人材採用を例とした判別分析

1.問題のアウトライン

 人材紹介会社F社は、近年内定率が徐々に下降傾向にあり、売上低下は紹介数でカバーしていたものの複数顧客より紹介人材の選定が雑でミスマッチが多い指摘を受けていました。
 

2.現状把握と 要因解析

 マッチングを改善する為、試験的にお得意顧客Aに対し書類選考の段階で各候補者に対する印象を採点方式で記入してもらいました。 評価は、経験、業務スキル、実績、熱意・やる気の4つのカテゴリーで行いました。採点結果と合否の相関を見て、今後の人材選定の目安にしようと思っていた所、 選考者によって評価が大きく異なる候補者が見られましたた(下図1参照)各項目は5段階で評価し、1.不十分である、2.やや物足りない、3.要求水準にはある、4.合格基準を越えている、5.合格基準にあり活躍が期待出来る、で採点してもらいました。
 
             
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                                             図1.応募者採点表
 
 その後選考担当者にヒアリングして結果を解析した所次のような問題が判明しました。
 
     (1)採点基準が選考者の主観に依存しており曖昧である
     (2)選考者間で経験や業務スキルに対する考えが異なっている
     (3)選考の多様性の面からあえて明確な基準を設けていなかった
     (4)面接選考があるので書類選考では人柄や熱意は細かく見ていない
 

3.対策立案・実施

 要因分析の対策として、各項目の評定基準の目安を設ける事とし、選考者間、A社とF社間でシェアする事としました。経験はF社が求める固有の業務経験例を具体的に記載し、業務スキルは論理的思考力や問題解決力と言った汎用スキルをベースに評価を行うこととしました。実績は質的実績と量的実績に分け共通指標を置くこととしました。熱意ややる気に関しては志望動機欄で必ず述べさせる事を義務付けました。この対策後に再度20名に対し同様の評価と合否の相関調査を行った所、次のようになりました。
 
   
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 これらのデータを用いて判定分析を行い合否判定の判別式を導きました。導いた判別式は次の式のようになり、正の値は合格で、負の値は不合格判定となります。 元のデータがこの式にどの程度当てはまるかを検証した所、判別率100%となりました(次のグラフ参照)。 判別式を見ると経験と業務スキルが合否に最も影響し、続いて熱意が重要であることがわかります。
 
                         
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4.効果検証

 書類選考の選定精度が向上したか効果を確認するため、その後、紹介した人材4名で判別式値と合否結果を追跡調査しました。なお今回は斡旋前に能力判定をF社にて実施しています。判別式値が10以上であれば合格の可能性は高い為、10以上の人材を斡旋しました。
 
          
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 判別式を用いた4名の追跡調査の結果は良好でした。しかし、ポジションによって経験や必要スキル、専門性が異なる為、 独特の条件があれば発注段階で具体的事項を連絡してもらいF社による事前評価に補正を加える事としました。
 

この記事の著者

眞名子 和義

ムダ・ムラ・ムリの「3ムの撤廃が企業収益向上に繋がる」を信条とし、お客様の"視座"に立ったご提案を致します

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