物流量 輸送インフレ時代の次の一手(その3)

 

◆ 荷量を縮める ~ 荷姿充填率の向上

 輸送インフレ時代の次の一手について、前回に続き解説します。物流コストを構成する下記数式右辺の要素を縮めることを考えていきましょう。

 【物流コスト】= 【物流単価】×【物流量】×【距離】

 物流コストを下げるためには物流単価を下げるか、物流量を減らすか、距離を縮めるかのいずれかに着手する必要があります。いまは「物流単価」が下げづらい状況にあるため、このシリーズでは「物流量」と「距離」に着目し説明してきましたが、今回は物流量について考えます。

 物流コストを下げる次の一手として「荷量を縮める」ことを考えなければなりません。当たり前のことなのですが、一番手が付けられていない領域だといえるでしょう。製品を世の中に出す時は「デザイン」が非常に重要視されます。消費者が最も重視するのが、製品の機能性とデザインであるからです。

 そのため企業が製品を開発する際は、デザインが重視されます。これは当然なのですが、場合によっては「物流効率」を無視した形で行われることがあります。そうなると物流コストがかかり、それが収益を圧迫することになり兼ねません。そこで製品開発の段階から、デザインや機能性とともに「物流効率」を考慮するようにしたいものです。

 ちょっとした突起があるだけで、物流効率が半分以下になることはざらにあります。その部分が壊れやすいデリケートな部分であれば尚さらです。壊れやすい部分を保護するため、色々な緩衝材を詰め込んでパッケージをつくることになります。結果的に製品サイズの割に大きなパッケージができ上がります。

 皆さんも「こんな過剰梱包は不要なのでは」と感じられたことがあるのではないでしょうか。

 

 物流効率は輸送の効率だけではありません。パッケージでも同様です。過剰梱包となることで資材も多く使うことになり、コストがかかることになるからです。物流効率を考慮して製品設計を行うとともに、現状のパッケージングも見直す必要があります。輸送を考えると一つの荷姿に、より多くの製品が入ることが望ましい姿だと思います。この効率を測る指標として「荷姿充填率」があります。製品1個当たりの容積が、できるだけ小さくなるよう工夫することが求められます。

 このように活動を進めることで結果的に「運ぶ荷量」が小さくなり、結果的に物流コストを下げることができます。併せて荷量が小さくなることで、保管スペースも少なく済むことにも注目しましょう。外部倉庫業者に保管を委託している場合は、その業者...

に対する支払いも減ることになります。

 荷姿充填率を高めることで、パッケージングに必要な資材や容器が少なくて済みます。その結果として、それらの購入金額も減ることになるのです。このように「荷量を縮める」ことで効果が波及的に広がっていきますので、ぜひ意識的に取り組んでいただきたいと思います。

 

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 目が行きがちな「輸送価格」だけにとらわれないことが、物流コストを減らすためのポイントだということに気づいていただき「輸送インフレ時代の次の一手」を進めましょう。

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