
AIサーバー・データセンターにおける重要課題の1つ“熱対策”について基礎から最新動向・技術、取り巻く環境と今後の展望まで徹底解説します!
セミナー趣旨
AIの活用が急激に広がっています。AIによる検索処理は通常のWeb検索の数10倍の消費電力を要すると言われます。処理の中核を担うAIチップの発熱量は1kW超に達し、システム構築においては冷却が最大の課題となっています。AIサーバーはラック当たりの消費電力が膨大になり、空冷から液冷、沸騰冷却へと熱対策が移行しつつあり、データセンタの冷却そのものにも影響を及ぼします。また、スマホやパソコンによるAI処理の分散化も進み、情報通信ハードウエアは全階層で熱問題が深刻化しています。
本講ではこれらの新しい冷却手法について、伝熱の基礎から熱対策の実践方法まで幅広く解説します。
受講対象・レベル
・電子機器、特にサーバーやPCに関連した部品/基板/ラック/筐体などの設計に関わる方
・データセンタの熱対策に取り組まれている方
・これから熱問題に取り組まれる方
・開発マネジメントに携わる方
・熱流体シミュレーションについてその理解を深めたい方
必要な予備知識
特に専門知識は不要ですが、高校卒業レベルの物理、数学知識があることが望ましい
習得できる知識
・AIサーバーやデータセンタの放熱に関する最新動向
・サーバーやPCに関する熱設計手法
・機器放熱の基礎知識
など
セミナープログラム
1.ネットワーク社会におけるデータ量と消費電力
1)各分野の今後の動向 ~サーバー、通信、自動車、家電、生産~
2)CASEやエッジコンピューティングによるエッジ機器の発熱増加
3)AI利用にはさまざまな冷却方式が採用される(伝導冷却・冷却デバイス、空冷・水冷)
4)なぜ熱対策が重要か? 熱を制しないと機能・性能が発揮できない時代に
2.熱設計に必要な伝熱知識
1)熱移動のメカニズム ミクロ視点とマクロ視点、熱の用語と意味
2)熱伝導・対流・輻射のメカニズムと基礎式、パラメータ
3)4つの基礎式から熱対策パラメータを導く
4)機器の放熱経路と熱対策マップ
3.高性能AIサーバーの冷却
1)GPUの発熱量と推奨される冷却方式
2)サーバーの種類 ラックマウントサーバ/ブレードサーバ/タワー型サーバ
3)高発熱半導体デバイスの放熱経路と放熱ボトルネック
4)半導体内部の熱抵抗/半導体から冷却器への接触熱抵抗
5)ヒートシンクの熱抵抗/拡がり熱抵抗
6)ファンによる冷却とその限界
7)NVIDIAのAIチップ冷却構造
8)コールドプレート(間接液冷)の冷却性能と課題
4.放熱機構を構成する冷却デバイスとその使用法
1)ヒートシンクの進化と製造方法の多様化
2)冷却デバイス(ヒートパイプとベーパーチャンバー)の種類と動作
3)ヒートパイプの種類と使用事例、使用上の注意
4)空冷ファンの種類と使い分け
5)強制空冷ファンの特性と選定方法、使い方
6)PUSH型PULL型の選定とメリット・デメリット
5.データセンタの熱問題と取り組み
1)PUE目標(エネ庁)
2)コールドアイル・ホットアイル
3)水冷INRow / 水冷リアドア
4)最新冷却技術とその課題
5)浸漬冷却、沸騰冷却の現状と今後、冷媒の課題
6.エッジ機器(スマホ・基地局)の筐体伝導冷却
1)スマホ(iPhone/Pixel)の構造と放熱ルート
2)グラファイトシートとべーパーチャンバーの活用
3)基地局(スモールセル)の構造と放熱(RRHとBBU)
7.放熱材料(TIM)の特徴と選定法
1)TIMの種類と特徴
2)TIMの選定における注意点、評価方法、ポンプアウト対策
3)新しい材料のトレンド(ギャップフィラ、PCM、液体金属)
8.今後の熱問題
1)チップレットや3次元実装によるインパクト
2)光電融合/シリコンフォトニクス
3)垂直給電 など
<質疑応答>
*途中、お昼休みや小休憩を挟みます。
セミナー講師
株式会社サーマルデザインラボ 代表取締役 国峯 尚樹 氏
■ご略歴
1977年、早稲田大学理工学部 機械工学科卒。同年、沖電気工業に入社。
電子交換機やミニコン、パソコン、プリンタ、FDDなどの冷却方式開発や熱設計に従事。
その後、電子機器用熱解析ソフト「XCOOL(後にStar-Cool)」の開発、CAD/CAM/CAEおよび統合PDMの構築などを担当。
2007年9月に同社を退職し、サーマル デザイン ラボを設立。
上流熱設計と熱解析の両輪による「熱問題の撲滅」を目指し、製品の熱設計やプロセス改革コンサルティング、研修などを手がける。
<主な著書>
「熱設計完全制覇」「熱設計完全入門」「電子機器の熱対策設計第2版」「電子機器の熱流体解析入門第2版」
「トコトンやさしい熱設計の本第2版」(いずれも日刊工業新聞社)、「熱設計と数値シミュレーション」(オーム社)などがある。
セミナー受講料
【オンライン受講(見逃し視聴なし)】:1名 50,600円(税込(消費税10%)、資料付)
*1社2名以上同時申込の場合、1名につき39,600円
【オンライン受講(見逃し視聴あり)】:1名 56,100円(税込(消費税10%)、資料付)
*1社2名以上同時申込の場合、1名につき45,100円
*学校法人割引:学生、教員のご参加は受講料50%割引。
受講について
- 配布資料はPDF等のデータで送付予定です。受取方法はメールでご案内致します。
(開催1週前~前日までには送付致します)
※準備の都合上、開催1営業日前の12:00までにお申し込みをお願い致します。
(土、日、祝日は営業日としてカウント致しません。) - 受講にあたってこちらをご確認の上、お申し込みください。
- Zoomを使用したオンラインセミナーです
→環境の確認についてこちらからご確認ください - 申込み時に(見逃し視聴有り)を選択された方は、見逃し視聴が可能です
→こちらをご確認ください
受講料
50,600円(税込)/人
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