M&Aされた研究者のキャリアチェンジを40の発明原理で考える

1.モチベーション課題の背景

 
 シャープと鴻海のM&Aでも想像できるように、研究・技術者のモチベーションの低下は、もはや他人事ではないようです。ちょうど良い機会ですので興味深い事例を紹介します。就職活動やキャリア開発に関して、予期せぬ出来事が多発しています。筆者は長年、キャリアカウンセラーあるいはメンターとして、主に、研究者、技術者および工学部の学生・大学院生の相談を受けてきました。先日、ある材料メーカーの研究者から、至急会って相談したいことがあるという電話をもらいました。何ごとが起こったのかと思って話を聴きました。その研究者の話では、M&Aにより、勤務先が競合会社に買収されそうで、身の振り方に悩んでいるとのことでした。
 

2.課題の抽出

 
 相談者の了解を得て、相談の概要を記述すると次のようでした。彼は、勤務している会社に10年以上勤めております。自由に研究できる組織風土を気に入っており、M&Aをしてきた企業は管理が厳しく、その社風にはなじめないことを危惧しておりました。いままで、転職等一度も考えたことがなかったわけです。彼は、会社での実績がある程度認められ、新規技術の開発プロジェクトリーダーを勤めています。38歳という年齢と妻と子供2人の扶養家族を抱えていることから、キャリアチェンジのリスクを最小限に抑えたいということでした。
 

3.課題対応の一般的プロセス

 
 相談される側の役割によって、若干対応は異なります。キャリアカウンセリングの立場として、このケースに対応する場合、次のような対応が一般的です。まず、来談の目的を確認します。その上で、来談者の頭の中を整理します。自分がどうしたいのか(どうなりたいのか)、何ができるのか(強みは何か)、何が課題や障害なのか等を傾聴します。できるだけ自主的判断を促します。そして、アドバイスを求められれば、カウンセラーの経験等に照らし合わせて、失敗例や成功例等を話して来談者の意思決定の参考にしていただきます。今回のケースのような場合、クルンボルツ博士の「Planed Happenstance Theory(計画された偶発理論)」を拠り所としています。つまり、予期せぬ出来事や偶然の出来事が人のキャリアに大きな影響を及ぼすことに着目して、予定外の出来事を否定的に捉えず望ましいものであるとし、予期せぬ出来事をキャリアの機会と捉える考え方です。
 

4.40の発明原理で考えるキャリアチェンジ

 
 今回のケースでは、従来と違う視点での対応を考えてみました。このサイトで紹介してきた課題解決法TRIZ40の発明原理で考えてみたいと思います(図1)。「自分はこうしたい」、「○○ができる」等及びそれに伴う障害、リスク等の矛盾点から、次のような対応策を創出してもらいました。例えば、「11事前保護原理」をヒントに思考すると、転職する前に、もう少し強みを強化して市場価値を上げておこう。「17他次元移行原理または36相変化原理」等をヒントに、買収企業のノウハウも吸収してしまえばよい。「1...
分割原理」をヒントに、転職を見据えて、やりがいのあることをボランティアや副業として始めよう。なお、先に述べた「Planed Happenstance Theory(計画された偶発理論)」は、TRIZの「22災い転じて福となす原理」または「13逆発想原理」に相当します。つまり、キャリアカウンセラーでなくても、40の発明原理をヒントに視点を変えるだけで、本質的な解決策を自分自身で、いくつも探すことができます。
 
       
                 図1.40の発明原理で考えるキャリア
 
 

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