「ブレインストーミング」とは、進め方、行う際のポイントをわかりやすく解説

 

1. 「ブレインストーミング」とは

ブレインストーミングとは、数人で集まってアイデアを出し合うやり方で、みなさん何度も実行した経験があるかと思います。 実施する時は、オズボーン氏が提唱した次の4つの決め事が重要です。

  • ①発言発案の一切に批判をしてはならない。  
  • ②奔放なアイデアを歓迎する。つまらないアイデア、乱暴なアイデア、見当違いなアイデアを歓迎する。  
  • ③アイデアの量を求める。アイデアは多いほどよい。  
  • ④他人が出したアイデアの改善、修正案や組み合わせなども歓迎する。

 

2. 「ブレインストーミング」の進め方

①テーマと目的を設定する
具体的で実現可能なテーマ・問題を定めて、議論が脇道にそれて発散してしまうことを防ぎます。次に目的(ゴール)を明確にします。

②司会(ファシリテーター)を決める
多くの参加者から多くの自由なアイデアが出るようにすることが、ファシリテーターの重要な役割です。

③ 参加者を決める
ブレインストーミングは10人以下での実施が原則です。年齢、性別、所属部署、職位、経験など、できるだけ多様な背景を持つ人を集めます。

④制限時間内に意見やアイデアをできるだけ出す
ブレインストーミングは制限時間を設定して実施し、その中で多くのアイデアを出していくことが重要です。全体で20〜30分程度の制限時間とし、このうち5〜10分程度をアイデアの発想・量産に充てるのが一般的です。

⑤意見やアイデアをまとめる

まとめの作業では、それぞれのアイデアを結合したり新たな視点を付け加えたりして創造的な発想につなげていきます。このまとめの作業こそがブレインストーミングの成果を決定づけます。

 

3. 「ブレインストーミング」を行う際のポイント

①参加者の立場を考慮してファシリテーターがサポートする

ファシリテーターが積極的に発言を促し、多くの自由なアイデアが出る場の空気を作る必要があります。

②話の本筋をキープする

ブレインストーミングでは自由に発言することが重要ですが、脱線した意見が出た場合にはそれを尊重しつつも、本来のテーマに戻るような話題の流れを作り出すことが大切です。

 

4.「ブレインストーミング」を成功させるための実践的テクニック

ブレインストーミングを単なる「アイデア出し」で終わらせず、具体的な成果に結びつけるためには、参加者全員が意識すべき実践的なテクニックが存在します。これらのテクニックを活用することで、より深く、創造的なアイデアを引き出すことが可能になります。

① 心理的安全性の確保と雰囲気作り

ブレインストーミングの成功は、参加者が「何を言っても否定されない」「変なアイデアでも笑われない」と感じられる心理的安全性に大きく依存します。ファシリテーターは、特にセッションの冒頭で、オズボーンの四原則を再確認し、「すべてのアイデアは宝である」という意識を徹底させることが重要です。発言の大小にかかわらず、ポジティブなフィードバック(例:「面白い視点ですね」「そこから発展させられそうだ」)を返すことで、場の雰囲気を温め、発言しやすい空気を作り上げます。特に、普段発言の機会が少ないメンバーや、経験の浅いメンバーの意見を丁寧に拾い上げる配慮が、多様なアイデアの創出につながります。

② アイデア発想のトリガーとなる問いかけ(ウォームアップ)の導入

いきなり本題からアイデアを求められても、参加者の頭がすぐに回転しないことがあります。セッション前に、本題とは直接関係のない、創造性を刺激する簡単な問いかけ(例:「もしも時間が巻き戻せるなら、何をしますか?」「あなたの仕事に魔法の道具を一つ加えるとしたら?」)を数分間行う「ウォームアップ」を取り入れると効果的です。これにより、参加者の思考を柔軟にし、発想の垣根を取り払う準備ができます。

③ 視点変更を促す強制連想法の活用

アイデアが停滞してきたときや、発想がマンネリ化してきたときには、「強制連想法」を導入します。これは、テーマとは全く関係のない事象(例:動物、色、歴史上の人物、映画のタイトルなど)をランダムに選び、その事象からテーマ解決のヒントを得る手法です。「このテーマを、もし『ライオン』が解決するとしたら?」「『赤色』のイメージから、このサービスに何を応用できる?」といった問いを立てることで、論理的な思考から離れ、突飛ながらも新鮮なアイデアが生まれるきっかけを作ります。

④ ポストイットなどの可視化ツールを徹底的に活用する

意見の記録方法もブレインストーミングの質に大きく影響します。参加者全員にポストイットとペンを配り、「アイデア一つにつき一枚」のルールで書き出してもらいます。これにより、発言の速さや声の大きさに関係なく、すべてのアイデアが公平に扱われます。書き出したアイデアは、議論の途中で壁やホワイトボードに貼り出し、全員がその場のアイデア全体を俯瞰できるようにします。これにより、誰かのアイデアを見た別の参加者が、すぐにそれを発展させた新しいアイデアを書き出す、という連鎖反応(アイデアリレー)が起きやすくなります。

⑤ 「制限」をあえて設けることで発想を深める

自由な発想を歓迎するブレインストーミングですが、時には「制限」を設けることが、より独創的なアイデアを生むことがあります。例えば、「予算を半分にするなら?」「納期を半分にするなら?」「既存の技術を一切使わずに解決するなら?」といった、通常では考えられない制約を一時的に加えます。制約は思考の枠組みを与え、逆にその枠の中で最大限の解決策を見つけようとする「逆転の発想」を促します。

⑥ 評価・統合フェーズの時間を十分に確保する

ブレインストーミングはアイデアを「出す」フェーズと、出たアイデアを「評価・統合・発展させる」フェーズに分かれます。多くのセッションで「出す」ことに時間を使いすぎ、「評価・統合」が駆け足になりがちです。しかし、真の成果は後者のフェーズで生まれます。この統合の作業では、単に良いアイデアを選ぶだけでなく、似たアイデアをグループ化したり、二つの無関係なアイデアを組み合わせて新しいコンセプトを生み出したりする時間を意識的に設ける必要があります。この「アイデアの化学反応」を引き起こすまとめの作業こそが、ブレインストーミングの最終的な価値を高めます。

これらの実践的テクニックは、参加者の創造性を最大限に引き出し、ブレインストーミングを単なる「会議」から「価値を生み出す共創の場」へと進化させます。

 


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