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QUESTION 質問No.76

製品品質を損なわず電力コストを削減したい

生産環境マネジメント |投稿日時:
電子デバイスを製造している年商約20億円の東証二部上場企業で、設備課長を務めています。

ご存知のように東日本大震災以降次第に電気料金が上がってきて、今や年間1億円を超えるようになりました。

多くの電力を消費しているのは、十台の焼成炉と、クリーンルームの空調電力で、それだけで全体の6割近くになります。焼成炉は2年前にエネルギー診断実施の結果から断熱材を設置したため、この部分では2割ほど消費電力が減りましたが、焼け石に水の状態です。折角安定している製品品質を損なうようなことがあっては本末転倒であり、思い切った対策が取れていません。

品質トラブルを起こさずに、エネルギーコストを削減する手順と注意点をご教授願います。

  [これは事務局による架空の(しかしありがちな)質問です]

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ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

江口と申します。
一般的なご質問ですので具体的なプロセス状況は分かりかねますが
基本的に生産プロセスの省エネは、品質、生産性との同時化の効果をもたらします。
炉の断熱を強化されたとのこと。これは設備損失エネルギーといい炉体からのエネルギーロスの
強化を図られたものです。
エネルギーを区分すると
①正味エネルギー: 材料を目的状態・温度に持っていくためのエネルギー
②設備必要エネルギー: 生産に必要な状態に持っていくためのエネルギー
③設備損失エネルギー: 炉壁(熱伝導、熱伝達)、炉上面(熱伝達、輻射)により損失するエネルギー
④管理損失エネルギー: 段替時間・待機等のアイドルタイム及び不良ロスによる再生のためのエネルギー損失ロス
⑤未回収エネルギー:排熱等の回収されないで放散しているエネルギー損失ロス
に区分されます。これを明確にされることがエネルギー解析の目的です。
正味エネルギーに関与するプロセス条件を意味なく(根拠なく)変えてエネルギーを減らすことは
自殺行為即ち品質に直接影響します。
しかし、熱解析をして見えてくるのは、正味エネルギーの比率が低いことです。通常20%以下です。
設備必要エネルギーは、立ち上がりの時の炉内等の雰囲気をつくるまでに必要となるエネルギーですから
安定化すると維持するだけのエネルギーで十分です。
このように考えていくとエネルギーは、構造的にロスの塊と言えます。
品質に悪さをする省エネというご理解はモノづくりの目的を無視されてエネルギーだけを切り取って
おられるから起きることです。モノづくりにとり、工程での対象の目的変換とエネルギーは表裏一体の
関係にあります。
生産プロセスの目的機能を明確にして、目的機能を発揮・発現するために必要最適な
エネルギーの投入方式、条件を見出し見直すことが製造工程の省エネルギー改善です。
この視点に立てば、品質・生産性との同時改善が省エネですので、エネルギー原単位でみれば
目的状態を発現する最適最小のエネルギー状態が省エネの姿です。
一度、対象工程の目的機能の定義とエネルギー変換過程の考察及びエネルギー解析をされて見られたら
いかがでしょうか?
今までと違う省エネのアプローチが見えてこられるのではと思います。
省エネの取組は生産技術であるという認識が大切で、この限りにおいて品質・生産性と省エネは
同時化した改善です。
ご活躍をご期待申し上げます。

株式会社イーエムイニシアテイブ 江口一海
eguchi@emini.co.jp

  




ANSWER
回答No2 | 投稿日時:

製品品質を損なわず電力コストを削減したい
 原油は安くなってきていますが、円安や原子力発電の停止などにより電気料金が上がってきています。電力コストを削減する為に、電気の単価に限って考えてみます。次の2点があります。
①デマンド対策を行う。②9電力事業者以外からの購入。
 まず、①デマンド対策を行うは、「十台の焼成炉と、クリーンルームの空調」の稼働時間の調整を行うことです。最近は自動的に実施できる機器もあるようです。
 電気料金は、最大負荷電力×使用量という計算で行われるので、多くの機器が同時に稼働し使用電力が大きくなる防止することで電気料金を削減することができます。
 ②の9電力事業者以外からの購入は、小規模な発電事業者から電気を購入することで単価の安い電力を得ることができる制度を用いるものです。
 
 設備面からできる電力料金の引き下げは、限られてきます。製造方法まで含めた電力削減策に至れるように、関係者のコミュニケーションを取ることも検討材料に加えてください。

ISO規格を経営改善に翻訳する中小企業診断士
竹田将文
mh55takeda@agate.plala.or.jp