【中止】高周波弾性波デバイス(SAW・BAW)の基礎理論から実用化成功の秘訣及び今後のBAWやSAWの技術の動向

〇次の世代用高周波フィルタが要求されるなど、ますますFBARやSAWフィルタへの期待が高くなっています。
〇今後のBAWやSAWの技術の動向などについてお話します。

セミナー趣旨

  電薄膜バルク波(BAW)共振子(FBARあるいはBAWR)や弾性表面波(SAW)は小形、軽量、周波数無調整、高信頼性、高周波化対応可能等の特徴を持つ。SAWの民生用への応用はテレビの映像中間周波数(VIF)用フィルタが最初で、その後SAWデバイスは自動車電話、コードレス電話、ペジャ用などへの応用を経て、今や携帯電話、スマートフォンに欠かせない重要な部品となっている。一方。FBARは携帯電話の普及により採用され、当時、SAWの比べて急峻な特性を持つため、急峻な特性が要求されるbandを中心に採用されるようになった。近年のスマートフォンの普及により、両デバイスは、それぞれ特徴を生かしたBandに使用されている。また近年の周波数の混雑対策として、SAWでも急峻な特性が得られるようになってきている。今後、急峻な特性と良好な温度特性をもつフィルタ特性に加え、キャリアアグリゲーションシステムの普及により、広い周波数範囲でスプリアスのないフィルタや第5世代用あるいは次の世代用高周波フィルタが要求されるなど、ますますFBARやSAWフィルタへの期待が高くなっている。
  講演者は、村田製作所入社後、圧電セラミックを用いたエネルギー閉じ込め型バルク波共振子・フィラタ(BAW)の開発やSAWフィルタの開発を担当。テレビ・映像中間周波数用SAWフィルタの開発後には、その実用化のため11年間、製造現場に従事して、世界で唯一その実用化に成功した。その後、異動した開発部門では、横波型SAWの端面反射を利用した超小型ETC用フィルタ(今でもシェア100%)及びTV用補助トラップ共振子、高密度電極と水晶を用いた温度特性良好で超小型な携帯電話用IFフィルタ、平坦化SiO2膜/高密度電極/圧電基板構造の温度特性(いわゆるTCSAW)の良好な小型なスマートフォン用SAWデュプレクサ(このデュプレクサはその後同業にもクロスライセンスされ、世界の同業でも数多く生産されている)等、世界初の数多くの各種弾性表面波デバイスの開発と実用化に成功。また近年、注目され始めた板波の1種のラム波(XBARと名を変えて呼んでいつグループもある)については、15年前にいち早く注目し、世界で初めてラム波で5 GHz以上のデバイスを実現した。その論文は2010年度のIEEE UFFC transactionの最優秀論文に選ばれており、また、近年のラム波の論文のほとんどに引用されている。東北大に異動後は、圧電薄板と水晶基板を用いた高Q、ゼロTCF,スプリアスフリーのデバイスに開発のほか、電極を基板内に埋め込むことによる8.2 GHzの3次高調波SAWの励振や圧電基板と従来の1/5厚の多層膜からなる構造で9.5 GHzの3次の高次モードのBAWの励振に成功している。
  本講演者は、このように、TV用SAWフィルタのSAWの研究の黎明期から現在に至るまで、SAWの開発・実用化・製造に取り組んできている。これらの経験を活かし、弾性体や圧電体の基本的な考え方・理論、BAWやSAWの原理、BAWやSAWの種類や励振方法、それらに適した材料、それらを応用したBAWやSAW共振子、ラダーフィルタへの原理・構成方法、実用化成功の秘訣、今後のBAWやSAWの技術の動向などについて講演する。

受講対象・レベル

・移動体通信用デバイスに興味のある方
・弾性波デバイス開発、製造、営業担当者
・弾性波デバイス用材料開発担当者
・弾性波デバイス用装置設計担当者
・開発企画担当者

必要な予備知識

この分野に興味のある方なら、特に予備知識は必要ないが、高校程度の数学の知識があれば、なお良い。

習得できる知識

・弾性体・圧電体の基礎
・一般的なFBAR・SAW・板波の知識
・SAW、BAW、板波の基礎・原理
・SAW、BAW、板波SAW用材料
・SAW、BAW、板波の各種振動モードの種類
・SAW、BAW、板波の共振子、フィルタの原理、応用例
・技術開発・実用化の秘訣
・技術者に期待されること

セミナープログラム

1. 弾性体の基礎
 1-1 音波
 1-2 弾性体の結晶構造
 1-3 歪と応力の関係
 1-4 弾性定数
      (スティフネス、コンプライアンス、(ポアソン比、ヤング率))
 1-5 運動方程式
 1-6 弾性体の縦波音速、横波音速は何に依存している、どのように求める
2. 圧電体とは
 2-1 圧電現象
 2-2 圧電方程式(圧電定数)
 2-3 結晶構造のおける圧電定数の違い
 2-4 電気機械結合係数
3. BAWとFBAR
 3-1 バルク波(BAW)とは
 3-2 厚みすべり振動とは
 3-3 厚み縦振動とは
 3-4 FBAR用材料
 3-5 成膜方法
 3-6 BAWやFBARの厚み振動共振子の周波数は何で決まる
 3-7 厚み振動共振子の帯域は何で決まる
 3-8 エネルギー閉じ込め振動とは
 3-9 キャビティ構造とSMRの違いは
4. 共振子とラダーフィルタ

 4-1 共振子
 4-2 ネットワークアナライザによる共振子特性の測定
 4-3 スミスチャート、動アドミタンス特性
 4-4 共振周波数、反共振周波数とは
 4-5 電気機械結合係数
 4-6 Qとは
 4-7 等価回路
 4-8 2重モードフィルタとは
 4-9 ラダーフィルタとは
 4-10 フィルタの帯域は
 4-11 帯域は何に依存する
 4-12 高周波化するには
5. SAW
 5-1 SAWとは
 5-2 SAWとBAWの違い
 5-3 SAWの励振
 5-4 SAWの種類
 5-5 レイリー波
 5-6 漏洩弾性波
 5-7 縦波型漏洩弾性波
 5-8 セザワ波
 5-9 BGS波
 5-10 ラブ波
 5-11 層状構造弾性波
 5-12 境界波
6. 板波
 6-1 板波とBAWやSAWとの違いは
 6-2 ラム波と横波型(SH型)板波
 6-3 LiNbO3やLiTaO3薄膜を用いたデバイスの例
7. SAWの解析方法
 7-1 Campbell-Joneの方法
 7-2 パワーフロー角
8. SAW用材料
 8-1 セラミック(PZT等)
 8-2 薄膜(ZnO等)
 8-3 単結晶(LiTaO3、LiNbO3、水晶、LBO、ランガサイト等)
9. SAW共振子
 9-1 SAW共振子の原理
10. SAWフィルタの種類
 10-1 トランスバーサル型フィルタ
 10-2 縦波型共振子フイルタ
 10-3 横波型共振子フィルタ
 10-4 ラダーフィルタ
11. 近年話題のSAWデバイス
 11-1 近年要求される特性(温度特性、高Q、スプリアス等)
 11-2 異種材料基板を組み合わせたSAWデバイス
  11-2-1 異種基板を組み合わせた温度特性の良好なSAWデバイス
  11-2-2 異種基板とを組み合わせた高QなSAWデバイス
 11-3 広帯域弾性波デバイス
  11-3-1 空洞型板波
  11-3-2 音響多層膜構造SAWデバイス
 11-4 高周波弾性波デバイス
  11-4-1 高次モードを利用したSAWデバイス
  11-4-2 空洞型板波
  11-4-3 音響多層膜構造SAWデバイス
  11-4-4 高調波SAW(8.2 GHz SAW)
12. 単結晶を用いたBAWデバイス
 12-1 空洞型BAWデバイス
  12-1-1 LN薄板BAW
  12-1-2 LT薄板BAW
 12-2 音響多層膜構造BAWデバイス
  12-2-1 LN音響多層膜構造
  12-2-2 LT音響多層膜構造
   12-3 高周波音響多層膜構造BAWデバイス(7- 9.5 GHzBAW)
13. 実用化例


講演中のキーワード
弾性体、圧電体、弾性表面波、バルク波、各種フィルタ、デュプレクサ、スマートフォン、
第5、第6世代、高周波弾性波

セミナー講師

 東北大学大学院 工学研究科 ロボティクス専攻 シニアリサーチフェロー   門田 道雄 先生

■ご略歴
東北大学工学研究科終了後、1974年村田製作所入社。1994 年東北大学より工学博士(論文)。
2005年同社フェロー(役員待遇)。2013年1月同社退職。同年2月東北大学客員教授、2014年8月同特任教授。
2018年4月同シニアリサーチフェロー。
村田製作所在職時、世界で唯一実用化に成功した酸化亜鉛(ZnO)薄膜を用いたテレビ用弾性表面波(SAW)
フィルタをはじめ(この成功がなければ今の村田製作所のSAWの事業はないという重要な実用化成功)、
横波型SAWの端面反射を利用した超小型ETC用フィルタ(今でもシェア100%)及びTV用補助トラップ共振子、
高密度電極と水晶を用いた温度特性良好で超小型な携帯電話用IFフィルタ、
平坦化SiO2膜/高密度電極/圧電基板構造の温度特性(いわゆるTCSAW)の良好な小型な
スマートフォン用SAWデュプレクサ(このデュプレクサはその後同業にもクロスライセンスされ、
世界の同業でも数多く生産されている)等、世界初の数多くの各種弾性表面波デバイスの開発と実用化に成功。
また近年、注目され始めた板波の1種のラム波(XBARと名を変えて呼んでいるグループもある)については、
15年前にいち早く注目し、世界で初めてラム波で5 GHz以上のデバイスを実現した。
その論文は2010年度のIEEE UFFC transactionの最優秀論文に選ばれており、
また、近年のラム波の論文のほとんどに引用されている。
北大に異動後は、圧電薄板と水晶基板を用いた高Q、ゼロTCF、スプリアスフリーのデバイスに開発のほか、
電極を基板内に埋め込むことによる8.2 GHzの3次高調波SAWの励振や圧電基板と従来の1/5厚の多層膜からなる
構造で9.5 GHzの3次の高次モードのBAWの励振に成功している。
■ご専門および得意な分野・ご研究
弾性表面波、バルク波などの弾性波工学
■本テーマ関連学協会でのご活動
1984~1992 Japanese Technical Committee 49 of the International Electrotechnical Commission
                   (WG2 圧電セラミック小委員会、WG2 外形寸法小委員会、
                    WG6 測定方法小委員会、WG9 クリスタル小委員会各委員)
1992~2013 日本学術振興会弾性波素子第150委員会運営委員
1994~1995及び2003~2004 日本音響学会関西支部評議員
1995~1996 電子情報通信学会超音波専門委員会委員
1997~2013 電気学会高機能EM回路デバイスの構成技術調査専門委員
1997~2012 超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム(USE)実行委員
2001~2005 Japanese Journal Applied Physics 特別編集委員
2007~2008 IEEE Ultrason. Ferroelec. Freq. Cont.ソサェティ日本支部長
2007~2013 神戸大学工学研究科 非常勤講師
2007 日本音響学会関西支部副支部長
2008  日本音響学会関西支部長
2010~2011 電気学会特集号 論文委員
2011  超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム(USE)運営委員長
2012~現在 超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム(USE)顧問
2009~現在 IEEE Internatinal Ultrasonics Symposium Technical Program Committee
2022~現在 弾性波コンソーシアム監査役

セミナー受講料

1名47,300円(税込(消費税10%)、資料付)
*1社2名以上同時申込の場合、1名につき36,300円
*学校法人割引;学生、教員のご参加は受講料50%割引。

受講について

※本講座は、お手許のPCやタブレット等で受講できるオンラインセミナーです。

配布資料・講師への質問等について

  • 配布資料は、印刷物を郵送で送付致します。
    お申込の際はお受け取り可能な住所をご記入ください。
    お申込みは4営業日前までを推奨します。
    それ以降でもお申込みはお受けしておりますが(開催1営業日前の12:00まで)、
    テキスト到着がセミナー後になる可能性がございます。
  • 当日、可能な範囲で質疑応答も対応致します。
    (全ての質問にお答えできない可能性もございますので、予めご容赦ください。)
  • 本講座で使用する資料や配信動画は著作物であり、
    無断での録音・録画・複写・転載・配布・上映・販売等を禁止致します。

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※セミナーに申し込むにはものづくりドットコム会員登録が必要です

開催日時


10:30

受講料

47,300円(税込)/人

※本文中に提示された主催者の割引は申込後に適用されます

※銀行振込、コンビニ払い

開催場所

全国

主催者

キーワード

電子デバイス・部品   通信工学   機械材料

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