「本日中」という納期指示のリスク 物流作業計画の重要性(その1)

  
 多くの企業で物流作業を効率化したいと考えています。その時に物流現場での実作業を改善することに目が行きがちです。ほとんどの人が物流動線を短くするとか、置場を明確化して作業者の迷いを無くすといった改善を行なおうとします。
 
 これはこれで間違いではなく、どんどんと進めるべきアイテムであることは事実です。物流は宝の山といわれますが、今まであまり手を付けられていなかった領域ゆえに多くの改善が期待できることでしょう。
 
 一方でもう一つ目を向けたいのが「物流作業計画」です。物流現場には現象として作業の混乱やムダが見受けられます。そしてこの混乱やムダの要因が実は物流作業計画にあるということが考えられるのです。
 
 まず物流現場作業にどのような計画があり、それが作業者に対してどのような作業指示として伝えられているのかについて確認してみましょう。たとえばピッキングによる出庫作業を例にとって考えてみましょう。
 
 そのピッキング作業は何時何分に開始し、何時何分までに終了する必要があるのか。もしかしたら「本日中に」終了すればよいという大雑把な指示になっていないでしょうか。
 
 物流作業計画の要点として、「納期管理」は非常に重要です。そして納期管理もできるだけ細かいメッシュで決めていくことが望ましいと言えます。
 
 つまり「本日中」ではなく、本日の「何時何分まで」という作業計画を策定するとともに、それに基づき作業者に対して指示する必要があるのです。
 
 「本日中」という納期管理のリスクについて確認しておく必要があると思います。日々の仕事には量の変動が必ず存在します。
 
 たとえば昨日は500個だったものが今日は300個になるというケースです。仕事量は5分の3になりますから、物流作業工数もそれに見合った分だけ投入することが必要です。
 
 しかし、多くの会社で工数管理を上手にできていないため、500個でも300個でも投入工数は同じというケースが見受けられます。そうなると、作業者は「本日中」...
に300個ピッキングして出庫すればよいので、終業時刻まで時間をかけて作業を行います。
 
 昨日は500個で終業時刻までかけて実施し、本日は300個を終業時刻までかけて終わらせます。もうお気づきとは思いますが、作業者はオーダー数量が少なくなれば作業速度を落としてゆっくりと実行することになるのです。つまり作業速度を落とし、生産性を落として作業を行っているということです。
 
 次回の、その2も、物流作業計画の重要性の解説を続けます。
 

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