マーケティングにおける4Pと4C

♦ 成熟社会を意識したマーケティングを

1. マーケティングとは


 マーケティングを一言でいえば「売れるしくみづくり」のことを指します。どんなに良い製品やサービスを生み出したとしても、需要につながらなければビジネスとしては成立しないからです。そこで売り手と買い手をつなげ、取引(価値交換)が活発に行われるようにする仕組みを考えるのがマーケターの役割です。価値交換がなされる場所を私たちは市場(マーケット)と呼んでいます。すなわちマーケティングとは「市場を創造すること」でもあるのです。
 重要なことは、市場の中で自社の商品やサービスをどのように買い手に伝えるかということです。そのためには、誰(セグメンテーション、ターゲティング)に対して、どのような価値を提供すべきなのか(ポジショニング)を、まず明確にしなくてはいけません。すべての人が同じものを欲するわけではありません。
 自動車のマーケティングを例として考えてみましょう。家族構成、年収レベルなどが“セグメンテーション”にあたります。またアクティブ派(スポーツやアウトドア好き)なのか、旅行派(年に何回か家族で国内旅行に出掛ける)などが“ターゲティング”です。走りのよさと居住性の高さを両立したSUVというのが“ポジショニング”にあたります。

図1. マーケティングのSTP、4Cとは

2. マーケティングのSTPとは

  • セグメンテーション(市場細分化)
  • ターゲティング(対象市場設定)
  • ポジショニング(対象市場における競争優位性の設定)

3. マーケティングの4Pとは

 マーケティングのフレームワークとして有名なのが「4P」です。1960年にジェローム・マッカーシー(Jerome McCarthy)によって提唱された概念で、企業のマーケティングを考える上で重要な要素を4つに整理・集約したことで広く用いられるようになりました。
 “誰に何をいくらでどのように売るのか?”を4つのPの要素に分けて検討します。

Product=製品戦略(品質・機能・デザイン・ラインナップ・技術力・保守サービス など)
 “何を”の部分は最重要であることはいうまでもありません。ターゲットセグメントから見て魅力的な製品やサービスをつくりあげなくてはビジネスにならないからです。

Price=価格設定(価格・導入形態・支払い方法・支払い条件など)
 マーケティングの中でも価格優位性は大きな差別化要因になります。製品やサービスそのものによる差別化が難しくなっている時代にあって、顧客から見た時の“コスト要因”は、購入するか否かの有力な判断基準の一つとなるからです。

Place=販売チャネル(流通経路・店舗の立地条件・在庫・店の品揃え・配送 など)
 直接販売か、代理店による販売か、訪問販売によるプッシュ型か、通信販売によるプル型か、店舗による対面販売か、ECによるネット販売かになります。インターネットの発達により、顧客に価値を届ける方法は近年大きく変化しつつあります。また流通と決裁システムが統合されており、様々な形態が選択できるようになりました。

Promotion=広告・販促(広告宣伝、広報、販促活動、メディア活用 など)
 イベント、キャンペーン、セミナー、Web、検索連動広告、メルマガ、DM、プレスリリース、カタログ、媒体を戦略的にどう活用するか、本格的なデジタル時代とともに、顧客に確実に到達するために戦略的なプロモーションの実行が求められます。

4. マーケティング・ミックスとは

 ターゲットセグメントのニーズに対応した「製品」を開発し、適切な「価格」を設定し、効率的な「販売チャネル」を構築し、効果的な「プロモーション」を組み合わせて展開することから、4Pをマーケティング・ミックスと呼んでいます。

5. マーケティングの4Cとは

 4Cはロバート・ロータボーン(Robert F.Lauterborn)が1993年に提唱した概念です。4Pを「売り手・供給者視点」と捉え、これからは消費者側からの「買い手・需要者視点」が大事だと主張し、4Pを消費者・顧客視点から見た価値に置き換えて再定義しました。
 それまでの供給者側の視点で考えるマーケティング・ミックスが4Pだとすると、需要者(買い手)の視点で考えるマーティング・ミックスが4Cです。

図2. 4Pと4Cの比較


Customer Value=顧客価値

 製品(モノ)そのものではなく、製品がもたらす体験(コト)に焦点を当て、顧客が製品を手にした時のメリットやベネフィット(利益、恩恵など)を考えます。

Cost=経費
 顧客がその製品やサービスを購入するまでにいくらかかるのか?どのくらいのコストであれば妥当かという考え方です。

Convenience=顧客利便性
 顧客の利便性を優先させた入手しやすい経路の提供方法を考えます。

Communication=コミュニケーション
 供給側からの一方的な訴求ではなく、製品のアフターサービス対応や、使い勝手向上に関するユーザーコミ...

♦ 成熟社会を意識したマーケティングを

1. マーケティングとは


 マーケティングを一言でいえば「売れるしくみづくり」のことを指します。どんなに良い製品やサービスを生み出したとしても、需要につながらなければビジネスとしては成立しないからです。そこで売り手と買い手をつなげ、取引(価値交換)が活発に行われるようにする仕組みを考えるのがマーケターの役割です。価値交換がなされる場所を私たちは市場(マーケット)と呼んでいます。すなわちマーケティングとは「市場を創造すること」でもあるのです。
 重要なことは、市場の中で自社の商品やサービスをどのように買い手に伝えるかということです。そのためには、誰(セグメンテーション、ターゲティング)に対して、どのような価値を提供すべきなのか(ポジショニング)を、まず明確にしなくてはいけません。すべての人が同じものを欲するわけではありません。
 自動車のマーケティングを例として考えてみましょう。家族構成、年収レベルなどが“セグメンテーション”にあたります。またアクティブ派(スポーツやアウトドア好き)なのか、旅行派(年に何回か家族で国内旅行に出掛ける)などが“ターゲティング”です。走りのよさと居住性の高さを両立したSUVというのが“ポジショニング”にあたります。

図1. マーケティングのSTP、4Cとは

2. マーケティングのSTPとは

  • セグメンテーション(市場細分化)
  • ターゲティング(対象市場設定)
  • ポジショニング(対象市場における競争優位性の設定)

3. マーケティングの4Pとは

 マーケティングのフレームワークとして有名なのが「4P」です。1960年にジェローム・マッカーシー(Jerome McCarthy)によって提唱された概念で、企業のマーケティングを考える上で重要な要素を4つに整理・集約したことで広く用いられるようになりました。
 “誰に何をいくらでどのように売るのか?”を4つのPの要素に分けて検討します。

Product=製品戦略(品質・機能・デザイン・ラインナップ・技術力・保守サービス など)
 “何を”の部分は最重要であることはいうまでもありません。ターゲットセグメントから見て魅力的な製品やサービスをつくりあげなくてはビジネスにならないからです。

Price=価格設定(価格・導入形態・支払い方法・支払い条件など)
 マーケティングの中でも価格優位性は大きな差別化要因になります。製品やサービスそのものによる差別化が難しくなっている時代にあって、顧客から見た時の“コスト要因”は、購入するか否かの有力な判断基準の一つとなるからです。

Place=販売チャネル(流通経路・店舗の立地条件・在庫・店の品揃え・配送 など)
 直接販売か、代理店による販売か、訪問販売によるプッシュ型か、通信販売によるプル型か、店舗による対面販売か、ECによるネット販売かになります。インターネットの発達により、顧客に価値を届ける方法は近年大きく変化しつつあります。また流通と決裁システムが統合されており、様々な形態が選択できるようになりました。

Promotion=広告・販促(広告宣伝、広報、販促活動、メディア活用 など)
 イベント、キャンペーン、セミナー、Web、検索連動広告、メルマガ、DM、プレスリリース、カタログ、媒体を戦略的にどう活用するか、本格的なデジタル時代とともに、顧客に確実に到達するために戦略的なプロモーションの実行が求められます。

4. マーケティング・ミックスとは

 ターゲットセグメントのニーズに対応した「製品」を開発し、適切な「価格」を設定し、効率的な「販売チャネル」を構築し、効果的な「プロモーション」を組み合わせて展開することから、4Pをマーケティング・ミックスと呼んでいます。

5. マーケティングの4Cとは

 4Cはロバート・ロータボーン(Robert F.Lauterborn)が1993年に提唱した概念です。4Pを「売り手・供給者視点」と捉え、これからは消費者側からの「買い手・需要者視点」が大事だと主張し、4Pを消費者・顧客視点から見た価値に置き換えて再定義しました。
 それまでの供給者側の視点で考えるマーケティング・ミックスが4Pだとすると、需要者(買い手)の視点で考えるマーティング・ミックスが4Cです。

図2. 4Pと4Cの比較


Customer Value=顧客価値

 製品(モノ)そのものではなく、製品がもたらす体験(コト)に焦点を当て、顧客が製品を手にした時のメリットやベネフィット(利益、恩恵など)を考えます。

Cost=経費
 顧客がその製品やサービスを購入するまでにいくらかかるのか?どのくらいのコストであれば妥当かという考え方です。

Convenience=顧客利便性
 顧客の利便性を優先させた入手しやすい経路の提供方法を考えます。

Communication=コミュニケーション
 供給側からの一方的な訴求ではなく、製品のアフターサービス対応や、使い勝手向上に関するユーザーコミュニティのサポートなど、顧客との関係性の構築です。

6. 顧客との対話重視

 成長社会において市場が伸びている時代は、供給者(作り手)の論理でマーケティングを行うことができました。どんな製品を作り、価格を決め、流通チャネルを選択し、販売促進をするかはすべて製品供給側に委ねられていたのです。しかし、成熟社会を迎えて市場が飽和している現在は、買い手のニーズに寄り添わなくてなりません。
 これからの企業は、製品(Product)を提供するのではなく、顧客が抱える課題の解決(Customer Value)が求められ、販売価格(Price)ではなく導入費用(Cost)の適正化が求められます。流通(Place)は顧客の導入利便性(Convenience)に応えなくてはならず、販促(Promotion)よりも関係維持に向けた顧客との対話(Communication)を重視したマーケティングを心掛けなくてはならないのです。
 成熟社会を意識したマーケティング戦略を立てることができるかどうかが、企業経営に求められるのです。

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この記事の著者

仙石 太郎

品質経営から知識経営へ ~ 戦後復興と高度成長を成し遂げた昭和、グローバル化の波のなか構造改革に挑んだ平成を経て、持続性革命というイノベーションを実現する令和という時代を一緒に切り拓きましょう!

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