TRIZ によるロジカルアイデア創造法(その6)

第2章:TRIZトゥリーズとは(創造的問題解決の技法)

前回のその5に続いて解説します。
◆TRIZの説明ページへのリンク

3.TRIZの基本構成

 
 TRIZの基本構成は、①矛盾の克服、②技術システムの進化の流れ(トレンド)の活用、③異分野の知識の活用の3本柱です。ここでは、これらの内容について具体的に見ていきます。
 
             
                                       図6 TRIZの基本構成
 
(1) 矛盾の克服
 
 TRIZでは、矛盾の克服が問題解決のためのよいアイデアだと考えます。例えば「掃除機で絨毯に絡まった埃を取るとき」を考えてみると次のような矛盾があることがわかります。「絨毯に絡まった埃をきちんと吸い取るために、吸い口の吸引力を強くすると、絨毯も吸いつけてしまって取り扱いにくい状態になる」。すると、せっかく矛盾を考えたのですから、具体的にその矛盾の解決アイデアを考えるためのツールがあれば良いですね。それが「40の発明原理」なのです。
 
 問題において発生する矛盾(この場合、TRIZの正確な表現は「工学的矛盾」と言います) が定義できれば、その解決策は40種類の発明原理から選択して考えればよいのです。この場合のイメージは以下のようになります。
 
              
                                      図7:矛盾からのアイデア出しフロー
 
 固有の問題における矛盾から抽象化された矛盾を定義するときに使うツールが「39の特性パラメータ(変数)」です。この特性パラメータとは翻訳機の一種と思ってください。つまり、「長い棒は遠くの文字を指すには便利だけどカバンには入らないな」、という問題があったとします。そこでの矛盾とは「長い棒を使うとポケットに入らない」の部分です。「長い棒を使う」と「カバンに入らない」の関係を解決するための発明原理を直接探そうとしても不可能です。その方法は限りなくあるのです。だから、固有の矛盾を一般化した表現に置き換えるための翻訳機が必要なわけです。すると、例えば「長い棒を使う」は「移動物体の長さ」と置き換えられるかななどと考えられて、発明原理を使って効率よく問題解決のアイデアが出せるわけです。
 
〈39の特性パラメータの一部〉
 
 ① 移動物体の重量、② 静止物体の重量、③ 移動物体の長さ④ 静止物体の長さ 等々技術システムにおける固有の矛盾での「改善したい事」と、それに伴って「悪化する事」を、これら39種類のパラメータの中から当てはまるものを選びます。
 
 こうして一般化された矛盾を、「矛盾解決マトリックス」に当てはめると最大4つの発明原理が見つかります。この4つの発明原理に沿って問題(矛盾)を解決できそうなアイデアを考えていきます。では、上記の掃除機の矛盾の解決を考えてみましょう。まずは、解決したいと考えている問題を確認します。
 
テーマ:掃除機の能力改善
 
①  困っていること:今の掃除機では絨毯に絡まりついた埃がうまく取れない。
    ↓
②  改善したいこと:絨毯に絡まった埃をうまく取りたい。
    ↓
③  そのための手段:吸い口での吸引力をもっと強くする。
    ↓
④  その結果悪化すること:絨毯を吸い込んでしまい取り扱いが不便になる。
    ↓
⑤  改善したいことを39の特性パラメータで置き換える: 強い吸引力で絨毯の埃を取りたい。⇒ 圧力(吸
   引力)、物質の量(埃)
    ↓
⑥  その結果悪化することを特性パラメータで言い換える: 取り扱いが不便になる。⇒ 操作の容易性、
   物体が発する有害作用
    ↓
⑦  表示された発明原理を書き出して対策を考える。
 
 次回、TRIZ によるロジカルアイデア創造法(その7)では、39の特性パラメータの解説を続けます。
 
 
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