リスクマネジメントで考える「新型コロナ危機‐第3波出口・第4波入口戦略」<ヤバ・い>リスクマネジメント‐1

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 桜の満開を迎えるこの時期(3/21)に緊急事態宣言が解除されることになりました(この原稿は3/20時点で書いております)。新型コロナウイルスを抑え込んでの解除なら喜ばしい限りなのですが、手詰まり状態での一休み的なもので、変異ウイルスが流行り出した中での ”あらゆる手を打ってリバウンドを防ぐ“ という条件付きです。

 今の新規感染者は東京で1日300人を超え第2波のピーク時のレベル、大阪や仙台などでも3月初旬から急増し始め、第4波到来の様相を呈(てい)しております。”緊急事態宣言疲れ“もある中、何としてでもこの事態に真剣に取り組む必要があるのではないでしょうか。

 ここで筆者の、昨年5月下旬の緊急事態宣言解除後から連載された事例のいくつかを振り返ってみたいと思います。一つは、第2波の兆しが見え始めた同年7/8の第3稿:QCの基本に立ち返って考える、で、その結論は「コロナが街中にいない<安心>街づくり」をビジョンに「全員検査大作戦」を実行することで、感染拡大防止と医療従事者の負荷軽減と経済復興を実現することです。もう一つは、第2波の襲来が明らかになってきた7/21の第7稿:QCと「リスクマネジメント」の基本に立ち返って考えるで、その要点は「新型コロナウイルスの特徴は無症状感染者の中に、感染力の強いスーパー・スプレッダーいて、この見えない感染者が出歩くことで多くの人に接触し、感染拡大を引き起こしていることが根本問題で…、この見えない感染者を見付けて隔離する(運悪く感染してしまった人はホテル等で休養するか病院で療養する)ことで感染拡大を防止し、感染していない市民は自由に行動し、経済活動を維持することが出来るというものです。然るに政府や都の対策は、緊急事態宣言発令・解除、・・・など、第1波と同じ対症療法を内閣府・総務省・厚労省・・・専門家委員会など夫々がやっていて、QCでいえば、不良が発生してクレームが出てから各部が勝手に動いているようなもので、“船頭多くして何とやら”です。

 

 次に「危機管理」と「リスクマネジメント」の違いを考えてみたいと思います。危機管理は起ってしまった危機の損害を最小限に抑えること、リスクマネジメントは、危機が起る前に手を打ってリスクを最小限にすること(戦略)です。QCでいえば危機管理は不良発生後の対策で「リスクマネジメント」は不良が発生する前に異常を検知して手を打つ(新型コロナ危機では無症状の見えない感染者を早期に見付けて隔離する)「源流検査」です。折から東京都の新規感染者は300人に達する勢いで…」。
 
 リスクマネジメントと危機管理の違いが分らないと<やばい(だめな・役に立たない)>リスクマネジメントになってしまいますし、違いを分って実行すれば<ヤバイ(スゴイ・効果のある)>リスクマネジメントになります。

 

 東京の新規感染者は、2021年2月下旬に下げ止まりましたが、3/8を底に増加傾向にあり3/17には300人と、昨年7/21の“300人に達する勢いで・・・”と言ったのと同じレベルになって、前週比では連続して増加傾向になっています。

 この状況下で行政府は “あらゆる手を打ってリバウンドを防ぐ対策をする” といっていますが、どうもインパクトが弱い感じがしますし、ワクチン接種も効果が出るまでには時間がかかります。従って、ここは思い切って「ゼロコロナ戦略」・・・医療関係者がいう厳密な意味ではなく、第3稿と第6稿で考察した「コロナが街中にいない<安心>街づくり」をビジョンに「医療目的」ではない「社会目的」の「全員検査大作戦」を果敢に実行することで行政府のやる気を示し“緊急事態宣言疲れ”している市民の皆さんに真摯に訴える必要があるのではないでしょうか。

 ちなみに、思い切った戦略の成功例はオーストラリアです。昨年8月メルボルンでの急激な感染拡大(次表に見るように月間の1千万人当り死亡者が100人超え)に対して、1日の新規感染者が安定して1桁になるまで3ケ月のロックダウンを行い、2月のテニス・全豪オープンを成功させたのです。

図1.新型コロナ アジアの中の日本

【引用】https://jpmarket-conditions.com/COVID-19/ja/ (引用先から筆者作成)

図2.新型コロナ、オーストラリアの感染推移

【引用】https://g.co/kgs/5CWwt2(引用先から筆者作成)

 

 日本は、オーストラリアのようなロックダウンはできないでしょうし、オリンピックまでに、街中に感染者がいないゼロコロナにするのは(第2波が落ち着いた昨年9月の時点ならばできたでしょうが)今のこの時に至っては無理でしょう。しかし日本でも、東京都世田谷区や広島市...

 

 桜の満開を迎えるこの時期(3/21)に緊急事態宣言が解除されることになりました(この原稿は3/20時点で書いております)。新型コロナウイルスを抑え込んでの解除なら喜ばしい限りなのですが、手詰まり状態での一休み的なもので、変異ウイルスが流行り出した中での ”あらゆる手を打ってリバウンドを防ぐ“ という条件付きです。

 今の新規感染者は東京で1日300人を超え第2波のピーク時のレベル、大阪や仙台などでも3月初旬から急増し始め、第4波到来の様相を呈(てい)しております。”緊急事態宣言疲れ“もある中、何としてでもこの事態に真剣に取り組む必要があるのではないでしょうか。

 ここで筆者の、昨年5月下旬の緊急事態宣言解除後から連載された事例のいくつかを振り返ってみたいと思います。一つは、第2波の兆しが見え始めた同年7/8の第3稿:QCの基本に立ち返って考える、で、その結論は「コロナが街中にいない<安心>街づくり」をビジョンに「全員検査大作戦」を実行することで、感染拡大防止と医療従事者の負荷軽減と経済復興を実現することです。もう一つは、第2波の襲来が明らかになってきた7/21の第7稿:QCと「リスクマネジメント」の基本に立ち返って考えるで、その要点は「新型コロナウイルスの特徴は無症状感染者の中に、感染力の強いスーパー・スプレッダーいて、この見えない感染者が出歩くことで多くの人に接触し、感染拡大を引き起こしていることが根本問題で…、この見えない感染者を見付けて隔離する(運悪く感染してしまった人はホテル等で休養するか病院で療養する)ことで感染拡大を防止し、感染していない市民は自由に行動し、経済活動を維持することが出来るというものです。然るに政府や都の対策は、緊急事態宣言発令・解除、・・・など、第1波と同じ対症療法を内閣府・総務省・厚労省・・・専門家委員会など夫々がやっていて、QCでいえば、不良が発生してクレームが出てから各部が勝手に動いているようなもので、“船頭多くして何とやら”です。

 

 次に「危機管理」と「リスクマネジメント」の違いを考えてみたいと思います。危機管理は起ってしまった危機の損害を最小限に抑えること、リスクマネジメントは、危機が起る前に手を打ってリスクを最小限にすること(戦略)です。QCでいえば危機管理は不良発生後の対策で「リスクマネジメント」は不良が発生する前に異常を検知して手を打つ(新型コロナ危機では無症状の見えない感染者を早期に見付けて隔離する)「源流検査」です。折から東京都の新規感染者は300人に達する勢いで…」。
 
 リスクマネジメントと危機管理の違いが分らないと<やばい(だめな・役に立たない)>リスクマネジメントになってしまいますし、違いを分って実行すれば<ヤバイ(スゴイ・効果のある)>リスクマネジメントになります。

 

 東京の新規感染者は、2021年2月下旬に下げ止まりましたが、3/8を底に増加傾向にあり3/17には300人と、昨年7/21の“300人に達する勢いで・・・”と言ったのと同じレベルになって、前週比では連続して増加傾向になっています。

 この状況下で行政府は “あらゆる手を打ってリバウンドを防ぐ対策をする” といっていますが、どうもインパクトが弱い感じがしますし、ワクチン接種も効果が出るまでには時間がかかります。従って、ここは思い切って「ゼロコロナ戦略」・・・医療関係者がいう厳密な意味ではなく、第3稿と第6稿で考察した「コロナが街中にいない<安心>街づくり」をビジョンに「医療目的」ではない「社会目的」の「全員検査大作戦」を果敢に実行することで行政府のやる気を示し“緊急事態宣言疲れ”している市民の皆さんに真摯に訴える必要があるのではないでしょうか。

 ちなみに、思い切った戦略の成功例はオーストラリアです。昨年8月メルボルンでの急激な感染拡大(次表に見るように月間の1千万人当り死亡者が100人超え)に対して、1日の新規感染者が安定して1桁になるまで3ケ月のロックダウンを行い、2月のテニス・全豪オープンを成功させたのです。

図1.新型コロナ アジアの中の日本

【引用】https://jpmarket-conditions.com/COVID-19/ja/ (引用先から筆者作成)

図2.新型コロナ、オーストラリアの感染推移

【引用】https://g.co/kgs/5CWwt2(引用先から筆者作成)

 

 日本は、オーストラリアのようなロックダウンはできないでしょうし、オリンピックまでに、街中に感染者がいないゼロコロナにするのは(第2波が落ち着いた昨年9月の時点ならばできたでしょうが)今のこの時に至っては無理でしょう。しかし日本でも、東京都世田谷区や広島市などで無症状者を含めて感染者を見付けて対処する試みがなされています。また新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長も最近は “見えないリスクに備える検査体制強化の必要性を強調” するようになってきています。国や首都圏のリーダーは、残念ながら相変わらず新型コロナウイルスではなく、誰かの方を向いてものを考えているようなのですが、向き合うべき相手は、変幻自在な目に見えない新型コロナウイルス・変異ウイルスです。感染率が何とか少し落ち着いた(急激に増加する前の)この時期に、この目に見えない強敵に正面から向き合う「ゼロコロナ戦略」が何としても必要ではないでしょうか。

 

 次の稿では、米国の名門コーネル大学の事例などを紹介しつつ、感染力が強い・死亡率が高い・PCR検査をすり抜けるなどとされている、変異ウイルスへの対応を含めた考察を行いたいと思っています。

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この記事の著者

鈴木 甫

「生き残る」のは “強いもの” でも “賢いもの”でもなく「変化に対応できるもの」!「ポストコロナ『DX』の激変する環境に対応する企業支援」に真剣に取り組んでいます!            E-mail: h.suzuki@dr-practice.com

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