資は、非積極投資と比較すると+3.4%のリターンという興味深い成果であると示していました。

 

 SDGsは自動車炭酸ガス排出規制のような罰則はありません。企業としては、ESG視点で取り組むことでブランド評価が上昇するという成果はあります。ただし、すぐに定量的利益として示せるものではありません。「SDGsは慈善ではなく、戦略である」ということは、戦略を上手に作れば、利益にも通じるものがあること示しています。

 トヨタ生産方式の視点で、カイゼンのお手伝いをしてます。品質向上とコスト低減が同時達成できます。もっとも楽な作り方は安定的で使うエネルギーも少なく、結果として安価になり環境負荷も少ない、SDGsに対する取り組み方はこの論理に似ているように感じま...

した。

 次回に続きます。

 [1]持続可能な開発目標(SDGs)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でより良い世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。 SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいます(引用:外務省のホームページから)。

◆関連解説『SDGs』

 【出典】技術オフィスTech-T HPより、筆者のご承諾により編集して掲載

↓ 続きを読むには・・・

新規会員登録


この記事の著者