化学物質ばく露濃度管理とそのポイント ~令和6年度施行への対応を踏まえ~

リスクアセスメント手法の基本である、ばく露濃度とばく露限界を用いる手法を理解する。

セミナー趣旨

 厚生労働省は、令和4年5月31日に厚生労働省令第91号を公示し、令和6年までに「化学物質への理解を高め自律的な管理を基本とする仕組」に舵を切った。関連規則の改正は令和4年、令和5年、令和6年の3回にわけて段階的に施行される。これにより、令和6年以降は、国がばく露濃度等の管理基準を定め、危険性・有害性に関する情報の伝達の仕組みを整備・拡充し、事業者はその情報に基づいてリスクアセスメントを行い、ばく露防止のために講ずべき措置を自ら選択して実行することが原則となった。
 通知対象の義務物質(リスクアセメント対象物質)は令和5年に234物質を追加し903物質に、令和6年におよそ675物質を追加し1573物質に、令和7年におよそ827物質を追加し2400物質程度にまで拡充されることとなった(物質のリストは独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所のホームページに公開されている)。これらの物質については、令和5年4月以降、リスクアセスメントにおけるリスク低減対策として、労働者がリスクアセスメント対象物質に暴露される程度を最小にすることが義務付けられる。令和6年4月以降、リスクアセスメント対象物質のうち、国がばく露濃度等の管理基準(厚生労働大臣が定める濃度の基準)を定めた物質については、労働者のばく露される程度を厚生労働大臣が定める濃度の基準値以下にすることが求められる。なお、作業環境測定結果の評価に用いる厚生労働大臣が定める濃度として管理濃度が定められているが、自律的管理における厚生労働大臣が定める濃度の基準とは、異なるものである。自律的管理における濃度基準値は、 有機則、特化則等の特別則の適用のある物質には設定されないとしている。
 厚生労働大臣が定める濃度の基準は令和4年度より毎年200物質程度で800物質ほどが公示される予定となっている。令和4年11月21日、化学物質管理に係る専門家検討会の中間取りまとめが公表された。中間取りまとめでは、事業場においては、始めに数理モデルの活用を含めた適切な方法により、事業場で製造し又は取り扱う全てのリスクアセスメント対象物に対してリスクアセスメントを実施し、その結果に基づきばく露低減措置を実施する。リスクアセスメントの結果、労働者のばく露が濃度基準値を超えるおそれのある作業を把握した場合は、労働者のばく露の程度と濃度基準値を比較し、労働者のばく露が濃度基準値以下であることを確認するための測定(確認測定)を実施する。その結果を踏まえて必要なばく露低減措置を実施することが求められるようになる。ばく露低減対策については、改正規則の低減対策に従い、衛生光学的対策が十分でない場合は、保護具着用管理責任者の選任のもとに呼吸用保護具での対応が許容される。また、測定の間隔についても定められる予定である。
 海外においては、それぞれの国で、法的拘束力のある職業ばく露限界として、米国労働安全衛生局(OSHA)のPEL (Permissible Exposure Limits) 、英国労働安全英英庁(HSE) のWEL (Workplace Exposure Limits) 、が発がん性や経皮吸収の情報、分析方法の情報と共に示されている。また、法的拘束力はないが、米国国立安全衛生研究所 (NIOSH) のREL (Recommended Exposure Limits) 、米国産業衛生専門家会議(ACGIH)のTLV-TWA、日本産業衛生学会の許容濃度などが示されている。厚生労働大臣が定める濃度の基準及びその分析方法は、これらを参考としたものになることが予測される。中間取りまとめでは、8時間濃度基準値と短時間濃度基準値が設定されるが、天井値については設定しない方向で検討されている。また、ばく露の評価は、厚生労働大臣が定める濃度が定められているものについては、個人ばく露測定方法が、それ以外の安衛法第57条の3に定めるリスクアセスメントについては、作業環境測定法のAB測定方法(定点測定)、CD測定方法(個人サンプラーを用いる測定)と統計学的な評価が予定されている。本講座では、関連する上記の情報を紹介し、改正規則への対応を共に考えていきたい。また。本講座の開催までに厚生労働大臣が定める濃度の基準及びその分析方法等の情報が公表されれば、併せて紹介したい。

習得できる知識

・規則の改正概要(リスクアセスメントを主体とする自律的管理)
・職業ばく露限界とその設定方法
・作業環境測定とその評価方法
・個人ばく露測定とその評価方法
・ばく露低減対策について

セミナープログラム

1.規則の改正概要
 1.1 リスクアセスメントを主体とする自律的管理の概要
 1.2 厚生労働省大臣の定める濃度の基準
 1.3 濃度を濃度基準値以下にする義務
 1.4 ばく露低減措置の意見聴取・記録作成・保存
 1.5 リスクアセスメント等に関わる記録の作成・保存
 1.6 特別規則の適用除外による自律的管理への移行
 1.7 第三管理区分(作業環境測定結果)事業場の措置強化
 1.8 労災発生事業場への監督所長の指示への対応
2.職業ばく露限界値
 2.1 職業ばく露限界値(日本産業衛生学会、OSHA、HSE、NIOSH、ACGIH、他)
 2.2 運用における注意
 2.3 基準値設定方法の概要(疫学データ、動物試験データ)
 2.4 発がん性物質の取扱
 2.5 作業環境測定結果の評価に用いられる管理濃度
3.分析方法の概要
 3.1 携帯用ポンプとサンプラー
 3.2 開発されている分析手法(ばく露評価推進事業、OSHA、NIOSH、その他)
4.作業環境測定とその評価の概要
 4.1 AB測定とその評価方法
 4.2 CD測定とその評価方法(個人サンプラーを用いる方法)
 4.3 がん指針で用いられている評価方法
5.個人ばく露測定とその評価の概要
 5.1 リスクアセスメント指針での位置付け
 5.2 日本産業衛生学会で示された個人ばく露測定方法
 5.3 作業環境CD測定に準じた方法
6.ばく露低減対策の概要
 6.1 規則で示されたばく露の程度を最小限度にする方法
 6.2 リスクアセスメント指針に示されているリスク低減策
 6.3 専門家の活用
(質疑応答)

セミナー講師

 荒木 明宏 先生   日本ケミカルデータベース(株)レギュラトリー・コンプライアンス・サービス部非常勤
 日本大学生物資源科学部応用生物科学科 非常勤講師/中央労働災害防止協会 労働衛生調査分析センター 元副所長
 農学博士

■主経歴
1977.04-1980.03 中央労働災害防止協会、中国四国安全衛生センター:作業環境測定業務
1980.04-1982.10   同協会 労働衛生検査センター:毒性試験業務
1982.11-2005.03 同協会 日本バイオアッセイ研究センター:変異原性試験業務
2005.04-2021.03 同協会 労働衛生調査分析センター:化学物質リスクアセスメント受託、労働安全衛生教育、
                             SDSの読み方・活用研修、化学物質リスクアセスメント研修、有害性調査受託、
                             ばく露実態調査受託、モデルGHS分類/SDS作成、経皮ばく露実態調査受託など
2012.04-2017.03   日本大学生物資源科学部応用生物科学科 非常勤講師:特別講義Ⅲ(化学物質管理)
2017.04-現在       同大学学部同学科 非常勤講師
2018.11-2020.12 日本ケミカルデータベース(株)コンテンツ・サービス課 非常勤
2021.01-現在       同社 レギュラトリー・コンプライアンス・サービス部 非常勤
■本テーマに関する業界団体での活動
厚生労働省委託事業(2009~2012)によるモデル分類・モデルSDS作成
厚生労働省委託事業(2009?2012)による有害性評価
厚生労働省委託事業(2009?2018)によるばく露実態調査
厚生労働省委託事業(2018?2020)による経皮ばく露実態調査
執筆・監修「ラベル・SDSの読み方・活かし方」
               「テキスト 化学物質リスクアセスメント」
               「化学物質による爆発・火災を防ぐ」中央労働災害防止協会
■専門分野・研究
化学物質の有害性評価・主な研究業績
Araki A, Kamigaito N, Sasaki T, Matsushima T. Mutagenicity of carbon tetrachloride and chloroform in
Salmonella typhimurium TA98, TA100, TA1535, and TA1537, and Escherichia coli WP2uvrA/pKM101
and WP2/pKM101 using a gas exposure method. Environ Mol Mutagen 43 (2), 128-133. 2004. 他
化学物質のばく露評価/リスクアセスメント・主な研究業績
Higashikubo I, Arito H, Ando K, Araki A, Shimizu H, Sakurai H. Control Banding Assessment of
Workers' Exposure to Indium and its Compounds in 13 Japanese Indium Plants. Jornal of Occupational
Health 50(3), 263-270. 2018. 他

セミナー受講料

【オンラインセミナー(見逃し視聴なし)】:1名41,800円(税込(消費税10%)、資料付)
*1社2名以上同時申込の場合、1名につき30,800円

【オンラインセミナー(見逃し視聴あり)】:1名47,300円(税込(消費税10%)、資料付)
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開催日時


13:00

受講料

41,800円(税込)/人

※本文中に提示された主催者の割引は申込後に適用されます

※銀行振込、コンビニ払い

開催場所

全国

主催者

キーワード

化学技術一般   安全規格   分析・環境化学

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