
■本講座の注目ポイント
MLCC製造プロセスの全容(誘電体、スラリー、電極設計)について学習できる講座です。
①BTを中心に誘電体材料について解説します!
①セラミックスラリー作成から内部電極ペースト、電極印刷、剥離・積層、脱バインダー/焼成工程ついてのポイントを解説します!
②小型・大容量化や車載に向けた高圧、高温化など、今後の技術展望についても紹介します!
※講演日以降でもアーカイブ視聴可能です(8/5~8/22の期間)
セミナー趣旨
積層セラミックコンデンサ (MLCC) に代表される積層セラミック電子部品は小型化、高性能化が進んでいます。スマートフォーンなどの小型電子機器から、自動車のEV化、自動運転化、また、5G、IoT、AIの進展に伴い、生活のあらゆる分野で、その需要の大幅な増大が見込まれています。積層セラミック電子部品の小型化、高性能化は用いるセラミックス材料の材料設計とMLCCの製造プロセスに負うところが大きく、スラリーの分散、シート成形、焼成工程などMLCC製造プロセス技術の高度化によるところも大きいのですが、実はノウハウの世界が多くあり、開発の中で躓いてしまう、教科書では学べない世界でもあります。
本セミナーではまず、小型高性能MLCCを実現するためのBaTiO3誘電体セラミック材料の基礎から高信頼性化を図るための材料組成設計概要を紹介します。製造プロセス技術の中では、セラミックスラリー作成から内部電極ペースト、電極印刷、剥離・積層、脱バインダー/焼成工程など、最近の技術動向を踏まえて、製造プロセス上のポイントを学習できるようにしています。
習得できる知識
①MLCCの概要
②MLCCに求められるBaTiO3セラミックス材料特性
③MLCCの製造プロセスにおける重要な要素技術
④MLCCの製造プロセスでの分析・評価技術
⑤MLCCの今後の展望
セミナープログラム
1. 積層セラミックコンデンサ(MLCC)の概要
1.1 コンデンサの概要
1.2 インピーダンス素子としてのコンデンサ
1.3 Ni内部電極MLCCの概要
2. セラミック誘電体材料(チタン酸バリウム、BT)の概要
2.1 強誘電性BTおよび強誘電性微細BT粉末の合成
2.2 コンデンサ初期特性とBTセラミック微構造と焼結性
2.3 Ni内部電極対応のBTセラミックスの組成設計
2.4 長期信頼性確保のためのBTセラミックスの組成設計
3. MLCC製造プロセスの概要
3.1 MLCC製造プロセスの全体像
3.2 MLCC製造プロセスのポイント:薄層シート、面剥離、仮圧着、温水等方圧プレス
4. スラリーの分散プロセス
4.1 分散プロセス:ボールミル、回転速度、ビーズミル、ビーズ径、周速
4.2 スラリーの分散性評価:凝集、充填性、沈降体積
4.3 粒度分布:メディアン径、体積基準、個数基準、分散性
5. シート成形用スラリーの設計
5.1 シート組成:スラリー作成プロセス、バインダー/可塑剤比、溶剤
5.2 分散材:酸点、塩基点、 分散材添加量、 チキソ性
5.3 PVC(セラミック粉末容積比):CPVC(臨界PVC)、BT粒径、比表面積、吸着バインダー
6. シート品質
6.1 シートの乾燥:恒率乾燥、シート品質
6.2 シートの品質:表面粗さ、添加物の分散性、信頼性の影響
7. 内部電極ペーストの設計
7.1 内部電極の薄層化:Ni粉粒径、焼結性、スクリーン薄層化
7.2 微粒Ni粉:CVD法、液相法
7.3 Niペースト組成:内部電極印刷、シートアタック、塗布形状 ネガパターン印刷
7.4 内部電極焼成収縮:カバレッジ、共材の効果、収縮抑制
7.5 内部電極組成と信頼性
8. 脱バインダーおよび焼成
8.1 脱バインダー:バインダーの熱分解、残留炭素
8.2 焼成での酸素分圧:エリンガム図、雰囲気制御ガス、酸素分圧、各種酸化物の平衡酸素分圧
8.3 焼成プロファイル設計:アニール、酸素拡散、非平衡、ネック成長、高速焼成
9. 外部電極形成
9.1 バレル研磨:焼成前バレル、焼成後バレル
9.2 外部電極:外部電極組成:塗布方法、ガラスフリット、樹脂電極、めっき
9.3 耐湿不良:マイグレーション、Snウイスカー
10. 長期信頼性 (BTを例に)
10.1 寿命特性:バスタブ曲線、ワイブルプロット、初期故障、偶発故障、故障率、耐用寿命
10.2 長期信頼性:BTの電気伝導特性、オーム則、チャイルド則、放出電流
10.3 材料劣化: 高温寿命、加速係数、温度加速、電圧加速、活性化エネルギー
10.4 故障解析:DPA、層間チェック、電界剥離
11. MLCCの技術展望
11.1 AIに向けた小型・大容量化
11.2 IoT、5Gに向けた低ESL対応
11.3 車載に向けた高圧、高温化
【質疑応答】
セミナー講師
和田技術士事務所 代表 和田 信之 氏
略歴
1978年 九州大学大学院 理学研究科地質学専攻修士課程 終了
1978年 播磨耐火煉瓦株式会社(現・黒崎播磨)入社
兵庫県高砂市 本社技術研究所に勤務。
主に製鋼、製鉄用耐火物の材料開発、不定形耐火物の開発に従事
1986年 株式会社村田製作所 入社
京都府長岡京市本社および滋賀県野洲市野洲事業所に勤務。
電子セラミックス材料、主に積層セラミックコンデンサ用誘電体材料の研究開発に従事。
その後、電子セラミックス材料研究開発、分析センター、故障解析センターの部門長に就任、知的財産部門で先行技術調査を経験。
2005年~2012年 日本セラミックス協会 電子材料部会役員
国際協力・AMECおよびナノクリスタル研究会の各委員として部会活動に参加
2014年 株式会社村田製作所 定年退職
2016年 和田技術士事務所設立
セミナー受講料
●1名様 :49,500円(税込、資料作成費用を含む)
●2名様以上:16,500円(お一人につき)
※受講料の振り込みは、開催翌月の月末までで問題ありません
受講料
49,500円(税込)/人
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