PDCA-TC法 【快年童子の豆鉄砲】(その49)

 

◆PDCA-TC法

1.PDCA-TC(Tracing Chart)法

夢商品の開発・商品化は、開発したい商品が極めて新規性が高いことから、商品企画、設計、生産準備、生産、サービス、販売の各ステップにおいて研究・検討すべき内容が多く、しかも、同時並行型推進が必要な上、試行錯誤が避けられませんので、プロジェクトチームの活動は複雑に錯綜することになり、その全体像の把握調整の難しさが、プロジェクトの成否に影響しかねないのです。

 

この点に対する対策手法が「PDCA-TC(Tracing Chart)法」で「1枚の基本設計構想図法」と合わせての活用がお勧めです。

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その48)へのリンク】

 

2.「PDCA-TC法」とは

1)手法開発の経緯

筆者の現役時代(1971年ごろ)、複雑な課題に関し、半年かけて解決に導いた実験結果の説明が顧客の担当者、係長、課長と三者に対する説明でケリがつかず、部長への説明を求められた際、PDCAのサイクルをチャート式にまとめたものを表紙に添付したのが原型で、報告書での説明では、3者とも2~3時間かかったものが、30分で終わり「よく分かった。報告書は後で読んでおく」となったものです。

 

因みに、その実験経緯の特徴は、PDCAのサイクルが、7回もまわっている上、各サイクルの“C、A段階”における判断内容が、文献など多くの外部情報を参考にしており、しかも、各サイクルにおける判断が相互に関連しており、まさしく、夢商品開発に起こりそうな経緯そのものと言えるのです。

 

2)標準シート

下図のような標準シートを使います。

 

図122-1 PDCA-TCの標準シート 

 

各欄に記入する内容は下表の通りです。

 

表122-1 PDCA-TCの標準シート記入要領

 

3)「PDCA-TC法」の効用

経験上次のような効用を体験していますので、活用時の参考にして頂ければと思います。

 

 

4)記入事例

記入の仕方は全くのフリーですが、下記の記入例を参考にして頂ければと思います。

 

図122-2 PDCA-TCの記入例

 

3.「PDCA-TC」更なる活用と成果に

この「PDCA-TC」は、1987年3月に開催された“第9回新QC七つ道具シンポジウム”の基調講演の中で「“新QC七つ道具”は元来道具箱の意味であって、それ以外に新QC七つ道具の考え方の中に入る有用な手法があるなら積極的にこれらを取り入れて活用することが期待される。現在のところ、...

候補の1つとしては、PDCA-TC(PDCA Tracing Chart)が有用として報じられている」(Engineers No.464、P.4:日科技連)と納谷先生に紹介されてから45年になるのですが、今回のご紹介が更なる活用と成果に結びつくことを期待したいと思います。

 

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