BMO法とは?新規事業参入の成功確率をどう評価するのか、わかりやすく解説
1. BMO法とは
BMO法とは、考案者であるBruce Merrifeld(ブルース・メリフィールド)、Ohe(大江健)の頭文字を取った新規事業参入の成功確率を定量的に評価するための手法です。まだ始める前の事業について正確な数字や金額は正確に分かるわけがないため、簡易的に評価をします。具体的には、検討対象とする事業の魅力度(60点満点)と、自社への事業適合度(60点満点)を半定量的に評価するものです。魅力度が35点以上で、魅力度と適社度の合計が80点以上であれば、事業の成功率は80%以上とされます。事業がまだシーズやアイデア段階でも評価できるため、複数のテーマを比較する際などに有効です。
2. 検討対象とする事業の魅力度とは
検討対象とする事業の魅力度を評価する際には、以下の要素を考慮することが重要です。
(1)ビジネスモデルの優位性
事業が持つビジネスモデルが競合他社と比較してどれだけ優れているかを評価します。収益性や成長性などがポイントとなります。
(2)マーケットの魅力度
事業が参入する市場の魅力度を評価します。市場規模、成長率、競合状況などが重要な要素となります。
(3)経営陣の能力
経営陣のリーダーシップや経験、専門知識などを評価します。経営陣の能力が高いほど、事業の成功確率が高まります。
これらの要素を総合的に評価し、事業の魅力度を判断することがBMO法の目的です。
3. 検討対象とする事業の自社への事業適合度とは
自社が検討対象とする事業について、BMO法を適用する際には、以下のステップを踏むことが重要です。
- ①ビジネスモデルの理解: まず、検討対象となる事業のビジネスモデルを理解します。収益源、顧客セグメント、価値提案などを把握しましょう。
- ②市場の分析: 事業が展開される市場や競合状況を分析します。市場の成長性や競合他社の強み・弱みを把握することが重要です。
- ③自社のリソースと能力の評価: 自社が持つリソースや能力を評価し、検討対象となる事業に必要なリソースや能力との適合度を検討します。
- ④事業適合度の評価: 上記の情報をもとに、BMO法の視点から事業適合度を評価します。事業が自社の戦略やリソースとどの程度適合しているかを考慮します。
- ⑤意思決定: 最終的に、事業適合度の評価結果をもとに、検討対象となる事業を採用するか否かの意思決定を行います。
4. BMO法で解法できる課題とは
以下のような課題を解決するのに役立ちます。
- ①プロセスの最適化:BMO法はビジネスプロセスを分析し、改善点を特定することで、効率性を向上させることができます。
- ②問題の特定と解決:BMO法は問題の根本原因を特定し、それに対する解決策を見つけるのに役立ちます。
- ③チームのパフォーマンス向上:BMO法はチームのコラボレーションやコミュニケーションを改善し、パフォーマンスを向上させることができます。
- ④リスク管理:BMO法はリスクを予測し、適切な対策を講じることで、ビジネスのリスクを最小限に抑えるのに役立ちます。
これらの課題をBMO法を使って解決することで、ビジネスの成長や持続可能な成功をサポートすることができます。
5. BMO法の評価項目をさらに深く掘り下げる
BMO法は、事業の成功確率を定量的に評価するための強力なツールですが、その評価項目を深く理解することで、より精度の高い判断が可能になります。
【事業の魅力度(60点満点)の構成要素】
事業の魅力度は、以下の6つの要素から成り立っています。それぞれの要素は10点満点で評価されます。
- 市場の魅力度 (Market Attractiveness): 参入を検討している市場の規模や成長率、競合環境などを評価します。市場が大きく、成長性が高く、競合が少ないほど、この項目は高得点になります。
- 技術的な優位性 (Technology Advantage): 事業が持つ独自の技術や特許、ノウハウなどを評価します。他社が簡単に模倣できない、優れた技術を持っているかどうかが重要です。
- ビジネスモデルの優位性 (Business Model Advantage): 収益性や顧客への価値提供方法など、ビジネスモデルそのものが持つ優位性を評価します。サブスクリプション型やプラットフォーム型など、継続的な収益が見込めるモデルは高評価になります。
- 製品・サービスの魅力度 (Product/Service Attractiveness): 提供する製品やサービスが、顧客のニーズをどれだけ満たしているかを評価します。革新性や独自性、価格競争力などが重要な要素です。
- 経営陣の能力 (Management Capability): 経営陣のリーダーシップや経験、専門知識などを評価します。特に、新規事業立ち上げの経験や、業界に対する深い知見を持つ経営陣は高得点になります。
- 初期投資額の妥当性 (Reasonableness of Initial Investment): 事業を立ち上げるために必要な初期投資額が、事業規模や収益性に対して妥当かどうかを評価します。過大な初期投資は、事業のリスクを高める要因となります。
【自社への事業適合度(60点満点)の構成要素】
次に、自社への事業適合度も同様に6つの要素で評価します。
- 既存事業とのシナジー (Synergy with Existing Business): 新規事業が、既存の事業とどれだけ相乗効果を生み出すかを評価します。既存の販売チャネルや顧客基盤を活用できる場合、高評価になります。
- 経営資源の活用可能性 (Utilizability of Management Resources): 人材、設備、資金、ブランド力など、自社が保有する経営資源をどれだけ新規事業に活用できるかを評価します。既存の資源を有効活用できるほど、事業成功のリスクは低減します。
- 組織文化との適合性 (Fit with Organizational Culture): 新規事業が、自社の組織文化や価値観とどれだけ合致しているかを評価します。既存の組織と異なる文化や価値観を持つ事業は、社内の抵抗に遭う可能性があります。
- 自社の強みとの適合性 (Fit with Company's Strengths): 自社が持つ独自の強みやコアコンピタンスが、新規事業の成功にどれだけ貢献できるかを評価します。自社の強みを活かせる事業は、成功確率が高まります。
- リスク許容度 (Risk Tolerance): 新規事業がもたらす潜在的なリスク(財務的リスク、技術的リスクなど)を、自社がどれだけ許容できるかを評価します。リスク許容度が高いほど、より革新的な事業に挑戦できます。
- 社内体制の準備状況 (Readiness of Internal System): 新規事業を推進するための社内体制(組織、人事、評価制度など)がどれだけ準備できているかを評価します。体制が整っているほど、スムーズに事業を立ち上げられます。
6. BMO法を新規事業に活用する際の注意点
BMO法は、新規事業の成功確率を評価する上で非常に有効ですが、万能ではありません。正しく活用するためには、いくつかの注意点を理解しておく必要があります。
・あくまで定性的な判断を補完するツール
BMO法は、あくまでも「半定量的」な評価手法であり、すべての要素を数値化できるわけではありません。スコアが高いからといって、必ずしも事業が成功するわけではないことを理解しておく必要があります。重要なのは、スコアの高さだけでなく、なぜそのスコアになったのかを深く考察することです。
・チームでの多角的な評価が重要
BMO法を適用する際は、一人の担当者だけでなく、多様な視点を持つメンバーで構成されたチームで評価を行うことが重要です。マーケティング、技術、財務など、それぞれの専門家が参加することで、より客観的で精度の高い評価が可能になります。
・定期的な見直しとアップデート
事業環境は常に変化しています。BMO法による評価も、一度行ったら終わりではなく、事業の進捗に合わせて定期的に見直し、アップデートしていく必要があります。市場や競合の変化に応じて、スコアを再評価することで、軌道修正のタイミングを逃さずに済みます。
・柔軟な思考を持つ
BMO法は、事業の成功確率を評価する上で一つの目安となりますが、評価項目に当てはまらない、革新的なアイデアやビジネスモデルが生まれることもあります。スコアが低いからといって、すぐに諦めるのではなく、そのアイデアをどうすれば高得点にできるかを検討するなど、柔軟な思考でBMO法を使いこなすことが成功への鍵となります。
7. BMO法を越える新たな評価軸の探求
BMO法は多くの企業で活用されていますが、現代のビジネス環境の複雑さや変化のスピードに対応するため、より多角的な視点を取り入れた新たな評価軸も求められています。
【カスタマー・セントリックな評価軸】近年、顧客中心主義(カスタマー・セントリック)の考え方が重要視されています。新規事業の成功を評価する上で、BMO法の項目に加えて、以下のようなカスタマー・セントリックな評価軸を取り入れることが有効です。
顧客課題の深堀り: 顧客が本当に困っていることは何か、その課題はどれだけ深刻かを深く掘り下げて評価します。顧客への価値提供: 新規事業が顧客にどのようなユニークな価値を提供できるかを明確にします。顧客エンゲージメント: 事業が顧客との間にどのような関係性を構築できるかを評価します。
これらの評価軸を加えることで、単なる市場規模や技術力だけでなく、顧