QFDの意味 QFDを考える(その2)

【QFD(品質機能展開)の考察 連載目次】

1.QFDとは何か

 みなさんの中には、企画や開発に従事されている方、品質保証に関係している方、IT系で要求分析に苦労された経験者もいるでしょう。

 QFDQuality Function Deployment品質機能展開の頭文字をとったもので、戦後の「安かろう悪かろう」と言われた日本のモノづくりを、効果と効率の両面をにらんで改善するために、製品開
発の品質保証を源流から行うことを目的として体系化した手法です。

 初めにマーケットの声を主な情報として整理した表(市場の世界)と、製品を技術的な観点から整理した表(技術の世界)とを組み合せて、図1 のような「品質表」を作ります。次にマーケットの優先順位と競合製品との比較をもとに新製品の企画を行い、それを「技術的にどのように作っていくか」を勘案し、これら一連の流れを“品質の展開”と呼んでいます。これはさらに,品質保証を目的とした技術的な展開、信頼性に関する展開、コストの観点からの展開などと進めていきます。

 私はステークホルダー(利害関係者)間の意思を的確にとらえ、企業の継続的競争力強化のために、各部署が「何を優先して解決すべきか」を明確にしていくための方法論ととらえています。                       図1 品質表

 たとえばプロジェクトマネジメントと融合させて、単にプロジェクトの成果物のみとしての品質を論じるだけでなく、プロジェクトの計画全体を総合的に把握することで目標の共有に寄与します。たとえば品質表は、昨今注目されている「見える化」のツールすなわち情報伝達手段として用いられ、組織運営における共通言語化にも役立っているのです。 

2.QFDをわかりやすく定義する

 変化のスピードが著しい現在では、もたもたしていることは敗北を意味することになりかねません。そこでITを駆使し、以前とは格段のスピードで品質表を作成・改訂する必要があります。進んだ企業では、技術情報などさまざまな情報の共有化が進んでいます。そこで私はQFDの考え方を下図2枠内のように定義し、周辺に適用例をあげてみました。

図2.QFDの定義 

3.QFDと「見える化」

 現在のように情報が氾濫している中で「見える化」という言葉の使い方には、疑問に感じる部分があります。その最たる例としては、単なる「ビジュアル化」を「見える化」と言っていることです。私は「見える化」を「次に起こすアクションへの橋渡し」と考えます。

 目を閉じて立ち止まっている自分を想像してください。一歩踏み出すことにも躊躇するでしょう。しかし目が開いていれば、自然と目の前のモノが認識できます。そしてどのように一歩を踏み出せばよいかが判断できます。見えたモノを脳に伝え、次にとるべき行動の指針としているわけです。

 そこで「見える化」の代表例は信号機...

です。信号が“赤”であったら立ち止まり、“青”であったら進む。もし信号の色が“黒”と“白”であったら、どのような行動をとればよいのか判断ができません。「見えているにもかかわらず」です。QFDを適用している企業では「見える化」を「有意味化」や「共通言語化」などと言い回しを変えています。

 マトリックスを作成し、そのなかで何かが生み出され次へのアクションを起こす。QFDの実施はまさに「見える化」そのものです。みなさんも、QFDを仕事にしっかり役立ててください。


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