パナソニックのオーダーサイクルに見るSCM

 パナソニックは1987年に大手メーカーで初めて、スポーツ自転車を見込生産から受注生産に切換え成功しました。そこには、顧客満足度というSCMの基本コンセプトが見えます。  

 米国のハーバードビジネスレビューに紹介されていた、日本の事例です。パソコンのデルコンピューター社と同じようにスポーツ自転車を見込生産から受注生産に切換えたのです。トヨタ自動車のジャストインタイムと同様に、「作ってから売る」のではなく。「売ってから作る」のが受注生産です。建物やプラントの世界では受注生産は当然ですが、日用品(コモディティ)となりつつあるパソコンや自転車の世界では、不確定な需要に対処するために、完成品の在庫バッファを持つのが当時は当然でした。

  同社は、実オーダーに対して資材調達・加工・組立・配送までのサプライチェーンのリードタイムを短縮し、いつでもオーダーに対するサプライチェーンのオペレーション状況が見えるようなシステムにしました。それにより、新しい製品企画(200万種のオプション)と新しいマーケティングでシェアを増大させることができた成功事例です。

  この事例も他の多くのサプライチェーンのそれらと同じように、競合(輸入品)に対する生き残りの手段として生み出されました。「あなただけの自転車を受注生産で二週間のリードタイムで納入する」ビジネスは、「見込生産でリードタイムゼロの即納と欠品の可能性のある不特定多数のための自転車」ビジネスより、顧客満足度は高いと考える発想が重要です。リードタイムの長さは、顧客の求める仕様の製品が200万種のオプションの中から選べるという、消費者の満足感が達成できることを考えれば、マイナス要因というよりもむしろプラス要因となるでしょう。

  このようなビジネスモデルの変革は、需要の不確実性が与える経営リスクをどのように滅らし、収益性を上げるかという要求から発しています。見込生産のモデルのままで、このリスクに対処しようとすれば、いかに需要予測を正確にするか、いかに需要の変動を平準化する販売政策をとるかが、主要課題になります。受注生産は、このような需要変動をいかに予測するかではなく、変化すること自体を受け入れてフレキシブルに対処しようという発想に基づいています。

 


この記事の著者

今岡 善次郎

在庫が収益構造とチームワークの鍵を握ります。人と人、組織と組織のつながり連鎖をどうマネジメントするかを念頭に現場と人から機会分析します。

・製品構成・生産・販売の全体のつながりSCM(サプライチェーンマネジメント)の中でキャッシュ収益を改善します。 ・サプライチェーンマネジメントの源流にトヨタ式経営を求め、そのさらに源流としてドラッカー経営に行きました。 ・マネジメント…

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