高熱伝導化に向けたフィラーの開発動向および放熱材料への展開

~放熱シートの開発、パワーモジュールへの適用例~

★高分子複合材料の熱伝導性、絶縁性などの実用物性の水準および有機無機ハイブリッド化合物の研究開発状況について解説!
★【高熱伝導】を有する窒化ホウ素 (BN) および窒化ケイ素 (Si3N4) フィラーを化学合成し、エポキシ樹脂に添加することにより作製した高熱伝導ハイブリッド 材料を紹介!
★パワーモジュール機器の小型・高性能化が進んでいるなか、【放熱対策】が重要な課題となっている現状を踏まえ、樹脂複合材料中でのh-BN粒子の配向とその熱伝導率の関係を明らかにし、低充填率で熱伝導率を大きく向上する手法について紹介!
★高熱伝導シロキサンフリー放熱シートについて、その特徴と想定用途を解説!

セミナープログラム

【第1講】 樹脂用高熱伝導セラミックスフィラーの開発 
【時間】 10:45-12:00
【講師】香川大学   創造工学部 教授/工学博士 楠瀬 尚史 氏

【講演主旨】
 わずか0.2W/mK程度の絶縁体有機樹脂の熱伝導を向上させるために、高熱伝導セラミックスとの複合化が研究されている。 しかし、市販のセラミックス粉末は焼結性を重視して作製されているため、一般的に粉末としての熱伝導は低いものであった。 本研究では、高熱伝導を有する窒化ホウ素 (BN) および窒化ケイ素 (Si3N4) フィラーを化学合成し、エポキシ樹脂に添加することにより作製した高熱伝導ハイブリッド 材料について講演する。

【プログラム】
1.セラミックス
2.高熱伝導非酸化物セラミックス
 2-1 高熱伝導フィラーの選択
 2-2 代表的な材料の熱伝導度
 2-3 窒化アルミニウム(AlN)
  2-3-1 AIN焼結体の熱伝導度
  2-3-2 AlNセラミックスの熱伝導における粒径の影響
 2-4 窒化ケイ素(Si3N4)
  2-4-1 Si3N4焼結体の熱伝導度
  2-4-2 Si3N4セラミックスの平均粒径と熱伝導度の関係
 2-5 窒化ケイ素(Si3N4)化ホウ素(BN)
  2-5-1 SiCセラミックスの熱伝導度
  2-5-2 非酸化物セラミックスの熱伝導度と電気伝導
3.高熱伝導ハイブリッド材料
 3-1 Si3N4ナノワイヤー添加エポキシハイブリッド材料
 3-2 BN凝集体添加エポキシハイブリッド材料
 3-3 化学合成BN添加エポキシハイブリッド材料
【質疑応答】


【第2講】 熱伝導性高分子複合材料の考え方並びに有機無機ナノハイブリッド化合物の基礎と最近の開発動向
【時間】 13:00-14:15
【講師】元住友化学 株式会社AndTech 技術顧問 今井 昭夫 氏

【講演主旨】
 高速高容量の情報通信時代を迎えて、電子機器部品・デバイスには、電送時の電気エネルギー損失の低減や、電送損失・発熱による温度上昇防止技術の改良が求められている。電子回路の基盤には、絶縁性能の高い高分子材料が適用されているが、高分子材料は熱伝導度が低いため、通電操作時の発生熱量を部品・部材外に排出・放熱するために、熱伝導性の高い物質を配合・充填した複合材料が開発されている。一方、電子機器のコンパクト化・ポータブル化と高容量高速の情報伝送という世の中のニーズに即した電子機器の開発は、より熱伝導性の高い材料への要求を高めている。複合材料においては、充填剤種の選択と、充填剤の分散すなわち樹脂/充填剤の界面の設計設定技術の高度化が必要とされており、分子サイズレベルでの異種材料の混合も検討されている。その究極としての有機・無機ハイブリッド化合物の適用も検討が開始されている。本講座では、これら複合材料の基礎的な解説と、技術開発の動向の紹介を行う。

【プログラム】
1.高分子複合材料と有機無機ハイブリッド化合物の基礎
2.高分子材料、無機材料の熱伝導度と絶縁性
3.高分子複合材料の放熱部品・部材への適用
  (1)高分子基材中への充填剤の混合分散・分配
  (2)充填剤の分散とパーコレーション
  (3)充填剤と高分子材料との界面
  (4)充填剤の表面処理
4.放熱部材の材料設計と基材・充填剤間の結合生成について
5.最近の熱伝導材料設計の開発トピックス
  ―― 企業における開発、公的研究機関における研究
6.有機無機ナノハイブリッド化合物に関する研究開発動向
【質疑応答】

【キーワード】
高分子複合材料、分散、パーコレーション、表面処理、有機無機ハイブリッド化合物

【講演ポイント】
高分子複合材料の設計・開発の実務経験を有しており、樹脂ゴム製造企業の技術・研究開発情報にも詳しい。

【習得できる知識】
・高分子材料や充填剤の性質
・高分子/充填剤 複合化技術
・高分子複合材料の熱伝導性、絶縁性などの実用物性の水準
・有機無機ハイブリッド化合物の研究開発状況


【第3講】 窒化ホウ素の配向制御による低充填量での高熱伝導化
【時間】 14:25-15:40
【講師】三菱電機株式会社 先端技術総合研究所 マテリアル技術部 三村 研史 氏

【講演主旨】
 パワーモジュール機器の小型・高性能化が進むにつれ放熱対策が重要な課題となっている。より高放熱が求められる機器においては、絶縁かつ放熱部材に樹脂に高熱伝導を有する窒化ホウ素(h-BN)粒子を充填した樹脂複合材料が用いられる。このh-BN粒子は、鱗片形状をしており、その熱伝導率に異方性を有する。そのためh-BN粒子を充填した樹脂複合材料を用いて放熱経路に沿って効率的に熱を逃がすためには、h-BN粒子の配向を制御する必要がある。本講演では、樹脂複合材料中でのh-BN粒子の配向とその熱伝導率の関係を明らかにし、低充填率で熱伝導率を大きく向上する手法について紹介する。

【プログラム】
1.電子機器の構造と高熱伝導樹脂材料のニーズ −パワーモジュール適用例を中心に−
2.高熱伝導複合材料の基礎と応用
  2-1 樹脂/無機フィラー複合材料の熱伝導率
  2-2 モールド型パワーモジュールへの応用
3.樹脂複合材料の高熱伝導化
  3-1鱗片BN、AlNフィラーの高充填化
  3-2凝集BNフィラーによる配向制御(低充填化)
【質疑応答】

【キーワード】
絶縁材料、放熱材料、樹脂複合材料、パワーモジュール、エポキシ樹脂、窒化ホウ素、配向制御

【講演のポイント】
樹脂に高熱伝導を有する窒化ホウ素(BN)を複合した樹脂複合材料において、効果的に熱伝導率を向上するにはBN粒子の配向を制御する必要がある。BN凝集体を配合してBN粒子の配向を制御すると低充填量で熱伝導率が大きく向上することが可能。

【習得できる知識】
樹脂材料の放熱材料設計指針、パワーモジュールの放熱構造


【第4講】 高熱伝導シロキサンフリー放熱シート SifreeX-HL
【時間】 15:50-16:50
【講師】積水化学工業株式会社 フォーム開発センター Member 上田 雄大 氏

【講演主旨】
 積水化学グループでは幅広い放熱材料を取り扱っておりますが、我々フォーム事業部では非常に柔軟な放熱シートである、「高熱伝導シロキサンフリー放熱シート SifreeX-HL」を販売しております。本製品の特徴は「高熱伝導」「柔軟」「シロキサンフリー」「絶縁」であり、これらの特徴により幅広い用途でご検討、ご採用いただいております。
 本講演では、我々の製品の特長をPRさせていただき、また、高熱伝導以外の特徴である「柔軟性」「シロキサンフリー」「絶縁性」が活きる用途、使用シーンをご説明させていただくと同時に、どのようにしてこれらの性能を両立させたかについても、可能な範囲で解説いたします。

【プログラム】
・ 自己紹介
・    積水化学グループ放熱材のご紹介
・    高熱伝導シロキサンフリー放熱シート SifreeX-HL のご紹介
・    SifreeX-HLの各種物性の特徴
    ―柔軟性
    ―シロキサンフリー
    ―絶縁性
・    SifreeX-HLの技術的特徴
・    製品ロードマップ / 今後の展望
【質疑応答】

【キーワード】
放熱シート、高放熱、シロキサンフリー、絶縁、柔軟

【講演ポイント】
高熱伝導シロキサンフリー放熱シート「SifreeX-HL」について、その特徴と想定用途を解説いたします。また特徴である「柔軟」「シロキサンフリー」「絶縁」が活きる場面についても解説します。

【習得できる知識】
シロキサンフリー放熱シートに関する知見(使用方法、技術的特徴等)
放熱シートの柔軟性、シロキサンフリー、絶縁性が活きる場面

セミナー講師

  • 第1部  香川大学    創造工学部 教授/工学博士  楠瀬 尚史 氏
  • 第2部  元住友化学  株式会社AndTech 技術顧問  今井 昭夫 氏
  • 第3部  三菱電機株式会社  先端技術総合研究所 マテリアル技術部  三村 研史 氏
  • 第4部  積水化学工業株式会社  フォーム開発センター Member  上田 雄大 氏

セミナー受講料

【1名の場合】55,000円(税込、テキスト費用を含む)
2名以上は一人につき、11,000円が加算されます。


※セミナーに申し込むにはものづくりドットコム会員登録が必要です

開催日時


10:45

受講料

55,000円(税込)/人

※本文中に提示された主催者の割引は申込後に適用されます

※銀行振込

開催場所

全国

主催者

キーワード

高分子・樹脂材料   複合材料・界面技術   電子材料

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キーワード

高分子・樹脂材料   複合材料・界面技術   電子材料

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