プロダクト・データサイエンス:データ分析講座(その321)3つのDS業務タイプ

 

商品やサービスなどを開発して販売することで収益を得るビジネスモデルは非常に多いですが、例えば、車を開発しディーラー経由で販売する、クラウドサービスを開発しサブスクリプションで提供する。このような商品やサービスなどの売上や利益などの拡大をターゲットにするデータサイエンスを、プロダクト・データサイエンスと呼んだりします。プロダクト・データサイエンスは、データサイエンティスト視点で語るのか、それを活用するビジネスサイド視点で語るのかで、見え方が変わります。今回は「プロダクト(商品開発系)データサイエンス」の「データサイエンティスト視点で3つのDS業務タイプ」についてお話しします。

【記事要約】

商品やサービスなどの売上や利益などの拡大をターゲットにするデータサイエンスを、プロダクト・データサイエンスと呼んだりします。プロダクト(商品開発)に関わるデータサイエンティストが行うDS業務には、色々なものがあります。記述的DSとは、その商品のユーザー、ニーズ、競合、ユーザの購買もしくは使用パターン、カスタマージャーニー、成長ファネルなど、商品をデータで語ることです。診断的DSとは、商品やサービスがリリースされ、市場に出回ったころ、なぜ売れたのか、なぜ思ったほど売れなかったのか、そのために何をすべきか、をデータで語ることです。予測的DSとは、需要予測、受注予測、離反予測、LTV(顧客生涯価値)予測など、将来の結果を予測し未来を語ることです。この3つを兼ね備えることで、データに基づいた「適切な提言」を実施することができます。しかし、全てを網羅した人財は稀有です。どれか1つをマスターするのがいいでしょう。

【目次】

    1. 商品開発系データサイエンスの業務タイプとは

    プロダクト(商品開発)に関わるデータサイエンティストが行うDS業務には、色々なものがありますが、次の3タイプがあると思います。

    それぞれについて説明します。

     

    (1)記述的(Descriptive)

    記述的DS業務とは、その商品のユーザーは誰で、ニーズは何で、競合品は何なのか?さらに、ユーザの購買もしくは使用パターンや、カスタマージャーニー、成長ファネルなどはどうなっているのか?の説明をデータですることです。要は、データで商品を説明するためのデータサイエンスです。

     

    多くの場合、集計や記述統計、多変量解析などの伝統的な統計的なデータサイエンス技術を利用します。自社保有データだけでなく、消費者アンケートを実施し新たにデータ取得をしたり、POSデータやGRPデータなどを他社から購入したり、シンクタンクレポートのような定性情報を参考にしたり、経済指標などを取り入れたり、多種多様なデータを扱うケースが多いです。定量データと定性データのコラボレーションに激しい業務です。

     

    (2)診断的(Diagnostic)

    商品やサービスがリリースされ、市場に出回ったころ、どうなったのか気になるところです。そこで登場するのが、診断的DS業務です。単に、売上の推移を眺めるだけでなく、その傾向変化の背後にある要因を探索することも含まれます。要は、実施した施策や取り巻く状況と照らし合わせて、なぜ売れたのか、なぜ思ったほど売れなかったのか、そのために何をすべきか、といった感じです。よくある診断的DSは、次のようです。

    記述的DSと異なり、数理モデルが多く登場するのが特徴です。異常検知モデル・因果探索モデル・因果推論モデル・MMM(Marketing or Media Mix Modeling)・実験計画の諸手法(ABテスト・多変量テストなど)などです。

     

    (3)予測的(Predictive)

    記述的DSと診断的DSは、あくまでも「今までどうだったのか?」をデータで説明することが注意が向けられています。未来は過去の延長線上にあるため、過去を振返り未来に活かすことは非常に有意義です。その考えをさらに進めたのは、予測的DSです。過去の傾向を活用し、未来を予測する、といったものです。予測的DS業務とは、需要予測、受注予測、離反予測、LTV(顧客生涯価値)予測など、将来の結果を予測することです。当然ながら、予測モデルを構築する必要があります。

     

    2. 商品開発系データサイエンスへの提言

    今、次の...

    3タイプのプロダクト(商品開発系)データサイエンス業務について説明しました。
    • 記述的(Descriptive)
    • 診断的(Diagnostic)
    • 予測的(Predictive)

    この3つを兼ね備えたとき、データに基づいた「適切な提言」を実施、さらには「適切な方向に推進」することができることでしょう。例えば、ビジネスを拡大すすため、何を付け加え(新機能アイデア)、何を改善すべきか、ビジネスを加速するため、どこにヒト・モノ・カネなどを投資すべきかなど、商品やサービスに関する戦略的議論を推進する提言を行うことができることでしょう。

     

    さらにそのために、どのようなデータやモニタリングすべき指標、数理モデルが必要なのかを提言し、そのためのダッシュボードや数理モデルを自ら構築したりするかもしれません。

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