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QUESTION 質問No.128

直交表の選択

生産  | 投稿日時:

初歩的な質問ですみません。

タグチメソッドの方式を取り入れ、加工に関する試験を計画しています。

L18が推奨されているのですが因子となる水準が少なく2水準が1つ、3水準が3つしか

水準を変更できるものがありません。3水準が4つの場合はL9を参考にすると思うのですが

この場合はどの直交表を参考にしたら良いのでしょうか?




ANSWER
回答No1 | 投稿日時:

お答えします。結論を先に言えば、L9でも構いません。

少し長くなりますが、理由を説明しましょう。
多くの人が誤解しているように、「タグチメソッド=直交表で実験数を減らす効率的方法」ではありません。タグチメソッドで直交表を使う理由は、再現性の確認が目的なのです。つまり、実験結果から予測される最適条件は、本当に最適なのか、将来にわたっても信頼できるのかを確かめることです。

試しに質問に書かれている条件で、実験計画を考えてみましょう。最初の因子が二水準ですから、他の三つの因子の水準を固定して二水準の比較実験を行えば、どちらの水準が良いかは容易に決められます。次に二番目の因子で同じように他の因子を固定して三回実験すれば、その因子の最適水準が決まります。そして三番目の因子と四番目の因子もそれぞれ3回づつの実験で最適水準を決められます。一因子づつ最適条件を求めていく方法です。この方法でも、2+3+3+3=11回の実験で最適条件が求まります。一方、L9直交表なら9回、L18なら18回の実験が必要です。直交表を使ってもたいした効率化にはなりません。

技術開発や工程設計の効率が上がらない理由は、限られた実験数で真の最適条件を求められないからであり、あとから追加実験ややり直し実験が必要になるからです。要するに本当の効率化は、実験数を減らすことでなく結果の信頼性を高めることなのです。後戻り、やり直しを防ぐことが重要なのです。
同じくらいの数の実験で結果の信頼性を高めるためには、一因子づつを変える実験より直交表を使った実験の方が汎用性や安心感が高まると思います。他の因子も同時に変化させる条件も含んでいるからです。

L18直交表が推奨される理由は、再現性を確認する際に好都合だからであり、L9直交表ではダメだというわけではありません。理論的に結果の信頼性を見誤るリスクが少し高まる程度です。ご質問の文面から判断すると、L9直交表で実験されても構わないと思います。

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参考に、タグチメソッドの考え方を、もう少し追加説明しましょう。
実験結果の信頼性を高めるには、単に直交表を使っただけでは不十分です。過去には、「直交表を活用した実験計画法」というものが流行した時期がありました。しかし、再現性つまり結果の信頼性がなく、次第に使われなくなりました。
過去の「実験計画法」を改善して信頼性を高めるために、次に二つのアイデアが導入されたのです。それが、タグチメソッドまたは品質工学と呼ばれるものです。つまり、この二つのアイデアが使われていないと、タグチメソッド・品質工学ではないのです。直交表だけでは、単なる実験計画法に過ぎないのです。

一つ目のアイデアは、意地悪な条件で実験することです。実験の最終目的は、もちろん最適な条件を見つけるためですが、そのためのデータは、逆に良い結果が出にくい実験条件で行った方が良いという考え方です。意地悪な条件の方が、真の実力が検出しやすいからです。分かりにくいでしょうから、具体的に説明しましょう。
加工の場合なら、実験にはわざわざ加工しにくい材料を使ったり、うまく加工できないようなワークの固定の仕方(たとえば片持ちにして加工時に逃げやすい条件)を採用します。加工しやすい材料をきちんと固定すれば、少々性能の低い加工法(または加工条件)でもいい結果が出せるでしょう。つまり最適な条件との差異が見えにくいのです。だから、わざわざ加工しにくい条件で比較します。そうすれば良い加工条件では、悪いなりに相対的には良い結果が出るので、悪い条件との差異が明確になります。つまり善悪の判定の検出力が高くなるのです。

二つ目のアイデアは、測定項目や評価法の変更です。従来よく使われていたスペック項目や問題点項目は使いません。加工の場合なら、加工面の粗さや寸法精度さらには加工時の音や振動など、従来の評価基準はできれば使わない方が良いのです。
なぜなら、そのような項目は必ずしも本質的な部分を表現しているとは限らないので、真の最適条件を誤る可能性が結構高いからです。分かりやすい例は、副作用です。ある問題を対策したら、今までなかった逆の問題が発生し出したということはよく経験します。
加工の場合なら、加工時の消費電力の安定性などを使う例が多くなっています。唐得な感じがするでしょうが、次のように考えてください。はさみや包丁の切れ味は、使うときの力で判断できます。切れ味が良い包丁やはさみなら軽い力で切れますが、切れ味が悪い場合は余分な力が必要であり、切断面もきれいになりません。海苔巻きを切った場合には、母斑粒がつぶれて美味しそうになりません。剃刀の切れ味が悪いと髭剃りで怪我をします。つまり、少ない力で仕事ができることが重要なのです。同じ量の加工をするのに使う電力を測定すれば、切れ味の良い加工条件が見つけられるということです。

消費電力を使う例は多く報告されていますが、実際の計測にが少し厄介で専門知識や技術も必要です。電力測定が無理な場合は、従来の項目で実施するしかありませんが、その際は思わぬ副作用で悩まされないように、意識的に複数の項目をチェックすることをお勧めします。