流れ生産:ジャスト・イン・タイム生産(その57)

 

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【実践編 第3章目次】

第3章 平準化で生産の波を小さくする

1. 生産を平準化する
2. 多品種対応のため段取り替え改革は必須←今回の記事
3. 不良ゼロを目指す品質保証とポカヨケのしくみ

 

第3章 平準化で生産の波を小さくする

「平準化」は、生産の波を小さくする改革であるとともに、需要と供給を一致させる生産のしくみづくりです。この章では「生産計画の平準化」「段取り替え改革」「品質保証とポカヨケ」について説明します。

2. 多品種対応のため段取り替え改革は必須

多品種化に対応するほど段取り替えは頻発する。改革のポイントは段取り時間と5つの定石。

(7)段取り替え改革のポイント

段取り替え改革の際に大切なポイントは以下の通りです。

 

ポイント① お金をかけない

段取り替え改革にお金をかけてはいけません。お金をかけると、チエが出なくなります。

ポイント② すぐやる

改革は、思いついたらすぐにやるのがコツです。すぐにやれば、お金をかけているヒマがないため、チエを出さざるをえません。思いついたら、即、行動です。

ポイント③ オモテ化する

改革をして標準化を図ったら、それをオモテにして、次の改革につなげます。

 

【段取り替え改革の実行手順】

段取り替えは、作業内容によって、内段取り替え作業・外段取り替え作業・ムダ作業の3つに大きく分けることができます。

これらを踏まえて、段取り替え改革を以下の手順で行ないます。

 

手順① 段取り替え改革チームの発足

段取り替え改革のニーズが高まってきたら、現状を把捉し、段取り替え改革チームを発足させます。このとき、改革に対するトップの強い意思表示が必要となります。

手順② 段取り替え作業の分析

非常に時間のかかる段取り替え作業を探し、その作業を洗い出します。「段取り替え実績表」と「段取り作業分析表」を使って、現状のやり方をオモテ化します。

手順③ ムダ作業の洗い出しと「5S・3定」によるムダ取り

現状の段取り替え作業を、内段取り替え作業・外段取り替え作業・ムダ作業の3つに分け、直接、段取り替えと関係しないムダ作業を取り除きます。ここでのムダ取りは、5S・3定を中心に行ないます。

手順④ 段取り替えの外段取り替え化

機械設備を止めなければできないとされる内段取り替え作業を、発想を変えて見直し、外段取り替え作業としてできるようにチエ出しをします。これが、内段取り時間を短くする最大の決め手となります。

手順⑤ 内段取り替えの改革・改善

外段取り替え化をしても、...

最後まで残った内段取り替え作業については、見直しと、時間短縮のための改革・改善を行ないます。ボルトレス化やカセット方式、並列作業化などがその有効な手段となります。

手順⑥ 外段取り替えの改革・改善

段取り時間を短縮するには、内段取り替え改革と同じくらい、外段取り替え作業の改革も重要です。整理・整頓、専用台車化、段取り工の設定などが改革のポイントとなります。

 

次回に続きます。

【出典】古谷誠 著 『会社を強くする ジャスト・イン・タイム生産の実行手順』中経出版発行(筆者のご承諾により連載)

 

◆関連解説『生産マネジメントとは』

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