
セミナー趣旨
永久磁石同期モータは家電分野から自動車分野に至る様々な分野で用いられており、小形で高出力なシステムの構築に寄与しています。ただし、永久磁石同期モータはバッテリーや商用電源に直接接続しても回転しないことから、インバータを介して駆動する必要があります。特に、バッテリーで駆動するシステムの場合、限りある電圧を最大限利用して電流ひいてはトルクを制御しなければ、駆動可能領域が縮小し、所望のシステム性能が達成できないといった自体に陥るため、制御系設計も非常に重要な役割を担います。
本セミナーでは、永久磁石同期モータのベクトル制御系に対し、制御系の変更のみでさらなる高出力駆動を実現するためのインバータの過変調領域の利用方法について説明します。パワーエレクトロニクスやモータ制御システムの知見を踏まえ、なぜこの制御法が用いられるのか、なぜこの計算となるのか、といった業務上の疑問を解決していきます。
セミナープログラム
1 電圧利用率の改善
1.1 インバータで出力可能な電圧ベクトル
1.2 第3次高調波重畳方式、二相変調方式、中間電圧1/2加算方式
1.3 電圧指令値に対するリミット処理、アンチワインドアップ制御
2 過変調駆動と1パルス駆動
2.1 インバータの過変調領域利用の利点と欠点
2.2 過変調駆動・1パルス駆動のための電圧指令値修正法
3 含有する高調波成分とそのフィルタ処理
3.1 過変調駆動利用時の注意点
3.2 含有する高調波成分
3.3 特定次数の高調波を除去するデジタルフィルタの設計
4 フィードバック型弱め磁束(FW)制御
4.1 フィードバック型弱め磁束制御の考え方
4.2 フィードバック型弱め磁束制御の構成とプログラム例
セミナー講師
松本 純(まつもとあつし) 氏
中部大学 工学部 電気電子システム工学科 准教授(博士(工学))
<略歴、等>
2011年3月 中部大学大学院 工学研究科 博士前期課程 電気電子工学専攻修了
2014年3月 名古屋大学大学院 工学研究科 博士課程後期課程 電子情報システム専攻修了(博士(工学))
2014年4月 中部大学 工学部 電気電子システム工学科 助手
2015年10月 中部大学 工学部 電気電子システム工学科 助教
2019年4月 中部大学 工学部 電気電子システム工学科 講師
2024年4月 中部大学 工学部 電気電子システム工学科 准教授
現在に至る。
主として、永久磁石同期モータの制御に関する研究に従事。平成29年電気学会電気学術振興賞(論文賞)を受賞。
セミナー受講料
お1人様受講の場合 51,700円[税込]/1名
1口でお申込の場合 66,000円[税込]/1口(3名まで受講可能)
受講について
- 本セミナーの受講にあたっての推奨環境は「Zoom」に依存しますので、ご自分の環境が対応しているか、お申込み前にZoomのテストミーティング(http://zoom.us/test)にアクセスできることをご確認下さい。
- インターネット経由でのライブ中継ため、回線状態などにより、画像や音声が乱れる場合があります。講義の中断、さらには、再接続後の再開もありますが、予めご了承ください。
- 受講中の録音・撮影等は固くお断りいたします。
受講料
51,700円(税込)/人
前に見たセミナー
関連セミナー
もっと見る関連教材
もっと見る関連記事
もっと見る-
IGBTとは?原理と仕組み、その利用法をわかりやすく解説
【目次】 IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)は、現代の電力エレクトロニクスにおいて非常に重要な役割を果たしています。特に、... -
熱雑音とは?知っておくべき基礎知識と対策法をわかりやすく解説
【目次】 電子機器や通信システムにおいて、熱雑音は避けて通れない問題です。特に、精密な測定や高性能なデバイスを求める現代においてその... -
SiC MOSFETとは?仕組みや利用における利点と欠点について解説
【目次】 シリコンカーバイド(SiC)金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)は、次世代のパワーエレクト... -
超流動とはどういう現象?仕組みや超伝導との違いなどを詳しく解説
【目次】 超流動とは、物質が極低温において示す特異な現象であり、流体が摩擦なしに流れる状態を指します。超流動の現象(特にヘリウム-4...