酸化ガリウムの弱点克服と、新しいパワーデバイス材料 ~二酸化ゲルマニウム(GeO2)の可能性~

〇前半は酸化ガリウムの特徴から説明し、市販化における難点とその克服法から説明します。
〇後半は、大きな可能性を秘めた新材料である二酸化ゲルマニウム(GeO2)の開発状況のお話をします。

セミナー趣旨

 酸化ガリウムは2020年に株式会社FLOSFIAによりデバイスの市販化が達成されました。しかしながら、その市販化には酸化ガリウムの低い放熱性など克服するべき点がありました。さらに、酸化ガリウムの自己束縛励起子が室温において安定である事がβ-Ga2O3およびα-Ga2O3で報告されており、ドーピングによるp型伝導の実現は困難でした。
 これらの難点とそれを克服するための試み等を前半にお話します。

 後半は、大きな可能性を秘めた新材料である二酸化ゲルマニウム(GeO2)の開発状況のお話をします。GeO2はバンドギャップが4.6 eVの超ワイドギャップ半導体です。2019年頃よりパワーデバイスとして優れた性能をもつことが米国を中心に盛んに理論予測され始めました。具体的には、ドーピングによるp型とn型の導電性制御が可能である事、電子、正孔ともに高い移動度を有している事です。そして既に様々な機関からCZ法、Flux法、水熱合成法によるバルク合成 が報告されていました。つまり、ホモエピタキシャル成長が可能でp型、n型の両伝導が可能、さらに4.6 eVという巨大なバンドギャップをもつ事から、パワーデバイスの新しい候補材料として一気に注目を浴びました。しかしながら、その薄膜作製は非常に困難で、例えば2020年にMBEによる極薄膜の作製が報告されましたが、成長速度が10 nm/hとかなり小さいものでした。当研究室では、2021年に1μm/h以上の成長速度をもつ厚膜の作製を行いました。それらの製膜手法と今後の展開についてお話をします。

受講対象・レベル

・材料系のR&Dに従事されている若手の方。
・パワー半導体関係の何かしらの技術的専門職に関わっている方。

必要な予備知識

・ワイドギャップ半導体に関する基礎知識。
・基礎的な半導体や結晶成長に関する知識。

習得できる知識

市販化されたコランダム構造酸化ガリウム(α-Ga2O3)の特徴や、デバイス化における難点克服を学べます。ただしこの点は公開情報にとどまる事をご留意ください。
さらに、新しいパワー半導体材料である二酸化ゲルマニウムについての知識が得られます。

セミナープログラム

1. 酸化ガリウム の欠点と、その克服【特徴などの概要等も説明します】
  1-1 株式会社FLOSFIAによるデバイス市販化(評価用ボード)※公開情報のみ
  1-2 低熱伝導率、高コストの克服
  1-3 酸化ガリウム(Ga2O3)のp型が実験的理論的に不可能な理由
  1-4 p型酸化イリジウムを用いたpn接合デバイスの作製
2. 新しいパワーデバイス材料、二酸化ゲルマニウム(GeO2)の可能性
  2-1 二酸化ゲルマニウム(GeO2)の可能性 【簡単な評価方法を説明します。】
 ・バンドギャップ4.6 eV
 ・p型とn型が作製可能(理論予測)
 ・高い移動度
 ・安価に基板作製可能
 ・酸化ガリウムの2倍の熱伝導率
  2-2 なぜ、二酸化ゲルマニウム(GeO2)の薄膜合成はきわめて困難なのか?
  2-3 世界初の二酸化ゲルマニウム(GeO2)厚膜の合成と高速成長
  2-4 二酸化ゲルマニウム(GeO2)のバンドギャップ変調


■ご講演中のキーワード
パワー半導体、酸化ガリウム、二酸化ゲルマニウム、GeO2 

セミナー講師

 金子 健太郎 先生   立命館大学 総合科学技術研究機構 教授

■ご略歴
2013年 京都大学大学院工学研究科電子工学専攻博士課程修了
      博士(工学) 日本学術振興会特別研究員(PD)
2014年 京都大学大学院工学研究科 助教
2018年 同 講師
2022年 立命館大学 総合科学技術研究機構 教授
■ご専門および得意な分野・研究
機能性化合物の合成と新機能開拓
■本テーマ関連学協会でのご活動
2022年 - 現在 応用物理学会 代議員
2021年 - 現在 エレクトロニクス実装学会関西支部 役員
2021年 - 現在 日本材料学会 半導体エレクトロニクス部門 編集担当委員
2020年 - 現在 第4回酸化ガリウムおよび関連材料に関する国際ワークショップ(IWGO-4) 財務
2019年 - 現在   日本結晶成長学会 ナノ構造・エピタキシャル成長分科会 幹事
2019年 - 2021年  電子材料シンポジウム(EMS) 現地実行委員
2018年 - 現在 日本材料学会 第67期 編集委員会 査読委員
2018年 - 現在   IEEE CPMT Symposium Japan (ICSJ) 運営委員、査読委員 パワーデバイスセッション責任者
2019年 - 2021年 応用物理学会 関西支部 幹事
2019年 - 2021年   日本材料学会 半導体エレクトロニクス部門 編集副担当委員
2016年 - 2019年 有機金属気相成長法国際学会 ICMOVPE -二酸化ゲルマニウム(GeO2)の可能性 現地実行委員
2014年 - 2015年 第1回酸化ガリウムおよび関連材料に関する国際ワークショップ(IWGO2015) 財務
2014年 テラヘルツプラズマ国際学会2014 現地実行委員、会計

セミナー受講料

1名41,800円(税込(消費税10%)、資料付)
*1社2名以上同時申込の場合、1名につき30,800円
*学校法人割引;学生、教員のご参加は受講料50%割引。

受講について

※本講座は、お手許のPCやタブレット等で受講できるオンラインセミナーです。

配布資料・講師への質問等について

  • 配布資料はPDF等のデータで送付予定です。受取方法はメールでご案内致します。
    (開催1週前~前日までには送付致します)。

    ※準備の都合上、開催1営業日前の12:00までにお申し込みをお願い致します。
    (土、日、祝日は営業日としてカウント致しません。)
  • 当日、可能な範囲で質疑応答も対応致します。
    (全ての質問にお答えできない可能性もございますので、予めご容赦ください。)
  • 本講座で使用する資料や配信動画は著作物であり、
    無断での録音・録画・複写・転載・配布・上映・販売等を禁止致します。

下記ご確認の上、お申込み下さい

  • PCもしくはタブレット・スマートフォンとネットワーク環境をご準備下さい。
  • ご受講にあたり、環境の確認をお願いしております(20Mbbs以上の回線をご用意下さい)。
    各ご利用ツール別の動作確認の上、お申し込み下さい。
  • 開催が近くなりましたら、当日の流れ及び視聴用のURL等をメールにてご連絡致します。

Zoomを使用したオンラインセミナーとなります

  • ご受講にあたり、環境の確認をお願いしております。
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※セミナーに申し込むにはものづくりドットコム会員登録が必要です

開催日時


12:30

受講料

41,800円(税込)/人

※本文中に提示された主催者の割引は申込後に適用されます

※銀行振込、コンビニ払い

開催場所

全国

主催者

キーワード

電子デバイス・部品   半導体技術   無機材料

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