Metrics for Project Management メトリクス管理手法(その8)

【メトリクス管理 連載目次】

 

1. Metrics for Project Management の思想

 
 前述(システム構築の戦略)のプロジェクト管理システムの基本戦略であるミニマル運用と資産化をシステムとして実現したものが、Metrics for Project Management(以下、Metrics for PM)です。Metrics という単語が入っていることからもわかるように、メトリクスを徹底的に活用しています。
◆関連解説『プロジェクトマネジメントとは』
 
 システム構築の戦略で述べたように、レベル3の Project エンタープライズ導入は費用や手間の観点から負担が大き過ぎますが、レベル2のスタンダード導入では組織レベルでの管理が難しいため拡張性や柔軟性に欠けるという問題がある。レベル2とレベル3の間の差は大きく、とくに中規模、小規模の組織では適切なシステム環境を構築しづらい原因になっている。実際、中小規模の組織では Project の導入・運用に関して下図に示すような問題を抱えているところが多いのです。
 
 
 
 このようなことから、スタンダードの導入であっても、複数プロジェクトの管理やリソース管理を組織レベルで可能とするレベル2.5とよべるシステム環境として機能するシステム環境が Metrics for PM です。
 
 Metrics for PM を利用することにより、Microsoft Project(以下、MS Project)で作成し進捗を記録したファイル(プロジェクトファイル)を、メトリクスが活用できるフォーマットに変換し、さらにクラウドのデータベースに登録することにより、複数プロジェクトの進捗管理やプロジェクトを横断したリソース管理などが可能となります。つまり、MS Project スタンダードであっても組織全体でプロジェクト横断的な進捗管理を可能にし、メトリクスによる蓄積や分析を標準機能として提供します。
 
 まとめると、Metrics for PM は下図に示すような特徴を持ちます。Metrics for PM のデータベース機能や各種の分析機能はクラウドサービスとして提供するため、プロジェクトの増減、規模のバラツキ、利用者の変化などに柔軟に対応することが可能です。1人1ヶ月単位で利用契約を結ぶことができます。さらに、MS Project そのものもクラウドサービスを利用することで、運用環境の変化に容易に対応することが可能です。
 
  
 

2. Metrics for PM の全体像

 
 MSP のアドイン (Metrics Add-in) を使って、MSP ファイルからメトリクスによる見える化、パターン化、モデル化ができるフォーマットにした分析用データを出力します。資産化できるデータ・フォーマットに変換するわけです。この分析用データを Excel などに取り込むことでも、見える化、パターン化、モデル化という一連の作業を行うことも可能です。
 
 ただ、資産として蓄積して過去から現在まで、組織レベルの複数プロジェクトで見たり、分析したりするには、この分析用データをデータベースに蓄積していく必要があります。
 
 
 
 これを Metrics for PM ではクラウドサービスとして提供しています (Cloud-Based Metrics PM) 。
 
 データベースに蓄積されたデータは、各種ブラウザ上で様々な進捗分析レポートやリソース分析レポートとして見ることができます。当然、過去プロジェクトを見ることや、現在走っている複数プロジェクトを比較すること、特定プロジェクトの中を詳しく見ることなど、様...
々な視点での分析結果を見ることができます。
 
  •  Metrics for PM での進捗管理やリソース管理は、次のような手順の繰り返しとなる。
  •  MSP で計画を作成し、進捗の入力・更新を行う
  •  進捗を更新した後、Metrics Add-in を使って分析用データを作成する
  •  出力した分析用データを Cloud-Based Metrics PM にアップロードする
  •  ウェブブラウザを使って進捗やリソースの分析を行う
 
 なお、Metrics Add-in から出力される分析用データは、Excelのピボットを使って様々な表やグラフにすることも可能です。この場合、クラウドサービスを利用せずに進捗やリソースを分析することができます。
 
 次回は、メトリクスの実例を解説します。
 

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