GMPコンプライアンス教育とQualityCulture醸成の効果的手法

法令への遵守意識、モラルをどのように植え付ければいいのか? 
従業員一人ひとりの「思い」と「質」を高め、製造品質の向上につなげていくための方法とは

セミナー趣旨

 30年医薬品の品質管理/品質保証を担当し感じるのは、医薬品の品質保証は仕組みも大きいが、やはり一番大きいのは従業員一人ひとりの良い医薬品を造りたいとの思いと、質を高めることに尽きる。そして、それを支援する経営陣の働きが大きい。
最近も大手ジェネリックメーカーで安定性モニタリング時に、溶出試験が不適合になり、工場長兼医薬品製造管理者がカプセル交換というあり得ない指示をしてデータの捏造を行っていたことが発覚した。現場のSOP違反だけでなく責任者による判断ミス、不正指示がなぜこんなに続発しているのだろう? また、なぜ各製造所は自製造所の見直しをやらないのだろう? 今やらずにいつやるのだろう?
 福井県の製造所での健康被害発生では、QCとQAの質が高ければ防ぐことができた事例でした。組織長レベルでさえ間違えた判断を行っていた。OOSの理解と運用、データの見方など、気づくチャンスをことごとく見逃している。では、どうすれば良いかとなるとなかなか見つからずに試行錯誤されていることと思う。
 本セミナーでは、なぜ人は偽造・偽証を行うのか、それを防ぐにはどうすれば良いか。経営陣はどうするのが良いかを30年の品質管理&品質保証経験並びに他社の失敗事例と多くの本から学んだことを紹介したい。
 GMPの品質保証に上乗せして、製造で品質保証を行う仕組みの導入、そしてそれにプラスして、一人ひとりの知識と感性による品質保証が大きな現場力になる。それを行うためのマネイジメントや教育訓練について、過去の実際の偽造、偽証やミスを題材にしながらGMPを学ぶ。

セミナープログラム

はじめに
・教育訓練の重要性とSOPを順守することの功罪
 1)マネイジメントの重要性(経営層の考え方)
 2)性悪説(GMP)に基づく品質保証の仕組み作り
 3)性善説に基づく風土創り

1.エラーはどうして起きるか 
 1)人
 2)方法
 3)環境/設備
 4)マネイジメントエラーの考えと対応

2.大事故から学ぶこと
 1)トレーサビリティの不備&知識不足が引き起こした食中毒
 2)人のミスと見えて実は背景にミスを引き起こしやすい背景があった飛行機ニアミス
 3)SOPミスによるトンネル内火災事件と反省を次に生かす
 4)人に優しくしないことが引き起こした列車脱線事故
 5)津波による原発事故の想定外と片付ける危険
 6)設計段階でリスクをどれだけ低減するか

3.偽造、隠ぺいの事例
 1)品質(偽造・隠ぺい)問題が経営に影響
 2)ルール無視を放置したことによる船建設中の大火災
 3)知識不足とルール違反が引き起こした臨界事故

4.医薬品産業での偽造、隠ぺいの事例
 1)内部報告での製品回収事例
 2)厚生労働省の改善命令より
 3)環境モニタリングのデータ不正
 4)他産業の事例

5.PMDAの査察で製品回収につながった事例
 1)韓国原薬2製造所
 2)水虫薬の回収と指摘事項
 3)PMDAの製品回収事例からPMDAのGMP指摘と思われる事例

6.当局の偽証を防止する施策
 1)和歌山県の原薬業者の問題点
 2)無通告査察とその実際
 3)愛知県の原薬/製剤業者の問題点
 4)山口県の原薬/製剤業者の問題点
 5)福井県の製剤コンタミミスで死亡の第三者委員会報告から学ぶ
  ・OOSの取り扱い
  ・データの見方
  ・あれ?普段と違うときに行う方法
 6)富山県の製薬企業で約100品目回収の第三者委員会報告から学ぶ
 7)徳島県の製薬企業で約20品目回収
 8)3製造所の行政処分と改善命令
 9)石川県のGMP違反
 10)富山県の製造販売承認書違反と記録の虚偽
 11)秋田県の製造所の試験データの偽造・偽証
 12)フェリング・ファーマに業務改善命令
 13)京都府の製造所の承認書齟齬の試験違反
 14)福岡県の製造所のカプセル詰替え試験偽装

7.重大な品質問題が生じた時の実際のマネイジメント対応例
 1)報告すると製品回収のリスク、報告しなければ製品回収はないとの狭間のジレンマ

8.作業者が隠ぺいをした事例とその対応
 1)試験を実施しなかった
 2)意図的にSOPを遵守しない

9.なぜ作業者は報告しない/隠ぺいするのか
 1)隠蔽の意識がない行為
 2)SOPに対する軽視

10.風土の問題
 1)マネージメントの問題 
 2)一人ひとりが生かされる風土
 3)エイミー C. エドモンドソン「心理的安全性」が確保されているか

11.経営者の問題
 1)ICHのDIガイダンスより
 2)リソースの考え方
 3)教育訓練に投資することが最大のリスク防止
 4)うっかりミスをボーナスの査定に反映しない
 5)確信犯の違反には厳格に処分する

12.作業者がミスを起こしにくいSOP/製造指図とは?  
 1)重要な項目はダブルチェック
 2)ダブルチェックする項目を明確にしサインをすることにより責任を明確にする。
 3)記録は必ずダブルチェックする。
 4)記録はその都度記入する。
 5)計量などの重要な項目はプリントアウトさせる。かつ記録のすぐ近くに貼付欄を設ける。
 6)重要な項目はレ点ではなく記入させる。
 7)表示物の計数管理は引き算をしない。
 8)ラベルなどは廃棄するものを台紙に貼付して後日問題があった時にトレースできるようにする。
 9)現場の作業者に計算させるようなSOPにしない。
 10)現場の計測器の単位とSOPの単位は一致させる。
 11)現場の作業指示書/作業カードも文書管理を行う。
 12)作業カード等に写真など視覚情報を掲載する。

13.偽造を見つけるための査察(PMDAが行うと想像される項目)
 1)逸脱/OOSなどの事例を深堀する
 2)日付に注目する
 3)サイン日の出社を確認する
 4)紙の白さに注目する
 5)収率に注目する
 6)受け入れ試験から出荷までの製造工程を一貫して記録を見る
 7)作業者に個別ヒアリングを行う
 8)プラントツアー時に現場の記録等を確認する
 9)倉庫の原料を確認する
 10)倉庫の入荷ログ(リスト)を確認する。
 11)生データを確認する 
 12) サンプリングではなく全てのロットを確認する 
 13)資格者を確認する
 14)指図記録書を確認する        
 15)試験のサンプリング量を確認する
 16)サンプリング者を確認する
 17)標準品管理を確認する
 18)逸脱&OOSの発生頻度を確認する
 19)その他(講師が行っている確認項目)
  ①健康増進法の喫煙環境の確認
  ②SDSの入手とそれのSOPへの反映
  ③自動販売機の値段
  ④作業者の動きを確認する

14.医薬品製造の品質トラブル 
 1)ドリンク剤の使用期限と製造番号の捺印が逆になっている(製品苦情)
 2)原薬の中に,ガラス異物が何個か見つかった(逸脱)
 3)注射剤のバイアル瓶の個装箱への包装時に他社製品のフリップキャップが見つかった(逸脱)
 4)品質再評価の試験方法が,1/12個アウトにでている(新規試験方法設定)
 5)他社製品の自社への販売移管時の品質評価(導入時の品質評価)
 6)ドリンク剤(食品)の栄養成分表示ミスが見つかった(問い合わせ)
 7)中国査察時に製造販売承認書に記載されていない原薬製造所で異物除去
  (製造販売承認書からの逸脱)
 8)製造販売承認書からの逸脱(一変事項の個所だが品質には影響しない)
 9)処方成分でないものを製造工程で使用していることが判明
  (レギュレーション厳格化への対応)
 10)ある製品のOOSが何度も発生している
  (当局査察時のリスクと収去時のリスク)

15.2022年GMP事例集紹介
 1)代替試験
 2)安定性モニタリング
 3)洗浄 ホールドタイム
 4)設備の共用
 5)製造用水
 6)保管(習慣性医薬品など)
 7)検体採取(サンプリング)
 8)参考品・保存品管理 など

16.GMPがこれまで以上に重要
 1)GMP不備から製品回収
 2)GMP不備による新製品承認遅れ
 3)PMDAのオレンジレター

17.製造販売承認書の齟齬チェック者と責任者の研修
 1)教育訓練(知る)
 2)齟齬のチェック方法と対策(実践する)
 3)齟齬を防ぐ仕組み(維持する)

18.教育訓練
 1)SOPへの認識を改める/SOPを知る
 2)ヒューマンエラーと故意との違い
 3)教育訓練の効果検証の方法について ・
 4)認定制度
 5)ノウハウ集
 6)違反ができないGMP仕組みが人を守る
   ・現場でのサンプリング
   ・食品会社の取り組み(農薬混入から)
 7)3ゲン(現場、現物、現実) 5ゲン(+原理、原則)
 8)PDCA Plan Do Check Action  品質サイクル
 9)MBWA Management By Wandering Around
 10)CRM(Cockpit Resource Management)の業務への取り込み
 11)割れ窓理論の実践による大きなリスク回避(ハインリッヒの法則) 
 12)Spiritual 5S(精神/整理・整頓・清掃・清潔)
 13)3H(初めて、変更、久しぶり),5H(犯罪、普段と違うを追加)
 14)先送りしない(先送りしても問題が起きない場合も)
  ・目の前の品質課題を一つひとつ解決する→行動する
 15) 感性の3要素

19.講師の考えるQuality Culture醸成
 1)FDAのQuality CultureとMetrix
 2)日本の品質文化
 3)経営者の姿勢
 4)偽造/偽証の元凶
 5)逸脱/OOSの報告とマネージメント
 6)働く目的
 7)一人ひとりがイキイキと
 8)Quality Cultureを醸成するための教育

20.HPからGMP自主学習
 1)一言GMP
 2)現場力
 3)感性の3要素 など

21.人が創る品質

【質疑応答】

セミナー講師

(株)ミノファーゲン製薬 顧問 脇坂 盛雄 氏

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医薬品技術   医薬品・医療機器・化粧品等品質管理基準(G*P(GMPなど)、QMS)   コンプライアンス

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