
医療用高分子・生体接着材料の開発動向と生体親和性・接着性向上に向けた発現機構の解明および表面設計・評価技術
★2025年10月27日WEBでオンライン開講。九州大学 田中氏、国立研究開発法人物質・材料研究機構 田口氏、お茶の水女子大学 秋元氏が、【医療用高分子・生体接着材料の開発動向と生体親和性・接着性向上に向けた発現機構の解明および表面設計・評価技術】について解説する講座です。
■注目ポイント
★「生体親和性高分子表面・界面の設計と優れた材料のスクリーニング方法」、「生体接着材料の基礎、現状、今後の展望」、「ゲルの接着性に関与する物理的因子に焦点を当てた濡れ性評価や界面分光分析を用いて得られた知見」について紹介・解説!
セミナー趣旨
★ヘルスケア・医療分野は我が国の成長戦略にも位置付けられ、国際競争力のある製品開発への取り組みが期待されています。高齢社会でニーズの大きいヘルスケア・医療製品には、生体安全性および生体親和性が必要であります。また、より価値の高い医療製品の開発には多様な機能を有する材料が市場から求められています。
★生体接着材料は、医療分野において生体組織間の吻合部における出血・浸出液漏出防止、肺からの空気漏れ防止等、外科手術後の創部を閉鎖・止血・被覆する際に使用され、これまで国内においても数種類が開発されています。これらの生体接着材料は一定の効果はあるものの、接着強度と生体親和性に課題があり、臨床ニーズを十分満たしているとは言えません。
★接着性ゲルは,創傷被覆材,止血剤,ウェアラブルデバイスなど,医療・ヘルスケア分野への応用に向けて大きな注目を集めています。これまでに数多くの接着性ゲルが開発されており,大部分の研究では,共有結合,特異的分子認識,静電相互作用,水素結合,疎水性相互作用などの接着駆動力を分子設計により制御する「化学的アプローチ」に焦点が当てられてきました。一方で,構造因子が接着にどのように関与するかといった「物理的アプローチ」は限定的にしか検討されていません。
■注目ポイント
★各種医療機器の表面処理材として製品化した高分子材料を事例に生体親和性発現機構や開発の技術課題、予防、診断、治療、病後の管理を支える生体親和性高分子表面・界面の設計と優れた材料のスクリーニング方法について解説!
★生体接着材料の基礎、現状、今後の展望および講演者の研究についても紹介!
★ゲルの接着性に関与する物理的因子に焦点を当てて濡れ性評価や界面分光分析を用いて得られた知見について説明!
習得できる知識
第1部
・各種製品、材料の表面処理に関する知識。
・医療材料の全体像。
・医療現場のアンメットニーズ
・水和した材料の解析手段の選択。
・水和レベル、タンパク質レベル、細胞レベルでの人工材料と生体成分の相互作用の理解。
・生体親和性合成材料と生体分子の共通点。
・次世代医療高分子の設計指針
・防汚などの機能表面の設計の考え方。
・製品化から基本コンセプトの理解。
第2部
・医療用接着剤の基礎・現状・課題
・医療用接着剤の材料設計指針と最新情報
・噴霧型組織接着性粒子の研究開発状況
第3部
・ゲルの接着性発現メカニズムに関する研究の現状
・ゲル(含水物質)の構造・物性に関する評価手法
セミナープログラム
【第1講】 医療用高分子の基礎・生体親和性の発現機構と表面設計・評価
【時間】 13:00-14:15
【講師】九州大学 先導物質化学研究所 ソフトマテリアル学際化学分野 教授 田中 賢 氏
【講演主旨】
ヘルスケア・医療分野は我が国の成長戦略にも位置付けられ、国際競争力のある製品開発への取り組みが期待されている。高齢社会でニーズの大きいヘルスケア・医療製品には、生体安全性および生体親和性が必要である。また、より価値の高い医療製品の開発には多様な機能を有する材料が市場から求められている。本講座では、各種医療機器の表面処理材として製品化した高分子材料を事例に、生体親和性発現機構や開発の技術課題、予防、診断、治療、病後の管理を支える生体親和性高分子表面・界面の設計と優れた材料のスクリーニング方法について解説する。
【プログラム】
1.医療製品用の合成高分子材料
2.タンパク質と材料の相互作用
3.細胞と材料の相互作用
4.生体親和性の発現機構と表面設計
4-1 高分子材料のバルク・表面物性
4-2 水和した高分子の物性・高分子に水和した水の状態とバイオ界面現象
4-3 生体高分子と生体親和性合成高分子の共通点と相違点
4-4 優れた材料の簡便なスクリーニング方法
4-5 多機能生体親和性高分子の設計
【質疑応答】
【キーワード】
ヘルスケア、医療材料、バイオ界面、タンパク質吸着、細胞接着、細胞機能制御、界面水、中間水、バイオマテリアル、再生医療、医療機器、血液、予防、診断、治療、がん細胞、幹細胞
【講演のポイント】
ヘルスケア・医療製品は、使用時に乾燥状態からウエットな状態に変化する。本講演では、製品使用環境で存在する水の視点を考慮し、材料・界面設計における課題と進展、次世代多機能材料について解説する。
【第2講】 湿潤組織に作用する医療用接着剤の開発と展望
【時間】 14:25-15:40
【講師】国立研究開発法人物質・材料研究機構 高分子・バイオ材料研究センター バイオ材料分野 バイオポリマーグループ / グループリーダー 田口 哲志 氏
【講演主旨】
生体接着材料は、医療分野において生体組織間の吻合部における出血・浸出液漏出防止、肺からの空気漏れ防止等、外科手術後の創部を閉鎖・止血・被覆する際に使用され、これまで国内においても数種類が開発されている。これらの生体接着材料は一定の効果はあるものの、接着強度と生体親和性に課題があり、臨床ニーズを十分満たしているとは言えない。本講演では、生体接着材料の基礎、現状および今後の展望について述べ、我々の行っている研究を紹介する。
【プログラム】
① 湿潤環境で作用する外科用接着剤
② 血管新生を誘導する成長因子フリーインジェクタブルゲル
③ 噴霧型組織接着性粒子(接着・癒着防止)
④ 今後の展望
【質疑応答】
【キーワード】
ゼラチン、接着、ゲル、外科、内科、消化器、癒着防止
【講演者のPRポイント】
講演者は、材料と湿潤環境にある生体組織を如何に接着させ、治癒に導くかという研究を一貫して行っています。学会活動では、日本接着学会および日本人工臓器学会の理事を務め、2025年度日本バイオマテリアル学会 学会賞、2022年度日本接着学会 学会賞を初め、多数の受賞歴があります。170件を超える論文を発表し、70件以上の特許を取得しています。
【第3講】 物理的因子に着目したハイドロゲル接着性の理解と制御
【時間】 15:50-17:05
【講師】お茶の水女子大学 共創工学部 人間環境工学科 / 准教授 秋元 文 氏
【講演主旨】
接着性ゲルはこれまで,共有結合,特異的分子認識,静電相互作用,水素結合,疎水性相互作用などの接着駆動力を分子設計により制御する「化学的アプローチ」によって優れた材料が多数開発されてきた.一方,ミクロスケールの構造因子が接着にどのように関与するかといった「物理的アプローチ」は限定的にしか検討されていない.本講演では,従来着目されてこなかったゲルの接着性に関与する物理的因子に焦点を当て,濡れ性評価や界面分光分析を含むゲル表面のマルチモーダル解析によって接着現象のメカニズム探索を行う試みを紹介する.さらに,得られた知見を活用したゲル接着性のスイッチング制御についても紹介を行う.
【プログラム】
・ ゲルの接着性発現メカニズム
・ ゲル表面の構造・物性に関するマルチモーダル解析
・ 濡れ性評価と界面分光分析に基づくゲル接着現象の理解
・ 物理的アプローチに基づくゲル接着性のスイッチング制御
【質疑応答】
【キーワード】
ゲル、接着、濡れ、動的濡れ、界面分光、マルチモーダル解析、スイッチング制御
【講演者のPRポイント】
講演者は共同代表として独自の研究会「ゆらぎ界面研究会」を立ち上げ,ゲル合成・ゲル表面の先端計測・バイオ応用をシームレスに接続する異分野融合研究体制を形成するとともに,細胞や生体組織を含む含水物質全般の界面について議論を行う学術サロンを構築している.
セミナー講師
第1部 九州大学 先導物質化学研究所 ソフトマテリアル学際化学分野 教授 田中 賢 氏
第2部 国立研究開発法人物質・材料研究機構 高分子・バイオ材料研究センター バイオ材料分野 バイオポリマーグループ / グループリーダー 田口 哲志 氏
第3部 お茶の水女子大学 共創工学部 人間環境工学科 / 准教授 秋元 文 氏
セミナー受講料
【1名の場合】55,000円(税込、テキスト費用を含む)
2名以上は一人につき、16,500円が加算されます。
受講料
55,000円(税込)/人