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QUESTION 質問No.439

自働化レベルの診断について

生産 |投稿日時:
生産ラインの自働化領域の拡大を施策に掲げ、難作業であったり、検査の自働化開発を推進しています。ただ、各工場のものつくりの形態は様々でありどこがゴール地点なのか、どの領域を目指せばよいのかなどなど、自働化開発の取り組みが的を得ているのか疑問視される場面が増えて来ています。
そこで、このラインは自働化レベルが◆だから、自働化レベル■まで上げる必要があるよって、この自働化設備開発が必要という形で示せたらと考えていますが、自動化レベルの定義をどうしたらいいのかが解らず、困惑している次第です。ネットの記事を探しても「これ!」というのが無く、同じような悩みで具体的な取り組みをしているようなケースがあれば、是非ご紹介いただければ幸いです。以上よろしくお願い致します。

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ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

ビッグマウントさま、ご質問いただきありがとうございます。

ご質問の自動化レベルの発展(開発)段階が、スマートファクトリの発展(開発)段階と同じように定義できるとしたら、私は次のように考えています。

第 1 段階:可視(現場を見える化する)
第 2 段階:診断(故障や異常の検出や、センサーの診断などを行う)
第 3 段階:予測(故障や異常を予測する)
第 4 段階:対策(故障や異常を避けるための対策を示唆する)

自身のブログ記事で誠に恐縮ですが、スマートファクトリの導入段階について以前書いたことがあります。リーンシックスシグマに関連して書いたものなので内容に偏りがありますが、少しでもビッグマウントさまの参考になれば幸いと思い、リンクを付けておきました。

エッセイ: スマートファクトリとリーンシックスシグマ
https://sigmaframework.com/ja/%e3%82%b9%e3%83%9e%e3%83%bc%e3%83%88%e3%83%95%e3%82%a1%e3%82%af%e3%83%88%e3%83%aa%e3%81%a8%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%83%e3%82%af%e3%82%b9%e3%82%b7%e3%82%b0%e3%83%9e/




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回答No2 | 投稿日時:

竹内技術士事務所の竹内と申します。
私は、自動化設備の導入や生産性向上のコンサルタントをしています。
また、「生産現場への自動化機器導入の考え方」というセミナーも実施しています。

自動化レベルの定義ですが、人手不足解消のために省人化をしたい、増産対応のために生産量を増やしたい、クレームをなくすために品質を上げたい、など、目指す方向(目標)によって定義は異なります。
難作業や検査の自働化を推進しておられるということは、目指す目標は、難しい作業なので間違いがおきる、検査結果が人により異なる、といった点を解消する「品質の向上」といったところでしょうか。
ここで2つの考え方があります。1つは難しい作業そのものを自動化するというものですが、これには費用と時間がかかる場合が多いです。もう1つは作業そのものではなく、部品の供給や運搬、梱包や段積み払い出し、のような付帯作業の自動化です。こちらは主体作業ではないので、比較的安価に実施しやすい場合も多いです。
したがって、このレベルまで自動化するという考えもありますが、この作業はここが自動化しやすいとか、この作業はこれをやると効果が大きいといったように、設備ごとに自動化レベルも範囲も異なる場合が多いので、統一した自動化のレベルで考えるのではなく、個々の作業で何ができるのかという風に考えられてはいかがでしょうか。

どちらの考えにしても重要なのは、何をしたいのかという目標を明確にすることです。そしてそのためにどのような自動化が考えられるか、そしてそれにかかる費用はどのくらいか、といった費用対効果を評価する必要があります。
この評価の方法はいろいろあるのですが、私のセミナーでは「費用・便益分析法」「点数評価法」「消去法」という3つの方法を紹介しています。
自動化の方法がある程度決まっている場合は、「費用・便益分析法」で費用対効果を検討します。
自動化の方法がいくつかある場合は、「点数評価法」や「消去法」で最適な方法を選定します。
ものづくり.COM「キーワード解説>生産マネジメント>自動化設備の評価方法」でも解説しています。
費用がかかりすぎる場合でも、自動化の範囲を1期工事と2期工事に分けて実施したり、1号機に2号機のテストもできるような設備を考えたり、費用を分散したり下げたりする方法はいろいろあります。
もう一つは、時間の観念です。自動化は時間がかかることも多いので、自動化の規模が大きく費用も時間もかかるものと、それほど費用も時間もかけずにすぐ実行できるとか、費用や時間のわりに効果が大きいといったものを分けて考えることも必要です。
今期はこの自動化を実施してある程度の効果を上げながら、来期に向けて規模が大きい自動化の予算申請を進めるといったやり方です。

自動化の推進には、難しいことも多々あるかと思いますが、以上のような考えでぜひ自働化拡大を目指してください。




ANSWER
回答No3 | 投稿日時:

はじめまして
春山技術士CE事務所の春山と申します。

私は自動化のレベルを5段階に分けています。

レベル1: 電気やエアーが作業を支援している。
レベル2: 作業自体を自動化している。
レベル3: 作業+材料供給・ワーク搬送を自動化している。
レベル4: 見える化(設備データを取得し一元管理)
レベル5: 工場間データ連携

順に説明していきます。
【レベル1】作業支援
ねじ締め作業を考えます。
普通のドライバーを使い手作業でやっているところに、電動ドライバーを使えば作業が楽になります。電気(モーター)を使った作業支援です。

また、圧入作業を万力を使ってやっているところに、エアープレスを導入すればやはり作業が楽になります。エアーを使った作業支援です。

【レベル2】作業自動化
電動ドライバーを使って10本のねじを手作業で締めているところを、X-Y-Zの3軸ロボットに置き換えることで作業自体が自動化できます。
ねじの補充やワーク(ねじ締対象)のセット、いわゆる段取りは手作業で行います。

【レベル3】搬送自動化
3軸ロボットで自動ねじ締めを行う工程で、前工程から後工程までを搬送設備でつなぎ、自動でワークが搬送されるようにします。
搬送装置とはコンベアやAGVです。
搬送系を自動化するためには前工程と後工程の進捗を工程間で共有させる必要があります。

【レベル4】情報収集自動化
設備同士をネットワークでつなぎ、設備情報を自動で収集して1元管理します。
IoT化と言ってもいいでしょう。
この時に取得すべき情報は4種類です。
*本題と外れるため詳細は省き、項目だけ記載しておきます。
1.生産管理 (生産予定・進捗・実績)
2.生産能力 (稼働率と可動率)
3.品質データ(歩留まり、寸法や圧力・電流など製品の管理値)
4.保全データ(稼働時間、異常検知)

【レベル5】情報共有と判断の自動化
全工場をネットワークでつなぎ確認できる状態。
月例報告などで生産状況を確認せずとも、リアルタイムにどこからでも情報が見える状態。
また、収集したデータを解析し次のアクションを自動で判断できる。

*レベル2作業自動化とレベル3搬送自動化は入れ替わるパターンもあります。

各レベル実現に必要な技術キーワードを挙げておきます。
レベル1:動力(電気、エアーなど)
レベル2:制御技術(PLCなど)
レベル3:制御技術(PLCなど)、通信技術(工程間連携)
レベル4:IoT、(AI)
レベル5:IoT、AI

以上のレベル1~5を「会社の状態」と「ラインの状態」の2つで評価する必要があります。
ここで工場をA、B、Cの3か所にもつ会社を考えてみます。

◆工場A
最も古く、作業そのものの自動化はできているが段取りは人が行っている。つまりレベル2の状態です。

◆工場B
一歩進んでおり工程間をコンベアでつないで材料やワークが自動で供給されている。つまりレベル3の状態です。

◆工場C
最新工場で、材料の搬送や作業の自動化がなされている。すなわちレベル3の状態を達成していてかつ見える化もできている。つまりレベル4を達成しています。

この会社は自動化レベル4を達成しているが工場間(あるいはもう一歩踏み込んで工場内のライン間)でレベル差がある、と評価できます。

このとき自動化のアプローチは2つあります。
1.工場間をネットワークでつなぎ全工場の情報を1元管理する。
2.工場A、Bの自動化レベルを引き上げる。
この例の場合、「会社はレベル4を達成している」=「レベル4を達成させるための技術を持っている状態」です。よって工場A、Bともにレベル4到達が狙えます。
どこまでのレベルを狙うかは費用対効果(何年償却で投資回収できるか?)で確認するのですが、ご質問は「レベルの定義」でしたので回答はここまでとさせていただきます。
以上




ANSWER
回答No4 | 投稿日時:

ビッグマウント様
ご連絡ありがとうございます。
春山です。

ご連絡ありがとうございます。

ご質問への回答です。
少し長文になりますがご容赦ください。

まず結論として、
「部分的に自動化されているラインの自動化評価」への回答は
「ラインの工程を全て評価する」となります。

自動化レベルを評価したのちに各工程を自動化するための
難易度と費用対効果(生産性、投資回収、品質向上、省人化など)
を見ていきます。


例:ある製品の組立加工ラインを考えます。

次に示すように工程が6あるとします。

工程1
[ベースプレートに部品aと部品bを圧入する]
1作業者がワークを1個単位でセットする。
2作業者がエアープレスを使って作業。
*プレス圧を自動記録しWi-Fi経由でサーバーに保存する。
3作業者がワークを1個単位で回収する。


工程2
[ベースプレートに接着剤を塗布]
1作業者がワークを1個単位でセットする。
2作業者が刷毛を使って作業
3作業者がワークを1個単位で回収する。


工程3
[ベースプレートに部品を貼り付ける]
1作業者がワークを1個単位でセットする。
2作業者が手作業で作業
3作業者がワークを1個単位で回収する。


工程4
[ベースプレートにカバーをかぶせる]
1作業者がワークをロット単位でセットする。
2自動ピック&プレース機で自動作業。
3作業者がワークをロット単位で回収する。


工程5
[5本ねじ締めを行う。]
1作業者が供給ラインにワークをロット単位で置く。
2自動供給&セット後、ねじ締め機で自動締め付け。
3工程6とラインが繋がっており、
  ねじ締め完了後に自動で後工程へと搬送される。


工程6
[シリアルNo.を刻印する]
1前工程から自動搬送
2レーザー刻印機で自動刻印。
3ストッカーに自動搬送し保管


このときの判定は、
工程1:レベル1(エアーで支援)
*データを自動収集しているが、工程判定はレベル1とする。
工程2:レベル0(何もない状態)
工程3:レベル0(何もない状態)
工程4:レベル2(作業自動化)
工程5:レベル3(搬送自動化)
工程6:レベル3(搬送自動化)

工程1,2,3を1人づつの計3人で作業をしているとします。
(工程4は手が空いている人が対処)
ラインの評価としては3人作業で一部を手作業で行うレベル0
のラインです。
ライン評価は最低レベルに合わせます。

先の私の回答にある「会社の状態」と「ラインの状態」の2軸を
「ラインの状態」と「個別工程の状態」とに落とし込んだ形です。
実は自動化レベルは工程ごとのレベルを評価するところまで落と
しこむ必要があります。
最初に書いた結論がここです。

ここまでブレークダウンすれば、各ライン・工程での難易度、
製造コストと
自動化による省人効果とを一つ一つ検討していきます。

そして、
・投資効果の高いところから着手。
もしくは
・自動化の難易度が低いところから着手。

といった対応になります。
ここからはケースバイケースの対応になります。

例に挙げたラインの自動化を検討してみます。
【1】各工程のレベル引き上げ。
・工程1に自動供給機を設けてロット単位で処理できるようにする。
⇒レベル2に引き上げ。
⇒工程1の作業員を省人化できる。

・工程2に塗布機を導入しワーク単位で自動塗布させる。
⇒レベル1に引き上げ。
⇒省力化、品質安定化。作業員による塗布バラつきを防止する。

・工程3に3軸ロボット導入し自動でワーク単位で作業させる。。
⇒レベル1に引き上げ。
⇒省力化、品質安定化。作業員による塗布バラつきを防止する。

ここまできたらラインレベル1の評価。

【2】ラインのレベル引き上げ
工程2と3はレベル1ですが、ワーク1個ごとでも自動供給できれば
一気にレベル3に引き上げられます。
そこで搬送装置でラインを繋ぎライン全体の自動化を行います。
⇒ラインレベル3に引き上げ。


なおこのラインはレベル0ですが、レベル4を到達できる潜在力を持っていると言えます。
仮に工程1でデータ収集を自動でできていなければ、レベル3の潜在能力があるとなります。

また、少しややこしくなりますが工程5,6がレベル2の状態であるとすれば
レベル3と4の定義を入れ替えて3’と4’とするなどの工夫が必要になります。
[3’を情報収集自動化と再定義]
[4’を搬送自動化と再定義]


おまけです。

上記のラインで粗利100円の製品を月産10,000個製作しているとします。
このラインは4人で月間100万円の粗利を稼ぎます。年間で1,200万円です。
このラインの評価は自動化レベル0ですが、年間1人当たり300万円の粗利を稼ぐラインという評価になります。


一方別のラインでは同じように工程が6まであり、工程1~4をレベル2達成、工程5~6をレベル3達成とします。

このときやはり工程1~4で計3人作業とします。
同じ様に上記のラインで粗利100円の製品を月産10,000個製作だったとすると

ラインレべルは2ですが年間1人当たりの稼ぎは変わりません。
粗利での評価ですので、材料費や人件費、設備償却を考慮してのものになります。
自動化したことで損もしないが得もしない、強いて言えば作業がより単純になった程度の恩恵です。


省力化には成功しているが、省人化には至っていない例です。
この例では粗利が変わらないとしましたが、通常自動化レベルを引き上げるには設備や治具を導入して行うため、設備の減価償却費がコストとしてかかります。省人化に至らない状態ではかえってコストが増大します。

*ただし重量物を扱うなど作業負荷が高い場合や作業者による品質バラつきが大きい場合、作業時間がかかりすぎている場合は、まず省力化が必要となります。




ANSWER
回答No5 | 投稿日時:

ビッグマウント様
ご連絡ありがとうございます。春山です。

生産技術を担当して現場を改善していくために、感情論は
とても大事なことだと思います。

私も現場に行くときは笑顔でいることを心がけています。

そして細かなところまで目配りして一つ一つの工程を
しっかり評価することが大切だと思います。

とても大変ではありますが、お互い頑張りましょう。

御社の中で自動化を進めていく中で、困りごとなど
ありましたらいつでもご質問ください。