理念経営基本体系推進の組織体系 【快年童子の豆鉄砲】(その23)

 

「図24-1 理念経営基本体系推進組織体系」は、(その22)でご説明した「図23-1 理念経営基本体系」推進のための諸活動が的確に行われるための組織体系です。

【この連載の前回:【快年童子の豆鉄砲】(その22)理念経営基本体系の設計(10)へのリンク】

 

図24-1 理念経営基本体系推進組織体系

 

図中□で示された7つの要素がメインで、それぞれの内容は下記の通りです。この7つは、「理念経営基本体系」が、中小企業のマンパワーで効率よく機能するために準備されたものですので、具体的な設計、活用に際してはその点を十分ご認識願えればと思います。

 

1)ハイパーテキスト型組織

野中郁治郎氏と竹内弘高氏が英文で共著された「知識創造企業」(英文題名:The knowledge-Creating Company 訳:梅本勝弘)の中で提唱された三層(①ビジネス・システム・レイヤー、②プロジェクト・チーム・レイヤー、③知識ベース・レイヤー)からなる組織で、理念経営基本体系における"維持改善エリア"は ① が、"挑戦管理エリア"は ② が担当し、③ では、① ② の活動で創出された知識や入手情報を再分類・再構築されて諸活動を知識的に支援するのですが、現実の組織体は存在しないという組織で、①と②の活動を包含する組織と言えます。

 

2)プロシューマー・アンケート法(略称:PA法)

市場創造型商品開発の決め手である"商品コンセプト”を、プロシューマー(生産者である消費者)である社員とその関係者からのアンケートで入手した情報を親和図法で解析して、手に入れようとする手法です。

 

3)挑戦項目登録制度

PA法で手に入れたテーマの内、「数年以内の実現のめどの立つ魅力的なもの」を登録し、プロジェクト・チーム・レイヤーにおいて、プロジェクトチームを結成して順次具体的に取り組む制度です。

 

4)研究テーマ登録制度

PA法で手に入れたテーマの内、「実現のめどは立たないが捨てがたい魅力的なもの」を登録して、研究・検討を重ね、技術やアイデアの進展・進歩により具現の可能性が出てきた時点で3「挑戦項目登録制度」に登録するという制度です。

 

5)フェロー・サポーター・フレンド制度(略称:FSF制度)

定年を迎えた社員が、定年後も社員として残るだけでなく、必要なときに必要な時間帯に勤務するフェロー、プロジェクトチームの一員として勤務するサポーター、に加え、コンサルタントなど部外者が必要に応じて参加するフレンド、により、挑戦項目登録制度に登録されたテーマの推進を支える制度。

 

6)企業内キュレーションシステム

ハイパーテキスト型組織の知識ベース・レイヤーは、現実の組織体は存在しないことになっていますが、上記「FSF制度」の人材を活用して、企業内キュレーションシステムを構築し、ビジネス・システム・レイヤーやプロジェクト・チーム・レイヤーでの活動で創出された知識や収集情報の、選別、意味づけ、分類整理することにより、自社の...

実情に合った知識の有効活用を図ろうとするものです。

 

7)労働時間貯蓄制度

挑戦項目の具現活動は、活動時間にむらがあり、時に短期間に集中した活動が必要なこともあるので、残業時間を各人の口座に貯蓄しておき、後で休暇などに使える制度。労働需要の短期的な変動にも、従業員の増減やコストの上昇なしに対応できる自由度の高さが評価され、1990年代後半からドイツの製造業や金融業を中心に普及しています。

 

次回に続きます。

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