ファイブ・フォース(5つの力)とは

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 5f2企業活動には様々な意思決定場面がありますが、そこで必要となってくるのが自社が置かれている環境を把握することです。企業を取り巻く外部の環境は、マクロ環境とミクロ環境に分けられます。
 
 マクロ環境は、1企業ではコントロールできないけれども企業活動への影響が避けられない「政治」「経済」「社会」「技術」などの要因で構成されます。ミクロ環境は、自社に直接影響を与える「顧客」「競合他社」などの要因が中心となります。自社が属する業界がほぼこれに相当しますが、このミクロ環境での競争状態を、他社との敵対関係だけで見ていると大事な側面を見落としてしまうことがあります。たとえば、売り手(納入業者)や買い手(顧客)が新たに競合として参入してくる可能性もあります。このような観点から、顧客、競合他社を含めたミクロ環境の構造を理解するのに便利なフレームワークとして、米国の経営学者マイケル・ポーター氏が提唱した「ファイブ・フォース分析(Five Forces Analysis)」があります。
 
ファイブ・フォース(5つの力)とは以下の項目を指します。
 
(1)新規参入の脅威
(2)代替品の脅威
(3)買い手の交渉力
(4)売り手の交渉力
(5)業界内の競合他社
 

(1)新規参入の脅威

 新規参入があった場合、何が脅威となるでしょうか。単純にはまず競争相手が増えることが挙げられます。またプレーヤーが増加することにより、それまでに形成されていた競争ルールに変化も生じてきます。さらには、収益構造の悪化という影響も出てきます。したがって新規参入に対する「参入障壁」がどれくらい高いかを分析しておくことは重要となります。
 
 参入障壁の1つに「規模の経済性」があります。これは絶対生産量の増加につれて単位当りコストが下がるということを意味します。たとえば自動車業界は、開発、生産、流通、販売などの展開に規模の経済が働くと考えられ、新規参入が難しい業界の1つと言えます。
 

(2)代替品の脅威

 文字通り、現在の製品にとってかわる新製品出現の脅威です。自社製品より機能的・コスト的に優る製品の出現以外にも、顧客ニーズを全く別の製品で代替できる場合も考えなくてはなりません。過去には、固定電話に対する携帯電話の出現、フィルムカメラに対するデジタルカメラの出現などがありました。現在でもパソコンに対するスマートフォンやタブレットの出現などは代替品による脅威の例と言えるでしょう。
 

(3)買い手の交渉力

 「自社の総売上高に占める買い手の割合が高い」「専門的な物でなく、差別性の低い汎用的な物を買ってもらっている」「買い手が十分な情報力を持っている」などの場合、買い手の交渉力が強くなります。価格競争が激しくなり、ぎりぎりの値引き要請に対応せねばならず、利益を出すことが難しくなります。
 

(4)売り手の交渉力

 「売り手(納入業者)側の業界が少数企業によって寡占されている」「自社が売り手にとって重要な顧客ではない」「売り手が納入する部品が、自社製品の心臓部にあたる...
 5f2企業活動には様々な意思決定場面がありますが、そこで必要となってくるのが自社が置かれている環境を把握することです。企業を取り巻く外部の環境は、マクロ環境とミクロ環境に分けられます。
 
 マクロ環境は、1企業ではコントロールできないけれども企業活動への影響が避けられない「政治」「経済」「社会」「技術」などの要因で構成されます。ミクロ環境は、自社に直接影響を与える「顧客」「競合他社」などの要因が中心となります。自社が属する業界がほぼこれに相当しますが、このミクロ環境での競争状態を、他社との敵対関係だけで見ていると大事な側面を見落としてしまうことがあります。たとえば、売り手(納入業者)や買い手(顧客)が新たに競合として参入してくる可能性もあります。このような観点から、顧客、競合他社を含めたミクロ環境の構造を理解するのに便利なフレームワークとして、米国の経営学者マイケル・ポーター氏が提唱した「ファイブ・フォース分析(Five Forces Analysis)」があります。
 
ファイブ・フォース(5つの力)とは以下の項目を指します。
 
(1)新規参入の脅威
(2)代替品の脅威
(3)買い手の交渉力
(4)売り手の交渉力
(5)業界内の競合他社
 

(1)新規参入の脅威

 新規参入があった場合、何が脅威となるでしょうか。単純にはまず競争相手が増えることが挙げられます。またプレーヤーが増加することにより、それまでに形成されていた競争ルールに変化も生じてきます。さらには、収益構造の悪化という影響も出てきます。したがって新規参入に対する「参入障壁」がどれくらい高いかを分析しておくことは重要となります。
 
 参入障壁の1つに「規模の経済性」があります。これは絶対生産量の増加につれて単位当りコストが下がるということを意味します。たとえば自動車業界は、開発、生産、流通、販売などの展開に規模の経済が働くと考えられ、新規参入が難しい業界の1つと言えます。
 

(2)代替品の脅威

 文字通り、現在の製品にとってかわる新製品出現の脅威です。自社製品より機能的・コスト的に優る製品の出現以外にも、顧客ニーズを全く別の製品で代替できる場合も考えなくてはなりません。過去には、固定電話に対する携帯電話の出現、フィルムカメラに対するデジタルカメラの出現などがありました。現在でもパソコンに対するスマートフォンやタブレットの出現などは代替品による脅威の例と言えるでしょう。
 

(3)買い手の交渉力

 「自社の総売上高に占める買い手の割合が高い」「専門的な物でなく、差別性の低い汎用的な物を買ってもらっている」「買い手が十分な情報力を持っている」などの場合、買い手の交渉力が強くなります。価格競争が激しくなり、ぎりぎりの値引き要請に対応せねばならず、利益を出すことが難しくなります。
 

(4)売り手の交渉力

 「売り手(納入業者)側の業界が少数企業によって寡占されている」「自社が売り手にとって重要な顧客ではない」「売り手が納入する部品が、自社製品の心臓部にあたるキーパーツである」などの場合、売り手の交渉力が強くなります。
 

(5)業界内の競合他社

 「競争企業が多数存在する」「同等規模の企業がしのぎを削っている」「業界の成長が遅い一方、成長志向の企業がシェア争いに入ってきている」「装置産業のように、巨額設備投資をするために一度参入するとなかなか撤退しにくい」などの場合、業界内の競争が激しくなります。
 
 このような5つの観点で、「自社の新規事業進出が可能となるような機会が、既存市場・新規市場で生じていないか」「自社の既存事業の存続を危うくさせるような、市場自体の縮小、競合他社の優位性確立、強豪となる新規企業の参入、などの脅威が生じていないか」という環境変化を判断することが大切です。
 

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この記事の著者

森 史明

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