倉庫改善に取り組もう (その3)

 

1. 意地悪チェックの導入

 出荷品についてピッキング後にダブルチェックを行っている会社は多いのではないでしょうか。ダブルチェックの基本は、『人を入れ替えて実施する』ことです。しかしダブルチェックを行っても物流不良が顧客まで流出してしまうことがあります。これはトリプルチェックを行っても同様です。もちろん、検査回数を増やせば不良流出の確立が低くなることは間違いないと思われます。しかしなかなかゼロにはなりません。何故でしょうか。それは検査行為自体がマンネリ化して、検査から逸脱したものになるからです。ダブルチェックを行う作業者が検査をしたつもりでも実際にはそれが検査になっていないのです。ピッキングの検査には次のチェック方法があると思います。このいずれかがおろそかになると物流エラーが発生する可能性があります。
 
・ 納入ラベルと現物を照合する
・ 現物とピッキングリストを照合する
・ 納入ラベルとピッキングリストを照合する
・ 現物の正確性を確認するためにサンプルと照合する
 
 そこでマンネリ化を防ぎ、確実な検査を実施するために「意地悪チェック」を導入することをお勧めします。この意地悪チェックとは、ピッキングが終わった商品、ラベル、納品書のいずれかをわざとエラー状態にして検査者がそれに気づくかどうかを調査することです。たとえば商品Aを20個ピッキングしたものから「1個抜いて19個の状態を作り」それに気づくかどうかを調べてみます。
 
 真剣に検査をしていれば当然気づきますが、いい加減な仕事をしていればそのまま出荷してしまうことがあるでしょう。また、商品Aをそれに酷似した商品Bに入れ替え、「誤品」であることに気づくかどうかの調査を行います。この時も同様にいい加減な検査では気づかない可能性があるのです。
 
 この「意地悪チェック」は現場で一定の緊張感を保つこと、物流不良の検出力を高めることが目的です。あらかじめ抜き打ちで意地悪チェックを行うことを作業者に知らせておくことも重要です。このような事前情報を流すだけでも物流エラーが減る可能性があります。なぜならいつ上司から見られているかわからないと認識し、それだけでも緊張感が高まるからです。標準作業の確立、作業観察の実施をまずは確実に実施しましょう。その上でこの意地悪チェックを導入することで物流不良は大幅に減少します。
 

2. SQDCMマネジメントの実施

 効率的かつ収益性の高い仕事を実現していくためには物流倉庫におけるマネジメントは重要なファクターになります。物流倉庫のマネージャーはどちらかというと現場のマネジメントについて十分な勉強ができていないと考えられます。そこで必要な管理を実体験していくことで倉庫マネジメントの実施とスキルの向上の両方が実現できることになります。その倉庫におけるSQDCM、つまり安全、品質、納期、コスト、マネジメントについて管理指標を設けてしっかりと管理できていることが収益向上につながります。
 
 物流倉庫内で事故が起きていないか、事故が起きないように何かしらの活動が行われているのか、それらを数値化して管理していくことが重要です。品質については、誤出荷や商品破損が何件起きているのか、それを防ぐための対策をどれくらい打っているのかについての指標が必要です。納期につきましては荷揃え遅れや出荷遅れがどれくらいあったのか、各工程の仕事が遅れないあるいは早すぎないようにどのような手段を講じているか、数字で示す必要があります。コスト管理においては目標利益が出ているか、そのための一人一時間あたりピッキング件数や一人一時間あたり運搬量などの労働生産性がき...
ちんと達成されているかを確認できるようにしておきたいものです。
 
 物流倉庫のマネジメトは特に現場について行っていくことが大切です。泥臭いやり方かもしれませんが、現場に管理ボードを設け、管理グラフを貼り出して全員でその情報をシェアできるようにしていくと良いのではないでしょうか。倉庫改善が進んでいるかどうかは管理グラフで示していくと確認ができると思います。作業を効率化することは重要でそれを実行することが求められますが、単に作業者が楽になっただけで止まってはいけません。
 
 効果は必ず刈り取る必要があるのです。当然のことではありますが、意外と刈取りが実行できていない会社を見かけます。倉庫改善を実施し、それを効果として「実額」でエンジョイすることです。結果として倉庫利益に反映されていることが必要なのです。日々の改善を継続できるように努力をしていきましょう。
 

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