Lorentz因子、吸収因子と温度因子:金属材料基礎講座(その136)

【目次】

    1. Lorentz因子

    X線回折はブラッグの式によって起きますが、回折ピークの角度から少しずれた角度でもある程度の回折は起きます。ある試料に対してX線を入射して角度を少しずつ変化させた時の様子を下図に示します。

     

    回折強度のピークを最大強度(回折角度2θの時)、斜線の面積を積分強度(回折ビームの全エネルギー)、最大強度の半分の強度の時の幅を半値幅といいます。積分強度(回折エネルギー)はほぼ一定となるので、最大強度が高いと、回折幅が狭くなります。反対に、最大強度が下がると、回折幅は広くなります。そしてこの時の回折幅は角度に依存し式(1)で表されます。これをかたより因子と合わせてLorentzかたより因子として式(2)に表わします。この時、分母の定数は省略されます。

     

    2. 吸収因子と温度因子

    吸収因子とはX線が試料内で吸収されることを考慮した因子です。しかし、XRDで多く用いられるディフラクトメーターでは回折角θに対して無関係であるため、省略されることが多いです。

     

    温度因子については、原子は結晶構造の格子において静止しているのではなく、ある平均位置を中心に熱振動しています。この熱振動は温度が上がるほど大きくなります。X線回折における温度因子は温度によって強度がどのように変化するのではなくて、一定温度(室温)の時に回折角2θによって強度がどのように変化するのかを考慮した因子です。しかし、温度因子は精密なデータのためには必要ですが、多くの場合省略されます。

     

    次回に続きます。

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