データ分析・活用、進化の順番とは データ分析講座(その111)

◆ データ分析・活用には進化の順番がある。最初は「効率化」で次は「多様化」

 今あるデータやこれから取得するであろうデータで何をするのか。これはデータ分析・活用を本格的にしたいと考えた時非常に大きな問題です。

 そもそも手段であるデータ分析・活用ありきであること自体、おかしなことですが、このようなケースは多々あります。今回は「データ分析・活用には進化の順番がある。最初は『効率化』で次は『多様化』」というお話しをします。

◆関連解説『情報マネジメントとは』

1. 最初は「効率化」

 データは過去の記録です。過去の記録が適切に蓄積されていれば、過去の行動の良し悪しが分かります。良し悪しの一つが、その行動が効率的であったかどうかです。同じ成果を得られるならば、効率的なほうがいいでしょう。

 データを活用する時、この効率化が最も取り組みやすく、そして成果も見えやすく、分かりやすいかと思います。

 例えばECサイト。ECサイトは通販ビジネスを効率化したものでしょう。言い方を変えれば、便利にしたものです。一昔は通販カタログを眺めながら買いたいものを選び、ハガキなどに記載したり電話で申し込んでいました。

 しかしAmazonや楽天などのECサイトが登場したことによって、状況は一変しました。購入者にとっても販売者にも非常に便利なのです。便利過ぎて多くの人は通販カタログからECサイトで商品を購入するようになりました。さらに通販カタログで商品を購入していなかった人も、ECサイトを通じて通販で商品を購入するようになりました。

 どのくらい便利かというと、商品を探すのにも検索すればすぐ見つかります。通販カタログは本をめくって探す必要がありましたが探す手間が効率化されました。さらに、購入する時も事前に住所などが登録してあればログイン後、数クリックで購入できます。24時間いつでもです。

 さらに、さらに商品が送られてくるスピードも数日と早くなりました。通販カタログ主流の時代は、1、2週間待たされたものです。デジタル化されたECサイト上の受注から発送までの手間が効率化されたのでしょう。ECサイトの登場で企業体力のない小規模事業主でも、通販ビジネスに参入できるようになりました。これらはデータ化され、適切に活用されていて初めて実現されます。

2. 次は「多様化」

 データ分析・活用の第一弾は「効率化」です。まずデータ分析・活用を始めようと考えたら最初にすべき事は、この効率化です。効率化の次に来るのが「多様化」です。

 Amazonや楽天などは何が凄いのでしょうか? それは多様なニーズに応えていることです。単なるECサイトは、画一的なものです。通販カタログが典型です。ライフスタイル別にカタログを分けても、10種類もいかないことでしょう。しかしAmazonなどは違います。その人の商品の閲覧や買い物かごへの投入履歴、そして購買履歴からECサイトが個人ごとにカスタマイズされます。これが多様化です。

 通販カタログをECサイト化しただけでは、購買行動や受注発注処理などが効率化され便利になっただけですが、データを上手く活用することで多様化させることができます。要するに、最初は「効率化」で次は「多様化」というわけです。ここまで来ると「従来と違うな!」という感じになるのではなないでしょうか。

3. 多様化で差別化する企業

 実際に、効率化の先の多様化で差別化した企業をご紹介します。

 真っ先に思い浮かぶのはGoogleの検索エンジンです。Yahooなどのポータルサイト全盛の時代、Googleの検索窓のサイトはシンプル過ぎました。Yahooな...

どのポータルサイトはどちらかというと画一的です。基本、サイト訪問者に対しほぼ同じ情報を提供します。Googleの検索窓のサイトはどうでしょうか。トップケージは味気ないですが、検索キーワードを入力し検索すると、その個人の探したい情報がランキング方式で表示され多様化されています。

 Facebookは検索しなくてもその人に合った情報が、勝手に流れてきます。勝手に流れてくるといっても、友達関係のある人の情報ですが、少なくとも利用者一人ひとり違う情報が流れてきます。まさに多様化です。とはいえ、効率化さえできていないのに、いきなり多様化から始めるのは大変です。

 今あるデータでやこれから取得するであろうデータで何をするのかと考えたとき、効率化から考えたらいいのではないかと思います。すでに効率化された何かがあるならば、データを活用しどう多様化するのかを考えると面白いと思います。

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