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人材難,財政難の時代のインフラ対策を乗り切るポイントを学ぶ!
八潮市道路陥没事故などで明らかな通り,老朽インフラ対策は喫緊の課題です。まさに今,上下水道,建設,衛生工学等の技術者に求められる知識と技術をわかりやすく解説します!
セミナー趣旨
包括的民間委託とは,複数のインフラや複数の業務を包括して,性能発注方式により複数年契約で民間委託するものです。包括的民間委託は,下水道分野のインフラメンテナンスを中心として,道路や橋梁などのインフラメンテナンスにもその活用が図られているところです。
自治体の人材難と財政難を克服し,老朽インフラ対策を進めるための効果的な手法として,個々の自治体での包括的民間委託の取り組みや,複数の自治体が包括的民間委託の手法を共有して実践する「地域インフラ群再生戦略マネジメント」の取り組みが推奨されています。
ここで,人材難対策の決め手となるのは,自治体職員が現場に赴く必要がほとんど無い取り組み方です。また,財政難対策の決め手となるのは,価格面と技術面の競争原理を働かせて,費用対効果に優れた業者を選定する取り組み方です。
しかし,老朽インフラ対策で必要となる工事(補修工事,更新工事)については,ほとんどの自治体で包括的民間委託の対象業務に含めず,個々の工事ごとに従前通りの設計・施工分離発注方式により別途実施しています。自治体では,設計・施工分離発注方式による工事の経験と実績は豊富ですが,包括的民間委託との親和性が高い性能発注方式(設計・施工一括発注方式と同義)による工事の経験と実績は,極めて乏しいことが主因です。つまり,工事発注に用いる要求水準書や契約書における,性能発注方式による工事についての規定の仕方が,自治体ではほとんど理解されていないのです。
その結果として,自治体は最も業務負担が重く,発注者責任を問われがちな工事について,包括的民間委託による負担軽減や業務改善といった恩恵を享受できておらず,人材難対策と財政難対策につながっていないと言えます。
例外は千葉県柏市であり,「柏市公共下水道管路施設包括的予防保全型維持管理業務委託」事業において,下水道管路の性能発注方式による更新工事を含めた包括的民間委託を見事に実現しています。この柏市の事例は,令和9年度以降,社会資本整備総合交付金の交付要件に追加されるウォーターPPPの導入に向けて,全国のモデルとなるものです。
そこで,本セミナーでは,「柏市公共下水道管路施設包括的予防保全型維持管理業務委託」事業をモデルとして,業務委託の全体的な枠組みの立て方や,業務委託に用いた要求水準書と契約書における性能発注方式による更新工事に係る記載の仕方などについて,わかりやすく解説します。
受講対象・レベル
- 自治体の上下水道部門で勤務されている方
- 自治体で包括的民間委託による老朽インフラ対策を検討されている方
- 自治体で地域インフラ群再生戦略マネジメントを検討されている方
- 自治体で性能発注方式による工事に係る要求水準書と契約書の記載方法を理解して習得したい方
- 自治体の上下水道管路のメンテナンス(点検・調査,更新工事など)に関わりや関心のある方
- 自治体の包括的民間委託による老朽インフラ対策に関わりや関心のある方
- 自治体の地域インフラ群再生戦略マネジメントに関わりや関心のある方
- 自治体に性能発注方式による工事にかかる要求水準書と契約書の記載方法を助言したい方
セミナープログラム
- I 八潮市の下水道管破損に起因する道路陥没事故
- I-1 2025年1月に埼玉県八潮市で発生した,下水道管破損に起因する道路陥没事故
- I-2 八潮市の道路陥没事故で表面化した,下水道管のメンテナンスに係る新たな課題
- I-3 下水道管のメンテナンスに係る,これまでの取り組み方
- I-4 自治体の老朽インフラ対策 〜最大の課題は人材難と財政難
- I-5 技術職員不在の自治体に適した包括的民間委託手法 〜3つの基本的な取り組み方
- II 取り組み方のモデルは,千葉県柏市の「性能発注方式による工事を含めた包括的民間委託」
- II-1 「柏市公共下水道管路施設包括的予防保全型維持管理業務委託」の概要と特徴
- II-2 柏市の第二期5カ年事業の全体的枠組み
- II-3 柏市の基本契約書における計画的改築業務(詳細設計業務と改築施工業務)に係る記載の要点
- II-4 柏市の要求水準書における詳細設計業務に係る記載の要点
- II-5 柏市の要求水準書における改築施工業務に係る記載の要点
- III 下水道管路の更新工事に欠かせなくなるウォーターPPPの取り組み方
- III-1 ウォーターPPPとは?
- III-2 コンセッション方式とは?
- III-3 管理・更新一体マネジメント方式とは?
- III-4 令和9年度以降の社会資本整備総合交付金の交付要件に追加されるウォーターPPP
- III-5 柏市の第二期5カ年事業をモデルとする,2種類の管理・更新一体マネジメント方式
- ◎ 質疑応答
セミナー講師
澤田 雅之 氏
澤田雅之技術士事務所 所長
技術士(電気電子部門)
略歴
1978年に京都大学(院)工学研究科修士課程を修了し、警察庁に入庁。警察大学校警察情報通信研究センター所長を退職後に技術士資格(電気電子部門)を取得して、2015年に技術士事務所を開業。
35年間にわたって勤務した警察では、東京、兵庫、大阪、宮崎、茨城、宮城、福岡、愛知、神奈川の各都府県において、警察情報通信施設の整備・維持管理・運営の業務に従事した。この際、警察情報通信施設が地震や津波、山火事などの脅威に晒された事例や、自動車衝突による破損や侵入による損壊などを被った事例を、否応なく幾度も経験した。それゆえ、被害発生防止に向けた事前対応のプロセスであるリスクマネジメントと、実際に被害が発生した際に、被害の拡大防止と早期回復を図る事後対応のプロセスであるダメージコントロールについて、実務を通じた多くの知見を蓄積することができた。そこで、技術士事務所開業後は、このような知見を体系化することにより、講演等を通じてノウハウを発信している。
また、2015年の首相官邸ドローン落下事件を契機として、カウンタードローンに関する調査研究を開始。伊勢志摩G7サミット、大阪G20サミット、ラグビーW杯、東京オリンピック等に向けて、警察庁、警視庁、海上保安庁、経済産業省、関係府県警察本部等でカウンタードローンについて講演。2018年以降は空の産業革命に向けたドローンの利活用にも調査研究の対象を拡大し、これまでに多数の執筆や講演を実施。
また、警察庁では、各種の警察情報通信システムの新規開発プロジェクトに携わった。管区警察局県情報通信部長として勤務した宮崎、茨城、宮城、福岡、愛知、神奈川の各県警察では、1996年に「宮崎県警察本部ヘリコプターTVシステム整備事業」を、我が国では戦後初となる性能発注方式(全体最適化に効果的な方式)によるプロジェクト運営で成功させたことを皮切りに、警察情報通信システム整備事業の全てを性能発注方式によるプロジェクト運営で完遂した。
技術士事務所開業後は、今日に至るまで、我が国における先端プロジェクトの成功事例と失敗事例を対比してその要因を探る研究に取り組むとともに、プロジェクトの全体最適化に効果的な性能発注方式の啓蒙と普及をライフワークとして取り組む。そして、これまでの取り組みで得られた知見を集大成した書籍【「性能発注方式」発注書制作活用実践法】を執筆し、2022年9月に(株)新技術開発センターから出版。この書籍は、プロジェクトの全体最適化手法や性能発注方式について、真正面から取り扱った我が国唯一の書籍である。
セミナー受講料
25,000円(消費税込)※テキスト代を含みます。
受講料
25,000円(税込)/人
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