
■注目ポイント
★ナノ粒子,微粒子の分散・凝集の平衡論的アプローチであるDLVO理論の考え方と実際の系への応用事例、速度論的アプローチである急速凝集理論について豆腐を題材に具体的に解説!
セミナー趣旨
シングルナノから数ミクロンのいわゆる、ナノ粒子や微粒子は、媒質である水などの溶媒に対して、ときに分散し、ときに凝集します。なぜ、分散したり凝集したりするのでしょうか?
平衡論的にはDLVO理論というものがあり、速度論的には急速凝集理論というものがあります。これは、各種ナノ粒子スラリーの他、ナノインプリントやナノインクなどで使える基礎理論となります。また各種ヘテロ分散系の科学を応用面や実用面に適用する場合に、抑えておきたい基礎知識ですので、是非身につけてください。
本講演では、身近なコロイドの振る舞いを通して、まず、分散と凝集の本質を知ることから始まり、凝集要因となる分子間力、van der Waals力とは何か、分散要因となる静電的反発力を知り、特に後者における表面電位とゼータ電位の違いや、ゼータ電位測定の基礎と実際の測定手法に言及し、ナノ粒子の振る舞いの全貌を詳細に解説します。また、ナノ粒子や微粒子の評価法として、放射光を用いた手法など種々の方法についても、解説します。さらに、2024年4月から運用を開始した、3GeV高輝度放射光施設NanoTerasuの紹介とともに、それを用いた測定の実際についても言及します。
習得できる知識
・ナノインク・スラリー・懸濁液における分散安定性に関する基礎知識
・凝集・分散の基礎理論と表面電位測定の原理と測定方法
・ナノ粒子や微粒子合成における基礎知識
セミナープログラム
1.微粒子とナノ粒子
1-1. コロイドとは
1-2. ナノ粒子の特徴
2.生活の中のコロイドの分散凝集
2-1. 牛乳と墨汁
2-2. ビールと温泉
2-3. 豆腐は分散する?
3.分散凝集の理論
3-1. 分子間力
3-2. vanderWaals引力を特徴づけるHamaker定数(凝集促進因子)
3-3. 粒子間斥力を特徴づけるゼータ電位(分散促進因子)
3-3. 分子間引力と帯電粒子の電荷と電位
3-4. 電気泳動とゼータ電位~液体媒質中の帯電粒子のゼータ電位の評価法
3-5. Smoluchowskiの式とHuckel式
3-6. ゼータ電位測定の実際
3-7. DLVO理論
3-8. ポテンシャル曲線
4.凝集
4-1. 豆腐の分散と凝集
4-2. 急速凝集理論
4-3. 分散と凝集を応用した工業製品
5.分散・凝集の評価法
5-1. 電子顕微鏡法
5-2. X線,放射光による評価
5-3. 3GeV高輝度放射光施設NanoTerasuの紹介
5-4. 食品飲料の評価への応用
6.終わりに
【質疑応答】
【キーワード】
微粒子,ナノ粒子,分散,凝集,DLVO,ゼータ電位,評価,ナノインク
セミナー講師
東北大学 大学院農学研究科 / 名誉教授・客員教授 村松 淳司 氏
セミナー受講料
【1名の場合】49,500円(税込、テキスト費用を含む)
2名以上は一人につき、16,500円が加算されます。
受講料
49,500円(税込)/人
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