設計段階でのコストテーブル活用法 (その1)

 設計段階でのコストテーブル活用法を、2回に分けて解説します。今回は、第1回として、コストテーブルに必要な要件を中心に解説します。
 

1.コストテーブルとは

 コストテーブルは、古くから使われている言葉ですが、その意味を説明していることは少ないように思います。まず、コストテーブルとは何かを整理しておくことが必要ではないでしょうか。
 
 コストテーブルは、電車の時刻表のようなものであるといわれることがあります。電車の時刻表を見ると、たとえば、東京駅から展示会場のあるビックサイト(国際展示場)に向かうとします。このとき、たどり着く方法はたくさんあります。JR京葉⇒りんかい線、JR山手線⇒ゆりかもめ、JR山手線⇒りんかい線などいくつかのルートが考えられます。
 
 そして、選択したルートでは、「どのくらいの時間がかかるのか(所要時間)」、「交通費は、いくら必要か(金額)」を求めることが出来ます。このように目的地に向かうにあたって、事前に費用や所要時間を求めることが出来る。コストテーブルも同様に作る品目の図面を見て、「どのくらいの時間がかかるのか(所要時間)」と「費用は、いくら必要か(金額)」を求めることが出来る図表や計算式を指します。コストテーブルは、経営活動とコストの関係を図表や計算式にまとめたものです。
 

2.コストテーブルに必要な要件

 ①何故、コストテーブルは必要なのか

 
          
図1.コストテーブルの必要性
 
 ある企業でこれから調達する部品について、購買担当者が、部品の単価を設定するための支援させていただくことがありました。部品は、機械加工品、プレス品、モールド品などがありました。このとき多くの担当者は、複数の業者に見積書を依頼・提出してもらい、それらを比較して、最も安い見積り単価で決定するという手順で進めていました。
 
 これは、調達品についての比較検討だけであり、見積りそのものの妥当性を評価しているものではありません。さらに、見積り担当者がいて、見積りを行っていても、図1に示したような要因で見積り担当者によるバラツキが発生します。
 
 そしてそれは、私の経験でも、同じ品目を見積もって、安価な金額と高額な金額の間に2倍以上の開きが出ることも当たり前です。また、製品の設計段階で目標原価が達成できているかの確認が行うときに、見積り金額のバラツキは、目標原価達成の信頼性を失わせるものです。だからこそ、誰が見積もって同じコストを算出できるようにコストテーブルを持つことが必要になるのです。
 

 ②コストテーブル設定の考え方

 
 前項とは違い、コストテーブルを持っている企業もたくさんあります。しかし、それらの企業の中には、コストテーブルを持っているが、実務で使うための精度が粗いため、コストを大まかしか捉えることができないケースもあります。
 
 例えば、図2のように、㎏あたりいくら、㎡あたりいくら、㎥あたりいくらなどというような粗いコストテーブルを活用して、コストを求めています。また、もう少し精度が細かく、加工方法ごとにコストテーブルを持っているケースがあります。プレス加工では、1曲げ10円、1パンチ5円、ボール盤では、1穴7円などというものです。そして、ボール盤を例にとると、1穴いくらということで、穴の数を乗じれば、加工費を算出できるという方法です。
 
        
図2.コストテーブル設定の例
 
 これらは、加工費を算出するための簡便法として用いられています。しかし、あくまで大まかなコストの算出方法です。そして、精度の細かい(高い)コストテーブルは、以下のような特徴を持っています。
 
1) 理論的・科学的であること
 
 標準時間の設定をベースの一つとしているように、理論的...
・科学的に裏付けを持っている。
 
2) 技術面の基準は現行に妥協しない
 
 古い機械やその品物を作る上で、適さない機械などを対象に考えるのではなく、最も経済的な加工方法や設備機械を基準にしている。
 
3) 管理面の基準はその企業の能力を前提に期待する姿を
 
 作業能率や設備稼働率などの管理水準は、現状を反映するのではなく、今後期待する状態を基準にしている。
 
4) 基本は、高能率高賃金とする
 
 客観的な標準は、高能率高賃金であるということです。
 
5) 標準は、固定化するものでなく、年々、改定をする
 
 標準は、一度決めたら、固定的にするものではなく、技術の進歩や向上、管理水準の改善に伴い、改定するものということです。
 
 設計段階でのコストテーブル活用法を、2回に分けて解説します。次回は、第2回として、コストテーブルの活用を中心に解説します。
 

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