MTシステム超入門(その1)

 MTシステムは人間が認識したり予測したりする脳の処理を、コンピュータにさせる技術です。認識や予測の技術は、これまでにも多くの提案や実施例がありますが、MTシステムは企業が現場で活用するには、もってこいの技術です。基本的な考えが理解しやすく、ソフトウェアも少し頑張れば作ることもできます。

1.パターン認識とは

  「光る」「夜空」「小さい」などの言葉から何を思い浮かべますか?多くの皆さんは「星」かな?と想像するでしょう。「またたく」「願い」といった言葉を追加すると、さらにそれを確信します。

  光るやまたたくという言葉から、共通して一番近い言葉が「星」だからです。複数の情報から一つのことを連想したり、「これだ」とか「似ている」と認識することを「パターン認識」と呼びます。 MTシステムは、パターン認識のための技術です。

 

2.コンピュータに連想をさせる

   パターン認識をコンピュータにさせるには、どうしたらいいでしょう? 「光る」「夜空」「小さい」…から近い言葉を導く手順を用意すればよいことになります。 コンピュータの中にいくつかの言葉から“近さ”を得る手順を持たせれば、このような連想が可能になります。コンピュータは手順を得意にしていますし、手順が複雑でも量が多くても疲れ知らずに実行してくれます。手順の与え方で、能力や個性が決まります。

 

3、MTシステムは手順の一つ

   パターン認識の手順には、さまざまな種類があります。「人工知能」という言葉を聞いたことはありませんか。人の脳がものごとを覚える仕掛けを、そっくりコンピュータで真似しようという手順です。面白いのですが、使いこなすにはかなり難しいことと、「あいつ何考えているのか分からない」という面を持っています。 MTシステムは、人間に理解しやすい原理を使った素直な手順です。その原理とは「福笑いの原理」です。

 

4.福笑いの原理

  福笑いでは、目や鼻などのパーツの置き方によって、まるで別の顔になります。そこから分かることは、「位置関係」「相対関係」が顔のパターンを決めるということです。

  MTシステムは、この「相対関係」をうまく使う方法です。「星」という一つのイメージを前提としたときの「光る」「夜空」などの言葉の相対的な関係を整理して記憶するのです。

  前提のイメージが星ではなく「花火」だとすると、「光る」「夜空」の位置関係も少し変化します。

 

5.星座のパターン

  少し話を戻します。  星座は、星の並びから動物などを連想して命名されています。さそり座の尾の巻き方を見出したのは“なるほど”と思いますが、かなり無理と感じる星座もあります。ただ、昔の人々は星を頼りに旅をしたでしょうし、宇宙への畏敬の念から星の並びに「特徴」を見出したのでしょう。

  前の文でご説明した「相対関係」は、この「特徴」の一つです。一つひとつの星の明るさも特徴です。

 

6.身近なパターン認識

  銀行で指紋や手の静脈で本人確認することがあります。機械は指紋などのパターンを見て、その...

特徴から「本人かどうか」を認識します。

  テレビ番組「矛盾(ほこたて)」では、本人の顔型から精密に造形した顔を機械(コンピュータ)に見せて、見破るかどうか勝負していましたね(結果は機械の勝ち)。

  他の例として、スマホによる音声認識があります。翻訳までしてくれます。また、ビール工場ではビンや缶の傷をパターン認識で超高速にチェックしています。

 

 つづく

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