コスト改善と、有意差検定

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 コスト改善と聞いてどの様な取り組みをイメージしますか、一般的にはコストダウンと絞り込んだ方がわかりやすいかもしれません。製造業で言えばある製品を一個造るのに原価が1000円かかっていて売値そのままで 原価を100円下げれば利益がその分上がります。即ち出来るだけ製造原価を下げ(コストダウン)利益率を向上させる取り組みを日常的に行うことが重要となります。
 
 コストダウン項目は原料、製造費、人件費、包装費用等様々なものがあります。どれに取り組むかは原価に占める割合、対策にかかる費用、期間、難易度等を考慮して決めることになります。達成した場合の効果が大きくても多額の投資が必要だったり、大掛かりなプロジェクト形式するにする必要があったり、時間が相応に必要なら実施のハードルが高いことになります。逆に効果は小さくでも迅速且つ簡便に出来る事を積み上げるほうが早期に改善効果が得られて有用です。
 
 いくつかの選択肢があればスピーディーに取り組める事から実施する方が得策です。利益向上効果を早くに得られますし達成感も生まれます。次の取り組みに対するモチベーションも上がります。コストダウンを行う場合の注意点はサービスの質を落とさないようにする事です。ただしコストダウンと言っても、次の1~4のように、色々なアプローチがあります。
 
(1)現状のサービス提供のプロセスを変えず削減だけをする
(2)必要な性能は維持しつつ安価な代替手段を用いる
(3)ムラを抑制し廃棄品、不適合品、手直し品(リサイクル)を減らす
(4)一部プロセスを効率の良いやり方に替える
 
 1は、使っている原材料の割合を変えたり、検査の頻度を下げコストを削減する事などが 該当します。これは質を下げる事を容認する処置を意味していません。過剰な品質は現状と比較し仕様を満たす範囲で変更可能だと言う事です。
 
 2は、俗にいうジェネリック品への切り替え等により安価なものへ代替する方法です。
 
 3は、ばらつきを抑えることによりコスト改善する方法です。
 例えば製造歩留りの安定化です。作る度に合格率が変動したら材料、人、納期等の手配の精度が落ちムダが生じます。またモノづくりに限ったことではありません。接客でも担当者間にムラがあり、30分~1時間で変動していたらかかれば余分な人件費が必要になります。その人で対応が不十分(製品で言うところの不適合品)であれば別の人による再対応(代納)が必要になる点では同じ様に考えることが出来ます。
 
 4は、得られるものは同じでも効率のよい安価な方法に変更することです。工業生産では別の合成方法に変えたり、小規模スケールプラントから大規模プラントに変更したり、人件費の高い日本で製造していたものを海外にシフトする等です。ただし顧客とサービス提供のプロセスを約束している場合は容易に出来ませんし、顧客認定を経ないと変更出来ないケースもあります。
 
 いずれの場合も条件変更前後で同等のサービスが提供出来ているかをきちんと検証する事が重要です。再現性があるか、ばらつきも含め同等以上であるかの確認をする事になります。この変更承認プロセスが無い若しくは基...
 コスト改善と聞いてどの様な取り組みをイメージしますか、一般的にはコストダウンと絞り込んだ方がわかりやすいかもしれません。製造業で言えばある製品を一個造るのに原価が1000円かかっていて売値そのままで 原価を100円下げれば利益がその分上がります。即ち出来るだけ製造原価を下げ(コストダウン)利益率を向上させる取り組みを日常的に行うことが重要となります。
 
 コストダウン項目は原料、製造費、人件費、包装費用等様々なものがあります。どれに取り組むかは原価に占める割合、対策にかかる費用、期間、難易度等を考慮して決めることになります。達成した場合の効果が大きくても多額の投資が必要だったり、大掛かりなプロジェクト形式するにする必要があったり、時間が相応に必要なら実施のハードルが高いことになります。逆に効果は小さくでも迅速且つ簡便に出来る事を積み上げるほうが早期に改善効果が得られて有用です。
 
 いくつかの選択肢があればスピーディーに取り組める事から実施する方が得策です。利益向上効果を早くに得られますし達成感も生まれます。次の取り組みに対するモチベーションも上がります。コストダウンを行う場合の注意点はサービスの質を落とさないようにする事です。ただしコストダウンと言っても、次の1~4のように、色々なアプローチがあります。
 
(1)現状のサービス提供のプロセスを変えず削減だけをする
(2)必要な性能は維持しつつ安価な代替手段を用いる
(3)ムラを抑制し廃棄品、不適合品、手直し品(リサイクル)を減らす
(4)一部プロセスを効率の良いやり方に替える
 
 1は、使っている原材料の割合を変えたり、検査の頻度を下げコストを削減する事などが 該当します。これは質を下げる事を容認する処置を意味していません。過剰な品質は現状と比較し仕様を満たす範囲で変更可能だと言う事です。
 
 2は、俗にいうジェネリック品への切り替え等により安価なものへ代替する方法です。
 
 3は、ばらつきを抑えることによりコスト改善する方法です。
 例えば製造歩留りの安定化です。作る度に合格率が変動したら材料、人、納期等の手配の精度が落ちムダが生じます。またモノづくりに限ったことではありません。接客でも担当者間にムラがあり、30分~1時間で変動していたらかかれば余分な人件費が必要になります。その人で対応が不十分(製品で言うところの不適合品)であれば別の人による再対応(代納)が必要になる点では同じ様に考えることが出来ます。
 
 4は、得られるものは同じでも効率のよい安価な方法に変更することです。工業生産では別の合成方法に変えたり、小規模スケールプラントから大規模プラントに変更したり、人件費の高い日本で製造していたものを海外にシフトする等です。ただし顧客とサービス提供のプロセスを約束している場合は容易に出来ませんし、顧客認定を経ないと変更出来ないケースもあります。
 
 いずれの場合も条件変更前後で同等のサービスが提供出来ているかをきちんと検証する事が重要です。再現性があるか、ばらつきも含め同等以上であるかの確認をする事になります。この変更承認プロセスが無い若しくは基準が甘い場合は顧客苦情等の問題を抱えることになるでしょう。
 
 コストダウンの為に行う変更が問題ないかを検証するには統計的比較検証が必要です。新しい条件で現状と比べ有意差が無いか検証実験を行いデータ比較を行います。統計学で言う「検定」や「推定」行い有意差が無いかどうかを判定します。エクセルにもtest関数と言う検定を行う関数があり上記の判定を勘弁に行えます。数値で無いサービスに対しては行えないのでは無いか、と思う方も居ると思います。それについてば別の機会に処理方法について述べたいと思います。またサービスの提供価格は開発する費用や宣伝費用など直接製品提供に関わる以外の費用も含まれて決定されています。これらの二次的費用のコスト削減も忘れないようにして下さい。
 

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この記事の著者

眞名子 和義

ムダ・ムラ・ムリの「3ムの撤廃が企業収益向上に繋がる」を信条とし、お客様の"視座"に立ったご提案を致します

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