作業分割の良し悪し 儲かるメーカー改善の急所101項(その42)

4、作業を改善する基本

◆ 作業分割の良し悪し

 皆さん真四角な色紙を使って鶴を折れますか?私が子供の時はよく折り紙で遊んでいましたので難なく折れますが、今の子供たちは全く知らない子の方が多いようですね。やったことのない人に、さあ折ってみよう!となるとかなりハードなチャレンジになるかと思います。

 しかし、そういう人たちが数人集まって鶴を1000羽作ることになったとします。千羽鶴です。

 例えば5人で1000羽折ることになったとした時、どのようにして作りましょうか?前提として5人のうち2人は経験者で、残り3人は未経験とします。

 多くの方は、鶴を折る全工程を5分割して、それぞれの人がそのうちの1工程を担当するやり方を選ぶのではないでしょうか。そうすれば、3人の未経験者が覚えるべき仕事量が少ないので、早く仕事ができるようになりますから。

 ただ、作業を分割すると全員が自分の材料を取って仕事を始め、自分の分担作業が終わると横に置いて…と取ったり置いたり持ち替えて並べたりと、付加価値が付かない運搬移動の作業が増えることになります。

 さらに手が速い人と遅い人、作業量の多い人と少ない人がいるので、前の人が遅ければ手待ちが生れます。そもそも、1ラインで折り鶴を折る時の全体の速さは、最も時間がかかる人のスピード以上には上がりません。ボトルネック工程のスピードに全工程のスピードが合ってしまいます。

 私だったら、これまで鶴を折ったことがない人にも全工程を練習して覚えてもらい、全員が鶴を一羽ずつ完成してもらうやり方を選択します。そうすると材料の取り置きは一羽について一回で済み、手待ちはなくなり動作上のロスは激減します。

 そしてやはり一人がすべての工程を担当して完成する方が楽しいと思います。上手な人が未経験の人にやり方を教えながら、教わった人も徐々に上手になってみんなが楽しく鶴を折るやり方が結果として一番早くていい鶴が折れると思うのです。“楽し...

い”もキーワードです。

 工場の現場にこのような考え方が適用できる事例があったら是非ともご検討をお願いします。

今回の言葉   

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 全員に一人前の仕事を教えよ
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「儲かるメーカー改善の急所<101項> 」

    日本経営合理化協会出版局 柿内 幸夫

 

◆関連解説『生産マネジメントとは』

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