消費財製品にとっての顧客 研究テーマの多様な情報源(その12)

1.消費財(B2C製品)にとっての「顧客の顧客」は?

◆関連解説『技術マネジメントとは』

 前回のその11に続いて、解説します。業務効率化の活動には、「次工程を顧客と考える」という視点があります。社内の仕事はそれだけで自己完結することはなく、必ずその仕事の成果を享受する部門や人がいるために、それらの部門や人のことを意識して仕事をするという考え方です。

 B2C製品である消費財でも同じように、つまり次工程があると考えられます。皆さんの身の回りの製品を思い浮かべてみてください。例えば食品や食材は、家族で生活をしていれば、必ず他の家族のメンバーを意識して選択します。つまり料理をすれば、それらを他の人が食べるという次工程が存在するのです。衣服で言えば、厚さ寒さをしのぐためだけの視点で服を選ぶ人はほとんどいないでしょう。普通、多かれ少なかれ回りの人達を明確に意識して服を選びます。また奥さんやガールフレンドは、自分のパートナーがかっこよく見られるように、彼女たちが服を選ぶことがあります。つまり服を着れば、それを他人に見てもらう、もしくは他人が見るという「次工程」が存在するのです。
  

2.人間(消費者)は社会との関係の中で生きている

 人間(消費者)は、社会との「強い関係」の中で生きていますから、その消費活動が社会との関係の影響を強く受けるという本質的な構造が存在します。従って消費者が、100%自己完結的に自身の満足だけを目的に商品するものはないと言えます。例えばトイレットペーパーはトイレの中だけで使うものですが、それとて地球環境と切り離して考えることはできません。事実エコロジーは、トイレットペーパー購買者の重要な視点になっています。

 B2B製品で言われる「顧客の考えは捉え難い」という状況は、B2C製品にも同様に存在します。つまり消費者は、その製品を使う上で大きな影響を与える他の人達のことを良く理解していないということです。ここに製品のサプライヤーにとって大きな価値提供機会があります。

 先日NHK番組の「ためしてガッテン」を見ていたところ、いかに春菊を鍋物でおいしく食べるかを放送していました。家族の中には、春菊が苦くて嫌いとか、春菊の苦さが他の食べもに移るなど、否定的な意見を持っているメンバーがいて、母親は本当は春菊が好きなのに、春菊を買うことがで...

きないという話でした。この番組の中では、春菊をおいしく煮る時間を提示し、その時間で煮た春菊は家族の全員に喜ばれたという話です。

 つまりサプライヤー(春菊の生産者)は、このような家族の意見を収集して、家族全員がおいしく食べる方法を提示すれば、春菊の消費が大きく伸びるという結論です。

 同じように、服、シャンプー、歯ブラシ等のほとんどが、消費者(消費財の選択者)以外にも他の重要な影響者が存在します。それらの関係者の考えていること、その根拠といった情報を集めることは、テーマ選定には極めて重要なのです。

↓ 続きを読むには・・・

新規会員登録


この記事の著者